ピレネーの城

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制作 : 畑澤 裕子 
  • NHK出版 (2013年3月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140815977

ピレネーの城の感想・レビュー・書評

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  • なんだか、結局よくわからなかった。
    昔、ひき逃げを起こしてしまい、そしてそこからそれぞれ、人生の基幹ともいうべき価値観に目覚め、離れてしまった恋人たちの、今。

    すべてがメールで語られ、主観以外が入り込む余地がないので、とてもミステリアスな作品になっていました。

    コケモモ夫人の言葉と、ラスト。
    意味深です。

    そして、最後のソルルンの言葉。
    「スタイン、あなたが正しかったのかもしれない!」
    あまりに絶望的で、胸を鷲掴みにされるようでした。

    やっぱりストーリーだけでは終わらない、世界の不思議に感嘆し続ける主人公は、ゴルデルらしくて好きです。

    またいつか、読み返してみたい作品。

  • 作者は『ソフィーの世界』の方です。
    ・あらすじ…学生時代に同棲していたけれど、【ある事件】をきっかけに分かれた男女が再び再会して燃え上がる昔日の想い。
    ・タイトル…マグリットの絵から
    ・表紙…ジギタリスの赤と雲一つ無い快晴のカバー絵

    自然哲学と唯心論と唯物論の議論。頭が死ぬ300頁。しかも300頁も議論して出した結論を不可知論に放り投げる不安な読後感。登場人物たちの
    精神が破滅しないか不安になるラスト。さ、さすが哲学者が書いた小説ですわ…(虚無
    [読了日2015/12/13]

    作品の見所(どうしてこんなに不安な読後感なのかを個人的に考えてみる)
    ※若干ネタバレあり

    *ソウルメイトとの別離
    作中の二人(ソルルンとスタイン)は「一本の弦を奏でていた」仲。二人の恋愛を超えて愛を育んでいる関係にはパッションを感じました。でも二人ともそれぞれパートナーがいるので…これはとても不倫的な…(第三者の旦那さんの立場が……)。二人とも学生時代から互いに不可知論を育んできたようです。遺跡にいって原始時代ごっこをしながら同棲するとか70年代のノルウェー人すごい。恋人に「地球が破滅して宇宙の孤独を感じた時、私を迎えてくれるのは貴方だけだった」とまで言わせ、長い別離を経てめでたく再会………出来なかった!;ω;
    →互いに唯一無二ソウルメイトであることを示唆しながらも二人は凄惨な死別。残された方の孤独を思うと虚無を感じます。

    *宙づりの議論
    作中は【①唯心論(精神を主体とする世界観)=スピリチュアル、超心理学、有神論(クリスチャン)】vs【②唯物論(物体から独立した精神を認めない世界観)=自然哲学、無神論(汎神論的、と本人は主張)】の議論に大半のページ数が割かれています。宗教観、信仰の在り方、奇跡か幻覚か、人間の実在や地球史や宇宙論まで多種多様な話題。それぞれ、【①唯神論】と【②唯物論】の立場を絶対に崩さず(なので時々喧嘩腰になる)、それでいて互いの信仰に最大限の敬意を払いつつ……話を進めていきます。その中で、議論の中心にあるのは【ある事件】についての解釈。
    【ある事件】…作中では“こけもも夫人”のアレとぼかして言われる「深夜デート中にハイになって山中で婦人をひき殺してしまった(かもしれない)」「でも遺体は見つからなかった」「再び現場に戻ろうとしたら婦人の幻影が見えて謎のメッセージを送った」という事件。即警察(か病院)へ直行すべき事件ですが、警察はこの事件を解明できなかったので、主人公たち二人が哲学的・宗教的・心理学に解釈していくことになりました。かなり無謀な試みです、ハイ。でもトラウマってそんなものですよね。

    【①唯神論】vs【②唯物論】についての議論は「それぞれ対立する考え方ではあるけれど、真理は対立しない」「その真理は見方によって両者の要素を持っているが、同一のものである」という真っ当な結論に一応落ち着きます(ただしラストでこの結論を否定…後述)。形而上世界で発狂しかけていた方も、心の平安を取り戻して、穏やかな信仰を得るに至………らずラストで「私はやっぱり間違っていたかもしれない」と。え~…あんなに議論して出した結論が行方不明に……後味悪い終わり方です。

    虚無的な感想になってしまったのは、【①唯神論】vs【②唯物論】の結末が「①が否定されて②を肯定する」「①が成立する世界で②が肯定されたことによって②が否定される」という相互否定で何も残らない結末になってしまったためかと。不可知論を展開するためにこの結末が用意されてたのかな、とも…。不可知論って怖い…というのが正直な感想でした。
    終始して【①唯神論】vs【②唯物論】の議論だったのに、最期になって突然、第三者が介入してきて「もっと信仰を確かなものにすべきだったのでは」と口出しすることで、議論の土台が崩壊するんですよね…このあたりも虚無を誘発する要因かと。

    *【ある事件】の真相
    謎なまま残された【ある事件】。推理小説としても読める(多分)ので、消えた遺体の謎は「トレーラー」「ヘリコプター」で回収することも出来ます。幻覚か亡霊か、という問題も色々と推察できます。
    「わたしはあなたの過去、あなたはわたしの未来」という謎の言葉については、「人をひき殺して罰として、自分も同じ様にひき殺される」という冷徹な正義が下ったようにも見えました。ずっと形而上世界の話だったのに、最期にして突然倫理規範の問題?が出てくるのも、やるせない……虚無だなぁ…

    このあたりが、この作品を「ぇ……(虚)」にしている要素かと思います。
    精神をごっっそり削られる小説でしたが、衝撃的な作品で、胸に迫るものがありました。読んでよかったです。でもあまりオススメはしません…。
    スピリチュアル的な唯心論が好きな人とか、形而上世界への並々ならぬパッションをお持ちの方なら至る所で「あるあるww」を実感できるかと思います。

    *『ピレネーの城』を読んで観念論について思ったこと(メモ)
    観念的なもののとらえ方には二種類あると思っています。
    ①イデアがあって、実在がある
    ②実在を通して認識できるのがイデア
    の二つ。個人的には、唯心論を徹底させる(それこそ信仰のレベルにまで持っていこうとする)なら、①の世界観じゃないとつらいなぁ…と思いました。②だと、実在を通さないと観念世界が認識できないじゃないですか…つらくないですか…?(このあたりが不可知論の醍醐味?なんでしょうか。そこに底知れぬ恐怖を感じてしまう私には、まだ遠い境地だなと。
    http://yunagi1313.blog112.fc2.com/blog-entry-707.html

  • 2016.03.09

  • 途中の哲学的な話とか、興味深い内容でした。ものすごく読みやすかったし。
    結末も、すとんとおさまりよくてよかった。

  • とても面白かった…が、ちょっと怖い気もします。

  • 運命的に再会した昔の恋人どうしのメールのやりとりだけで話が進んでいく。人知を超える力のようなものを信じるか否かで二人はもどかしいやり取りを続けていくが、彼らを決定的に引き裂いたある「事件」を振り返ることにより少しずつ歩み寄っていく。そして最後の最後まで読むと…「事件」の意味がわかってくる。この結末、「こけもも夫人」とは誰だったのか、運命というのは何か…いろいろと考えさせられて、ぞっとします。

  • ゴルデルは、話の運びが上手い。ミステリー仕立てで、一気に最後まで読ませられてしまった。30年の時を経ても惹かれ合う二人。別れのきっかけとなった出来事が、物語のキー。

  • 読みにくくて時間がかかった。
    喧嘩メールを読む感じで、
    ちょいちょいいらっとした。
    彼女が彼のほうが正しかったかも、と言ったのは何の事なのかとか
    誰か解説してほしい。

  • メールのやりとりを読んでいて この二人ほんとに付き合っていたのかと思うほど 訳がそう感じさせるのかな
    オチは早めにわかっちゃったので 読後感もさほどなく

  • 哲学ミステリーです。
    1970年代に青春の5年間を共に過ごした二人が、ある出来事をきっかけに突然別れる事となりました。そして30年後、二人は思い出の場所で偶然再会する事となります。
    二人にはそれぞれ家族がありましたが、偶然に再会したその日から、
    「読んだメールはすぐ消す事。」を条件にメールのやりとりを始めます。そのやりとりから、30年間二人は互いに相手の事を片時も忘れる事が無かった事を伝え合い、気持ちを確かめていきます。
    そして物語は、二人が別れる原因となった不思議で、恐ろしく、苦い思い出の出来事へと進んでいきます。
    この本では30年前に起こった出来事が核となり、その出来事についての二人の考えは両極端で、それをメールで討論するような対話式で物語は進みます。
    最後には驚きの結末があるのですが、哲学の捉え方が人それぞれであるように、この物語の結末の捉え方も人それぞれのように思います。
    読んだ後で、身近にこの本を読んだ人がいたら見解を聞いてみるのも楽しいと思います。自分とその人とのラストの捉え方は全く違うものかも知れません。

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ピレネーの城の作品紹介

1970年代、学生時代をともに過ごし、愛し合い、認め合っていたスタインとソルルン。ところが、ある"出来事"をきっかけに、突然の別れがやってくる。30年の歳月が流れ、思い出のホテルで、偶然に再会するふたり。離れていた時間を埋めるかのように濃密なメールのやりとりが始まる。なつかしさ、せつなさ、苦い思いを胸にふりかえる青春の日々。ふたりは、たがいに片時も忘れることのなかった"愛"を確認していく。そしていつしか、封印していたあの"出来事"の核心へと話が及んだとき…人生を操るのは"運命"なのか"偶然"なのか。衝撃のラストに心震えるおとなの哲学ミステリー。

ピレネーの城はこんな本です

ピレネーの城のKindle版

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