- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140841563
感想・レビュー・書評
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心の秘密を解く唯識。三界は唯心の所現なり。
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難解でなんだか分からないことに定評のある唯識だが、なるほど、これはすっきり分かる。
なんで、識だけが存在するんだよ?
それって、自分の存在、すくなくとも自分の心の存在を前提としているんじゃないの?
つまり、仏教が否定したはずの実在論じゃないの?
外部が存在しないのに、なんで識が成立するんだよ?
一人一人が自分の識しかわからないなら、なんで相互理解が可能だったりするわけ?
そもそも唯識なる考えが伝達できるんだよ?
などなど、唯識については、分からないところが一杯あったのだが、相当程度、理解できた気がする。
つまり、すべては空で、相互依存関係で、根源というものは存在しないわけなんだけど、でも、私の心というものがあるという感覚もまた否定できない。なので、唯識は、とりあえず、仮の実在としての心をまず認めたうえで、その心が真の自己、つまり「空」の状態に到達するための、方法論を示す。つまり、プラクティカルな哲学なんですね。
なんだか、難解で、思弁的な印象が強かった唯識が身近に感じられた。
でも、やっぱり、外界は存在しないという唯心論的な考え方は、違和感があるなー。個人的には、中観派の一切は空である、という言い切りのほうが、好きかなー。
つまり、私や心は、空であるし、外界も空である。つまり、いずれも、同じように、存在するとも、存在しないとも言えないものではないかと。心と外界は、同時発生で、それぞれがお互いを前提として存在しているものではないかな、というのが、最近の私のアイディアかな。 -
やさしい語り口で、読んでいる時はスルスルと頭に入ってくるのですが、いかんせん用語が難しいので、本を閉じてしまうと「なんだったっけ?」となりがちでした…
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やさしいといっても唯識。
覚悟して読むべし。 -
大乗仏教の二大潮流は、『般若心経』に基づく「空思想」と『解深密経(げじんみつきょう)』などに基づく「唯識思想」であるといわれる。前者は「中観派(ちゅうがんは)」であり、後者が「瑜伽行派(ゆがぎょうは)」である。とくに唯識思想は、瑜伽(ヨーガ)を実践し、自己の心のありようを深層から捉え、浄化することによって迷いから悟りに至るプロセスと方法を詳細に分析しているといわれる。ヨーガの実践を通して発見された末那識(まなしき)や阿頼耶識(あらやしき)などの深層心理の分析は、現代の視点からしても興味尽きない。しかし、非常に難解な思想としても有名である。本書は、唯識関係の入門書のなかでも、とくに分かりやすく、しかもある程度全体像を把握できるようにまとめられている。複雑な唯識思想を読み解くための図がたくさん挿入されており、これも参考になる。また、できるかぎり私たちの生き方の問題とのかかわりのなかで唯識を紹介しようという姿勢が、さらに唯識を身近なものに感じさせる。
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わたしが唯識について知ったのは、三井英光さんのほんの短い解説からでした。そこからいろいろ考えて未那識については(平等性智とセットで)勝手に理解しましたが、阿頼耶識については自分の言葉で語ることがまったくできません。丸々一冊唯識についての本を前に、さてこれを読むとなにが分かるのだろうかと考えます。わたしにとっては既知のことではなく、まったく新たな知識と対峙すると思ったほうがよいでしょう。
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「唯識」とは、現代でいう哲学や脳科学を、仏教的観点から述べたもの。
宇宙はすべて識、すなわち情報から成り立ち、
観測機関である脳により識を観測し、一人ひとり違った世界をつくりだす。
「一人一宇宙」という本書での喩えは、非常に分かりやすい。
現代科学でいう、ハイゼンベルクの不確定性原理と共通する部分も多く、
さらに、この時代に潜在意識と顕在意識の働きを解明していたとは驚き。
仏教は実践道というように頭で理解するだけでなく、
ヨーガや瞑想を通じて世界のありようを体感する重要性を学べる。
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(2008/12/30読了)唯識の概説にとどまらず、唯識の教えを現代にどう活かすかということについて著者の熱い想いがこめられている本。