- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140814338
作品紹介・あらすじ
なぜ、彼はパリで死んだのか?『世界の中心で、愛をさけぶ』の大ブームから5年、作家・片山恭一が、新たに私たちに問うたもの-それは、孤高の哲学者・森有正の"死に方"であった。
感想・レビュー・書評
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哲学の本は概してそうなのかもしれないが、あるいは私の読解力が低いからかもしれないが、言っていることがよく分からない。
議論があっちに行ったりこっちに行ったりして、最後の最後でようやく、テーマである「死」について、本書で辿ってきた森有正の思想に著者が同意する形で締めくくられる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生や死を見つめるのに、「孤独」や「絶望」を味わいたいと思った。
欧州で暮らしたことがないので、彼らの文化や個人主義の中で生きると自分の精神にどのような変化を生じさせるのか、これに興味を持った。
森有正と自分は違う人間なのは承知しているが、自分を追い込み闘って、そこから何かを得たいという気持ちにさせられた。 -
片山恭一が森有正を通して見えてくる生や死についての考察を加えた評論型の書となっている。フランスに渡仏した森有正がそこで味わった孤独や絶望、現存在は、今の我々が考えるにあたっても少しも色あせることなく向き合うことができる。人生においては、とりわけ生の方がその人の生き様やその人らしさがにじみ出てくるように考えがちだが、決してそんなことはなく、むしろ死に近づけば近づくほど、より色濃く生がにじみ出るような感じさえする。死を自己のテーマに掲げる片山恭一ならではの視点が、読む人の興味をとらえて離さない、そんな一冊であった。