NHK さかのぼり日本史(5) 幕末 危機が生んだ挙国一致

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814895

作品紹介・あらすじ

歴史には時代の流れを決定づけたターニングポイントがあり、それが起こった原因を探っていくことで「日本が来た道」が見えてくる。ペリー来航をはじめとする西欧列強の圧力-それはかつてない危機の意識を人々にもたらした。1867年→1866年→1860年→1853年の日本史上最大の"革命期"を活写する。

感想・レビュー・書評

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  • 王政復古/維新の選択・1867年:岩倉具視・天下一新策 王政復古の大号令 王政復古の真意 旧幕府勢力の抵抗 天皇と近代政治 長州征討/新秩序の模索・1886年:幕府専制終焉 参与会議 禁門の変→第一次長州征討 庶民にも見限られた幕府 桜田門外の変/幕府専制の限界・1860年:幕府批判 条約勅許問題・将軍後継者問題 安政五年政変 桜田門外の変・政治運動の噴出 維新の原点/ペリー来航・1853年:アヘン戦争 海外情勢と風説書 黒船 日米和親条約締結→二港開港 挙国一致努力の意外な結末 近代の歴史から振り返ると

  • 幕府がどのようにしてペリーの外圧に対処し、それにより、日本は明治維新への道を歩んでいくことがよくわかる。

  • いい加減「薩長史観」からは卒業せんといかんね 見誤ること多し

  • 阿部伊勢守正弘リスペクトです

  • (2014.03.17読了)(2014.03.07借入)
    副題「危機が生んだ挙国一致」
    「この本は、王政復古に至る幕末史をさかのぼってゆく。王政復古から第二次長州征討、桜田門外の変、ペリー来航と、徳川幕府が権力を失ってゆく過程である。」
    鎖国は、江戸時代全般にわたっていたわけではない。イギリスと中国のアヘン戦争によって、外国船を追い払うだけでは問題が解決するわけではないことが分かった。ペリー来航は、オランダから事前に知らされていた。ペリー来航、桜田門外の変、長州征討の失敗、等によって、徳川幕府にもはや力がないことが明らかになっていった。ペリー来航によって、日本全国に徐々に国民意識が生まれていった。
    結構目新しい歴史の読み方を教わった気がする。史料の読み方次第で、いろんな説が建てられるということでしょうけど。

    各章の扉ページにポイントが書いてありますので、拝借しておきましょう。
    第1章、ターニングポイント1867年、王政復古の大号令
    「神武創業の始にもどす」というスローガンのもと、あらゆる旧勢力を排除したことが明治の大改革を可能にした。
    第2章、ターニングポイント1866年、第二次長州征討
    幕府の「御威光」の失墜が誰の目にも明らかになったとき、新しい秩序を求める声が全国から湧きあがった。
    第3章、ターニングポイント1860年、桜田門外の変
    最高権力者暗殺の成功は、幕府の絶対性を崩壊させ単独政権の維持を不可能にした。
    第4章、ターニングポイント1853年、ペリー来航
    未曽有の国家的危機という意識を全国民が共有したことによって、社会を変えていこうとするエネルギーを生み出した。

    【目次】
    はじめに
    第1章 王政復古・維新の選択 1867年(慶応3年)
    第2章 長州征討・新秩序の模索 1866年(慶応2年)
    第3章 桜田門外の変・幕府専制の限界 1860年(万延元年)
    第4章 維新の原点・ペリー来航 1853年(嘉永6年)
    参考文献
    年表

    ●王政復古(22頁)
    神武天皇の創業時代にさかのぼり、公家も武家も存在しなかった時代に立ち返るというのが、王政復古の真意なわけです。つまり、幕府だけではなく、平安時代から続く摂関制も、さらに律令制さえも排除して、身分の別なく、人びとが対等な立場で公議を尽くし、これからの日本の政治を運営していくのだという、非常に高邁な政治理念をうたったもの―それが「王政復古の大号令」でした。
    ●鎖国(94頁)
    私たちは、鎖国政策がとられたのは江戸時代の初期であったと思いがちです。たしかに、日本人の海外渡航と再入国を禁止し、キリスト教の布教にかかわる外国人宣教師などの入国を禁じ、交易を許されたオランダ人、中国人は、その活動を長崎にのみ限定するという一連の政策は、三代将軍家光の時代までに完成していました。しかし、非カトリックの外国船をどう扱うかについては、特別の法的な規定は存在しませんでした。
    ●アヘン戦争(97頁)
    東アジアの諸国にとって地球の裏側の国からの大軍派遣は想定外の事態でしたが、世界最強の艦隊を持ち、インドで陸軍の主力を編成しうるようになっていたイギリスは、それをまんまと成功させました。
    ●阿部正弘(122頁)
    西洋の軍事技術やその背後にある科学技術を取り入れるために、長崎に海軍伝習所を開いたり、江戸に蕃書調所を設け、ここに全国から人材を集めました。そこで育った洋学知識人たちが明治日本の「文明開化」を先導したのはよく知られているとおりです。

    ☆関連図書(既読)
    「NHKさかのぼり日本史①戦後」五百旗頭真著、NHK出版、2011.07.25
    「NHKさかのぼり日本史②昭和」加藤陽子著、NHK出版、2011.07.25
    「NHKさかのぼり日本史③昭和~明治」御厨貴著、NHK出版、2011.09.30
    「NHKさかのぼり日本史④明治」佐々木克著、NHK出版、2011.10.30
    「西郷隆盛 上」井上清著、中公新書、1970.07.25
    「西郷隆盛 下」井上清著、中公新書、1970.08.25
    「翔ぶが如く」全10巻、司馬遼太郎著、文春文庫、1980.01.25-1980.05.25
    「最後の将軍 徳川慶喜」司馬遼太郎著、文芸春秋、1967.03.25
    「花の生涯 上」舟橋聖一著、祥伝社文庫、1992.12.20
    「花の生涯 下」舟橋聖一著、祥伝社文庫、1992.12.20
    「桜田門外ノ変 上巻」吉村昭著、新潮文庫、1995.04.01
    「桜田門外ノ変 下巻」吉村昭著、新潮文庫、1995.04.01
    「生麦事件(上)」吉村昭著、新潮文庫、2002.06.01
    「生麦事件(下)」吉村昭著、新潮文庫、2002.06.01
    「岩倉具視-言葉の皮を剥きながら-」永井路子著、文藝春秋、2008.03.01
    (2014年3月18日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    歴史には時代の流れを決定づけたターニングポイントがあり、それが起こった原因を探っていくことで「日本が来た道」が見えてくる。ペリー来航をはじめとする西欧列強の圧力―それはかつてない危機の意識を人々にもたらした。1867年→1866年→1860年→1853年の日本史上最大の“革命期”を活写する。

  • 内容は、「挙国一致」を軸に、「公議政体」や「公議・公論」が形成していく過程を描いたものです。

    また、三谷氏の著作『ペリー来航』(吉川弘文館、2003年)で紹介された、ペリー来航以前の幕府による情報把握なども触れられており、専門以外の方には非常に新鮮に感じられたのではないでしょうか。


    一つ問題なのは、幕府側の研究動向(cf:幕長戦争時の幕軍軍備など)をもう少し踏まえて述べないといけないのではないでしょうか。
    幕末維新史の通史としては、近年の研究成果がきちんと踏まえられている一冊です。

  • 幕末についてはほとんど何も知らなかったので、大変勉強になった。
    するする入って行けたので、入門書としては抜群の出来だと思う。

  • ちょっと物足りない。もう少し踏み込んだ分析がほしかった…

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著者プロフィール

跡見学園女子大学文学部教授/東京大学名誉教授

「2020年 『日本史のなかの「普遍」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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