NHK「100分de名著」ブックス 新渡戸稲造 武士道

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815298

作品紹介・あらすじ

明治の近代化のなかで、日本人が初めて海外に向けて、自国の文化の全体像を示した書である『武士道』。義、勇、仁、礼、信、そして名誉、忠義…。桜花にたとえられた武士の精神と、日本人の依って立つ思考や道徳意識は、いかにして生まれたか。グローバル・スタンダードの荒波が押し寄せ、寄る辺ない風潮の漂う今だからこそ、本書を通して考える-日本とは、日本人とは何なのか、と。

感想・レビュー・書評

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  • 当時の時代背景を考えると、本書が日本の国益に果たした役割は大きい。
    現代でも「欧米に倣え」の風潮は根強く、「日本人らしさ」を大切にすると言う点も共感が持てる。何でも欧米スゴイというのも違うと思う。
    しかし、最近「日本スゴイ」論が蔓延っているように感じており、ちょっと食傷気味な私としては「この本は“今”じゃないかなぁ」という感じ。
    謙虚さを忘れずに読みたい一冊。

  • ひとつの日本人のルーツとして、無意識にある常識の源流を認識。世間に生かされた、江戸時代の支配階級としての武士の精神様式の構造に納得。

  • 「『武士道』とは…」
    日本の象徴のような一冊ではあるけども、なかなか読む機会のなかった本に、チョット近づく事が出来た一冊。
    著者は、本書とは別に『現代語訳 武士道』も執筆しておられるので、次はそちらを手に取りたい。
    現代の日本人が、二本差しを腰にした武士をどう受け止める事が出来るのか。
    その辺の勘所と、『武士道』という著作の意味を教えてくれた本でした。

  • 海外では宗教の考えに沿うことで道徳教育がなされていたなかで、宗教が薄い日本ではどうやって道徳を授けたのかという点を原作著者が解説した本
    日本人"らしさ"の原点がまとめられている。
    メディア等で外国人に比べて、日本人は○○がダメだ、謙虚すぎるなどを目にすることをあるが、
    日本には日本の価値観があり、道徳があり、伝統があり、文化があり、それらはグローバルに対応していくことと同じかそれ以上に大事なことだと思う。
    ありきたりの結論だけど、日本人にとっての自分にとっての道を定義すると後悔ない人生が送れる。

  • おすすめ度:80点

    あらめて自分は日本人であることを自覚する。
    「武士道」は「日本人の魂」という副題が示すとおり、日本人の拠って立つ道徳意識や思考方法というものを、つまりは日本の文化というものを、さまざまな事例をあげながら明らかにした本である。
    元国連事務次長明石康氏は、カンボジアで亡くなった中田さんのご両親が示した態度、東日本大震災での被害にあわれた方々の行動が、「静かなる威厳」であると海外からも評価されている点は、武士道の克己が今もっても日本人に脈々と受け継がれていると指摘している。
    「武士道は日本の標章である桜の花にまさるとも劣らない、わが国土に根ざした花である。」(「武士道」より)

  • 新渡戸稲造 武士道 山本博文 NHK出版
    日本的思考の根源を見る

    武士道を語る稲造は利他的な武士道とも通じるクエーカーの信者であり
    1920年以後の国際連盟事務次官を長く務める
    稲造の武士道を読んで疑問を持った人に
    ぜひ読んでもらいたい本である
    日本人の特異性を事細かに分析した内容で
    現代の日本人が自分を知るためにもとても役立つだろう

    武士道を通して吹き溜まりである極東列島に住む
    多様な日本人が縄文の古来から育んできた
    高い自尊心からなる倫理観と道徳観による立ち居振る舞いについて
    欧米人の理解を促すために紐解いた新渡戸稲造の「武士道」を
    更に山本博文が解析して矛盾や説明不足な点を補い
    日本人にも納得しやすくした「武士道」の解説本である

    おすすめの翻訳
    矢内原忠雄訳は古典的名訳
    山本博文訳は「現代語訳武士道」ちくま新書

    物質性と精神性を兼ね備えた封建的な時代の政治は
    多かれ少なかれ利己心の前に利他的な大所高所に立つ
    命がけの視野を持つ信念によるものである筈だった
    特に信長・秀吉・家康は秘めたる志を温めていたのではないか
    その根底に潜むものは仏教心であり道教であり儒教であり
    それらを受け入れる神道を根とした武士道ではないだろうか
    気品を無くして物質主義に陥った明治以降の競争原理社会である
    資本主義や未熟な共産制独裁社会が今に続き
    政治を始めとする行政司法や教育の場に倫理観や道徳が歪められ
    利己的な損得感に選挙された理不尽な法支配による暴力と搾取が
    蔓延している闇の時代が現代である

    この本はとても読みやすく翻訳されているけれども
    残念ながら稲造の心に届いていないと思われる

  • 新渡戸稲造の著作でタイトルを知っている「武士道」の内容が知りたくて読んだ本。新渡戸稲造の経歴や「武士道」の内容を知ることができて良かった。切腹の説明が多かった。この本を読んで「100分de名著ブックス」の「茶の本」や「代表的日本人」が読みたくなった。

  • 「日本には宗教教育がない。どうやって道徳を教えるのですか?」という質問に対して、クリスチャンの新渡戸稲造がどう答えたか知りたくて読んだ本。ちくまの「武士道」を直接読もうと思っても、なかなか読み砕くことができなくて助けてもらった。

    「武士とは死ぬことと見たり」の言葉の意味がわかった。
    名誉や恩をなによりも大切にして、それを支えるものがあって日本人の道徳観はあったんだよ、と教えてもらった感じ。
    なかでも「切腹」の話は面白かった。
    そもそも切腹は、真心を他人に確認してもらう最終手段だったんだ。腹を割いて証明する、東洋の考え方だよなぁと感じる。

    じゃあこの「武士道」をどう現代風に解釈して生かすか、というのはまだわたしには掴めてない。


  • 時代に左右されない普遍的な道徳としての武士道を英語でつづり、明治後期19世紀末において世界に日本的思考を伝えた文化論。

    空気を読む特質や散り際の潔い桜を愛で、東日本大震災のような逆境においても冷静でほほえみを浮かべる文化は武士道に源泉がある。

    武士道の要点

    定義 戦士の掟
    支配階級にあるものとしての責任を自覚したうえで、身につけ守るべき教え

    3つの源泉
    仏教 生に執着せず死に親しむ心
    新道 忠 孝 祖先崇拝 を説く
    儒教 人の持つべき基本的な道徳


    武士道の教えと構造

    名誉をかけて恥を恐れる
    人格形成が第一で思慮知識弁舌は二の次

    武士道の構造

    忠 目上の者に対する服従と忠実
    義 卑怯や不正を憎む
    勇 正しいことのために行為をなす
    智 単なる知識ではない叡智
    仁 弱者に対する思いやり
    礼 他人を思いやり社会的地位に敬意を払う
    信 嘘をつかず口に出したことは守る
    仁 弱者に対する思いやり

  • 日本人のルーツを再認識。深く読み込みたい書。

  • Oh! BUSHIDO The Soul of Japan!! You want to more info ? Leave it to meΨ( ̄∇ ̄)Ψ !

  • 2013/3/25

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著者プロフィール

1957年、岡山県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。文学博士。東京大学史料編纂所教授などを勤めた。1992年『江戸お留守居役の日記』で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。著書は『寛永時代』(吉川弘文館)、『日本史の一級史料』(光文社新書)、『歴史をつかむ技法』(新潮新書)、『流れをつかむ日本の歴史』『武士の人事』(角川新書)など多数。NHK Eテレ「知恵泉」を始め、テレビやラジオにも数多く出演した。2020年逝去。

「2022年 『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全16巻+別巻4冊定番セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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