猿神のロスト・シティ―地上最後の秘境に眠る謎の文明を探せ

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140817162

感想・レビュー・書評

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  • 中米ホンジェラスに伝わる「猿神王国」伝説。熱帯雨林の奥地に謎の古代都市群が存在していたという、過去に数々の探検家が都市の場所を突き止めようとしたものの未開のジャングルの脅威やホンジェラスの政情不安や殺人発生率世界一という治安の悪さも相まって、そこは未開の地であった。

    最新のテクノロジーを駆使し、空中からの探索によりある程度の目処はつけれたものの、考古学的なグラウンドエビデンスも必要というのが考古学を知らない者からしたら驚きだった。世界にはまだまだ発見されていない土地があるのも驚きであった。

    また、都市の発見後のアフターストーリーにも力が入れられており、作者も言及していたが、冒険には未知あるいは研究の進んでいない病気がつきものであるのを実感した。これをきっかけに、この病気の解明も進めば良いと思う。

    発見された遺跡の調査と文化の解明は今後進展していくものだと思うので、ニュースなどを注意深く観察しようと思った。

  • ホンジュラスの辺境、モスキティア地方に眠る古代遺跡をめぐる冒険。1994年より前は、75年間にわたり何度か数名の冒険野郎が探しにでかけたものの見つけることができなかった幻の白い都市。この詐欺まがいの冒険レポートが案外笑えたのだけど。
    本編はその後。テレビプロデューサーが白い都市を探すプロジェクトをはじめるところから。その後科学技術が劇的に進歩し、ライダーを駆使した3Dマッピング技術が猿神のロストシティの手がかりを見つける(その技術を考古学者が否定するところもおかしかった)
    まさに人もいない未開の地での冒険、考古学者やクリエイターの挑戦はなかなかドラマチック。しかし、帰国後、スタッフの半数に発症したリーシュマニア症の話から、エンディングはパンデミックの考察にいたる。いろんな視点、話題がてんこもりの興味深いノンフィクション。

  • 映画になったらとても見られないものができそう…

  • ☆ホンジュラスでマヤ文明とは別の文明の痕跡が発見された。
    ナショナル ジオグラフィック 2015.3.2に記事

  • ただの遺跡発掘物語に終わらず、我らの文明の行く末まで考えさせられた

  • 遺跡や文明そのものはまだまだ謎に包まれているようで、解明されたとは言い難い。しかし、発掘に至るまでの準備や様々な障害に始まり、ジャングルでのリアルな体験、最後は、感染症から思い巡らす人類史の大きな流れ、と読み応え満点。
    銃・病原菌・鉄を読みたくなる。

  • 大長編ドラえもん『のび太の大魔境』の冒頭でたしか地球上はくまなく調べ上げられていて、前人未到の場所なんてない、といった件のやりとりがあってそこから物語が始まったと記憶している。しかし前人未到の地は実在した。本書は実在する最後の秘境と呼ばれる地で考古学的調査を行ったチームに同行して取材したものである。これは小説ではなくノンフィクション。
    著者は考古学者ではなくジャーナリスト。今回、ナショナルジオグラフィックの資金を得てこの取材を行う。
    ホンジュラスの森深い地に昔から伝説の都市があるという噂が絶えなかった。著者は別の取材中にその幻の都市の情報を
    手に入れ、なんとかこの調査に同行させてもらうことになった。調査は盗掘などを避けるため極秘に行われた。
    幻の都市はリモートセンシング技術による調査によって、何やらこれまで調査されたことがないジャングルの奥地に人工物らしき
    ものがあり、そこがかねてから噂のあった幻の都市の位置に近い、ということで噂でしかなかったものがにわかに現実味を帯びて
    来た。そこで実際に調査することになるが、ホンジュラスのその地は世界一殺人事件が多いと言われ、さらに麻薬組織が牛耳っており、ジャングルも毒蛇や昆虫、病原菌によって人を寄せつけない、という危険極まりない調査になるため、サバイバル術に長けた
    元軍人、そして資金が莫大に必要なためスポンサーとなった映画監督、考古学者、著者、そして調査をうまく進めるための交渉人(といっても裏の世界の人間)というチームで調査が行われたところが、面白みを増加させている。
    ジャングルを歩いて現地入りするときの命がけの行進と、実際にその目で確かめた幻の都市の発見というセンセーショナルな
    発表とは裏腹に、周囲の考古学者からは批判的な意見が相次ぎ、なかなかうまくコトが進まないという現実がまるで映画のようで
    面白い。本書の後半は、ジャングルに入って調査したメンバーの多くが、調査後にジャングルならではの命に係わる病気を発症するという体験談が語られる。その体験を通じて著者なりにこの文明が崩壊した原因と、環境破壊が進む今の文明の将来がどうなるのかについての
    解答が得られたようである。
    以上のように本書はジャーナリストによる取材と体験によって構成されており、考古学的な調査や分析が詳細に書かれているような内容ではない(調査は現在も進行中)。だからといって大げさにそれこそ映画風に飾り立てた言葉で、幻の都市の発見を取材しているわけでもない。淡々と語られる取材内容は、どこか物足りなさを感じるが、この発見が非常に貴重なものであり、だからこそ慎重にすべきであるという心意気が感じられむしろ好意的な気持ちで読み終えた。この遺跡の調査はホンジュラスの国民のアイデンティティを確立する上でも重要な研究
    と位置付けられているが、政権が不安定で交代が相次いだり、資金が政府になかったり、この調査に対する批判的な意見がいまだ多かったり、と今後の動きは不透明である。

  • ホンジュラスに500年前から伝わる「猿神王国」伝説は熱帯雨林の奥地に謎の古代都市が存在していたという。その伝説が真実かどうか過去多くの探検家がジャングルに足を踏み入れたが、伝説の一帯は人跡未踏の地のままであった。今回の探検でとうとうその地を発見した。探検は大きな成果をあげたのだが、その後に探検隊を待ち受けていたものは、マラリアに次いで世界で2番目に致死率の高い寄生虫病リーシュマニア症の罹患であった。恐ろしいことに地球温暖化によって米国にも広まる可能性があるのだ。やがては地球規模にまで。

  • 失われた都市ウバール
    モルモン教はマヤ人が失われたイスラエルの民であると主張した。1830年刊のモルモン書にレーマン人として登場する。レーマン人は紀元前600年ごろにイスラエルを出て、アメリカへ海路渡ったとされた。20世紀になるとモルモン教会は多額の資金を投入して大勢の考古学者をメキシコと中南米に送り込み、遺跡発掘によって真偽を確かめようとした。この試みは貴重な発見につながったものの、モルモン史観とは矛盾。
    リモートセンシングに使うライダーはアメリカの軍事技術を利用しているため、なかなか使えない。
    メキシコのアンガムコの遺跡には、上空から見ると鍵穴のように見えるピラミッドもあった。

  • 21世紀まで前人未踏の地として取り残された「猿神王国」。この発達した現代の叡智をもってしても逃れられない毒蛇や毒虫の恐怖、病原菌…
    ジャングルに
    足を踏み入れた瞬間から、ページをめくる手が止まらなくなる一冊。

  • まるで自分も秘境の古代遺跡発掘に参加しているような、そんなリアルなドキドキ感を味わえる一冊だった。簡単には人が立ち入ることのできない、蛇やジャガーがうろつくジャングルに、命をかけて乗り込んで行く。現代の最新機器を持ち込んで、昔よりは的確に目的地へたどり着けるようだけれど、それでも大きな危険が伴う事に変わりはない。古代遺跡を見つけた!すごかった!だけの話では無く、その場所がなぜこんなにも時を超えて忘れ去られた場所になっていたのか。その謎を探ると、昔ヨーロッパ人が植民地化のためにやってきてから、先住民たちの数が激減していった歴史なども知ることになる。現代にも受け継がれている恐ろしい感染症の話など、この本の中の出来事は私たちと全く無関係なものではないところも、怖さを感じる。

  • [memo]
    ・ホンジュラス、モスキティア地方、パトゥカ川、白い都市シウダー・ブランカ
    ・ジョージ・グスタフ・ヘイとセオドア・A・モード
    ・スティーヴ・エルキンス、スティーヴ・モーガン、ブルース・ハイニッケ
    ・ライダー(Lidar)、全米航空機レーザーマッピング研究所(NCALM)
    ・フェルドランス(クサリヘビの仲間、バルバ・アマリージャ)
    ・サシチョウバエ、粘膜皮膚リーシュマニア症

  • ホンジュラスの森林僻地も好きティアにある古代遺跡を過去の伝説をもとに最新技術ライダーを使って発掘を開始する夢とロマンの話。だが、そこから、コカイン主要流通元である新興国である事、不安定な政府とのやりとり、新世界と旧世界の病原菌の話(銃・鉄・病原菌からの引用多い)に発展していく。

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