MAKERS 21世紀の産業革命が始まる

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815762

作品紹介・あらすじ

『ワイアード』US版編集長で世界的ベストセラー『フリー』『ロングテール』の著者クリス・アンダーソンが、新産業革命の最前線へと読者を誘う。今日の起業家は、オープンソースのデザインと3Dプリンタを使って製造業をデスクトップ上で展開している。カスタム製造とDIYによる製品デザインや開発を武器に、ガレージでもの作りに励む何百万人という「メイカーズ」世代が、製造業の復活を後押しする。ウェブのイノベーション・モデルをリアルなもの作りに持ち込むことで、グローバル経済の次の大きな波を起こすのだ。世界規模で進行する「メイカームーブメント」を決定づける一冊。

感想・レビュー・書評

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  • いまさらながら、Makers The new industrial revolution読了。発売当初は「3Dプリンタが21世紀の産業革命だって?そんなに影響度ないだろ」とスルーしていたが、ここ数年で3Dプリンタも精度アップとコストダウンしてきており、やっぱり欲しいなあと思いなおして、読み始めた。3Dプリンタの本かと思っていたが、必ずしもそれだけの本ではなく、モノづくりのデジタル化・デスクトップ化・オンライン化の潮流について解説した本だといえる。この潮流は2020年でもまさに進展していて、中東では3Dプリンタで作る住宅も出始めているし(ずいぶん前かも)、職場でも所有している部署が出てきているし、活用している人も増えてきた。家庭用のものを持っている人もちらほら聞く。流行りの(?)デザイン思考のプロトタイプ製作でも活躍することが多いだろう。2012年当時でもすでに起きていた潮流とはいえ、書いてある通りにある程度未来が進行しているという意味では、しっかりした本だと思う。
    しかし読みながら、「これを紙の本で読んでる俺ダサくね?」と思うこと数多(あまた)。

    以下引用。

    P32 つまり、メイカームーブメントには、三つの大きな特徴がある。その三つのすべてが、これまでとは違う、新しい流れだと僕は考えている。
    1 デスクトップのデジタル工作機械を使って、モノをデザインし、試作すること(デジタルDIY)。
    2 それらのデザインをオンラインのコミュニティで当たり前に共有し、仲間と協力すること。
    3 デザインファイルが標準化されたこと。おかげで誰でも自分のデザインを製造業者に送り、欲しい数だけ作ってもらうことができる。また自宅でも、家庭用のツールで手軽に製造できる。これが、発案から起業への道のりを劇的に縮めた。まさに、ソフトウェア、情報、コンテンツの分野でウェブが果たしたのと同じことがここで起きている。

    p32 世界中のガレージ職人よ、立ち上がれ!

    p83 つまり、人間は、二十世紀の市場が思っていたよりずっと多様だったのだ。

    p85 才能さえあれば、だれにでも、どんなものでも作れるようになった。

    p85 「これは、アマチュアのルネッサンスなのだ」

    p95 アトムが新たなビットになるのには、要するに、アトムがビットのごとく振舞えるように作られるようになったからだ。

    p108 デスクトップ工房 四種の神器 3Dプリンタ CNC装置 レーザーカッター 3Dスキャナー

    p288 僕らは今、世界を再びフラット化しつつある。だが、その次元は依然とは違う。オートメーションのおかげで、製造業に占める人件費の割合はほんの小さなものになっている。電子機器の場合は、ほんの数パーセントといったところだ。そうなると、輸送費や時間といったほかの要素がより重要になってくる。

  • まず私は著者に詫びないといけない。
    本書を読む前、メディアから漏れ聞く情報で、
    「3Dプリンタの入門書」程度なのではないかと想像していたことを。

    とんでもない。本書は、まさしく「新たな産業革命」を
    確かに描き出した、ものづくりの過去から現在、未来に至るまでの
    マイルストーンとしての記録と言えるようなものであり、
    また著者クリス・アンダーソンの家族と個人の過去から未来への
    メイカー・スピリットの継承を記憶した書でもある。

    まとめなどは下記リンク先に譲って、
    とりあえず私の所感をメモっておくと。

    ウェブという手段と、オープンソースという思想が
    不可分に結着し、低コストで国境や言語を超えた情報交換を可能にした結果、
    まずさきに情報の世界に革命が起こり、
    しかしものづくりについては、技術進歩や文化普及がボトルネックで
    進んでいなかったのだが、
    3Dプリンタ(これだけを取り出すと、本書を読む前の私のような誤解が
    生まれやすいので気をつけないといけないが)のような卓上成形ツールや、
    あるいは少数受託生産というビジネス方式が続々と発展したことで
    ボトルネックが解消されていき、
    そして資金調達という、数千年来の人類がビジネスを営むうえで
    課題であり続ける部分を、ウェブ先導のクラウドファンディングという
    文化の成熟によって、イニシャルで多数の個人からお金を集めるという
    モデルが成り立ったことによって、
    ついに「メイカー」なビジネスが、既存の大量製造方式で応えられなかった
    課題、顧客需要を満たすものとして、世界を変えるフェーズに
    入ってきた、というところかと思う。

    このムーブメントは本物で、本当に世の中へのインパクトをもたらすだろうと
    思う反面、
    しかし、私は日本からあんまり出たことがないのもあって、
    たとえばアメリカのITカルチャーの強いところでのみ騒がれているだけなのか、
    もっと広いレベルで今時点でインパクトがあるのかがよくわからん、とも思う。

    たとえば日本で見ると、やっぱり大企業のものづくりへの信仰が篤いし、
    さもなくば、本書で出てくる「エッツィー」的な手作りを讃える文化、というところで
    その間を切り開いていくようなメイカーな感じはまるで見られない気がする。

    ウェブをはじめとした情報のみで完結する世界と違って、
    現実のものが動くのは、その摩擦力の大きさ、そして既存のリプレイスの
    コストが壁になって、なかなか変わらない。
    もちろん、著者はそんなことはよくわかっていて、それでもなお、
    今世紀はどんどんメイカー的な流れが、これまでのビジネスのあり方を変え、
    大企業が人件費の安いアジアに製造拠点を移すだけ、という手法ではなく、
    デザインから、ロボットを駆使した生産(受注委託も含め)によって
    製造の拠点は先進国に戻ってくるだろうと予測している。

    さて、日本だとそのあたりはどうなのだろう。

    -----------------------------
    まとめ-「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」に出てくるサービスや会社や人物を調べてみた。
    http://bit.ly/1bfMaA5

    『MAKERS』を1章140文字でまとめてみた - NAVER まとめ
    http://bit.ly/1fvjvbC

    ///

    http://www.amazon.com/dp/B0083DJUMA
    Makers: The New Industrial Revolution [Kindle Edition]
    Chris Anderson (Author)

    ///

    (レビューは
     http://evolution.edoblog.net/
     に投稿のもの)

  • 久しぶりに大きな感銘を受けた。
    Wiredは読んでいるし、3Dプリンタも知っていた。しかし、本書を通して読むことで、今まさに産業が改革されているのだと感じられた。
    誰でも物を作るようになるという予想は外れるだろうが、ビットとアトムの相互変換というフレームワークは頭に入れておく必要がある。本書で取り上げられたサービスや事象の例は、今後5年の世界を占う上で参考になる。
    是非とも読むべき一冊。

  • ものづくりのデジタル化の動きを追った本。

    その特徴は以下の3つで表せられると思う。
    ①多様性はフリーになる(ひとつひとつ違うものを作っても、全部同じものを作るのとコストは変わらない)
    ②複雑さはフリーになる(精巧で手間のかかるものを作っても、シンプルなものと同じコストで作ることが出来る)
    ③柔軟性はフリーになる(生産が始まったあとで商品に変更を加える場合も、指示コードを変えるだけでよい)

    ものづくりにおけるctrl+zの導入はまだか

  • ドローンで有名な3D Robotics社のCEOであるクリス・アンダーソンによる、製造業のこれからを綴った本。

    今後は大企業による大量生産ではなく、個人や小企業による多品種少量生産の時代がやってくると予言しています。

    時代は正にクリス・アンダーソンの言う通りになりつつあります。

    その分企業でエンジニアをしている人にとっては選択が迫られている時期なのかもしれません。

  • 人間の歴史が楽をしていい気分でいるためにはどうすればよいのか、を考えてきた歴史だとすると、このような「自分で選び取る」「カスタマイズする」というものはなかなかメインストリームにはならないだろう。もちろんこういったメイカー達はメインストリームになろうとしていない訳だけど、一旦消費者になってしまった大多数の人々はやはり消費者以上のものにはなかなかなれないのでは、と思う。

  • 少し前、TVで3Dプリンターの展示会のニュースを見た。ビックリした。3Dプリンターとはコピー機である。二次元ではない。三次元なのだ。SFの世界がそこにあった。この本は、そういう世界の話かと思いきや、少し違った。話はもっと先に行く。プリンターは一部であって、そこから新しい次元の産業革命が始まっているというのだ。内容的には、私は製造業に疎くて付いていけなくなる場面も多かったが、幸い訳者後書きがうまい事要約してくれていた。少し長いが、紹介する。

    (略)アンダーソンが指摘するように、ほんのひと昔前まで産業機械だったコンピュータやプリンターは「デスクトップ」とは対極にあるものだった。しかし、ひとたび「デスクトップ」と「コンピュータ」が結びついた時、人々の生活が大きく変わった。そしてそれがインターネットにつながったとき、革命が起きた。でも、それはまだ本当の革命ではないのです。本当の革命は、それが実体経済に影響を及ぼすとき、つまりものの作りのやり方が変わるときに起きるのです。とアンダーソンは言う。「デスクトップ」と「工作機械」が結びついた時、それまで大企業のものだった製造の手段を個人が持つようになり、ビットの世界で起きてきた革命がアトムの世界で起きるのです、と。スティーブ・ジョブズがパーソナルコンピュータを通して世界を変えたように、製造の手段を持つ無数の個人、つまり「メイカーズ」が世界を変えることができるのだという。しかも、それが社会と経済に及ぼす影響は、ビット世界の「フリー」や「ロングテール」よりも、はるかに大きく、深いものになる、と。
    個人によるもの作りの革命を後押しするもう一つの大きな変化は、ブローバルなサプライチェーンが個人にも開かれてきたことだ。材料を調達し、部品を製造し、それらを組み立てるプロセスは、これまで大企業に独占されてきた。それが、ポノコやシェイプウェイズなどのウェブの製造委託サービスや、アリババなどのマッチングサイトを利用することで、プロ用の工作機械を所有しなくても、個人が大企業と同じ製造能力を手に入れることができる。お金がない?だったらキックスターで資金を集めればいい。それを売るには?ウェブサイトを立ち上げてオンラインで販売すればいい製造業を起業しようと思ったら、パソコンとインターネットがあればこと足りる。(略)

    あとの「要約」は本書を読んでないとわからない言葉だらけなので省略します(これでもわからない人にはわからないと思います)。ひとつ大事なことは、メイカーズは特許権を主張せずに全て公開していることです。もちろん、その方がはるかに利益があるからそうしているのです。イマイチ仕組みがわからなかったのですが、事実が証明しているようです。

    204pで、近く(アメリカ)と遠く(中国)で製造委託の利益が出る波を図で示していた。100個単位の試作品ならばアメリカ、1000個単位の製造委託ならば中国、柔軟な生産の必要性があり自社工場の一万個単位ならばアメリカ、費用削減の必要性があり10万個の製造委託ならば中国という風である。

    これだけをみればまさにTPPの世界である。関税障壁が無い方が更に利益を産むだろう。しかし、一方でこれらを進めるのは大企業ではなくて、個人や中小業者だというのは、「新しい世界」のように感じる。マルクス経済の立場からの分析を切に望みたい。

    なにか「途轍もない変化」が始まっている気がした。

    2013年7月17日読了

  • 【要約】


    【ノート】

  • 専門用語が理解しにくくて読みずらい
    未来では誰でももの作り出来る話

  • 大量生産の時代から個々人の多様性に合わせたオーダーメードの時代へ。この流れはなんとなく共通認識となっているが、どのように製造業が変化していっているのかわかっていなかった。この本を読むことで、新しい製造業の形がみえてきた。この本で紹介されているスタートアップには既に頓挫しているものもあるが黎明期特有の熱気みたいまものを感じることができ、わくわくした。3Dプリンターとレーザーカッターが安価に手に入るようになった今、モノづくりのハードルはぐっと下がっている。オープンイノベーションにより世界の知を取り込むことができればとてつもない発明ができそう。キックスターターが流行っている理由もこの本を読めば納得。

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