読書からはじまる (NHKライブラリー 211)

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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140842119

感想・レビュー・書評

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  • もう、メモして残しておきたい文章の宝庫でした。
    全部書き写したら、一冊の本になるくらい。

    「読む本」「読むべき本」が、本の全てではなくて、「読まない本」をどれだけ持っているかが大事。
    本は読んでも忘れることができる。忘れたらもう一回読めばいいという文化。
    発想の転換。

    子どもの本になくてはならない三つのもの
    1.古くて歳とったもの
    2.小さいもの
    3.大切なもの
    なるほど、と思いました。
    そして、断言できるほどたくさん読んではいないし、児童小説じゃないけど、窪美澄の小説って、この3つがちゃんと入っていると思いました。

    行間を読む。
    想像をする。
    感性を磨く。
    言葉で渡され、言葉で手渡すものは、言葉だけではない。

    表紙のいすの絵を見ただけで、この人の生活の中で読書が確かに位置づいていることがわかります。
    すわり心地の良さそうな、クッションなど置かなくてもずっと座っていられそうな座面と、片側だけの肘掛。

    そこで私はどんな本を読もう。
    何を自分に語りかけよう。

    最後に、幕末の人、橘曙覧(たちばなのあけみ)の歌。
     たのしみは 人も訪(と)ひこず 事もなく 心を入れて 書(ふみ)を見る時
     たのしみは 世に解きがたく する書(ふみ)の 心をひとり さとり得し時
     たのしみは そぞろ読みゆく 書(ふみ)の中(うち)に 我とひとしき 人を見し時

  • すべて読書からはじまる。本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です(p.214)という結びの言葉にグッときます。/読書というのは「育てる」文化、情報というのは本質的に「分ける」文化。/人びとにとっての元気がいい日々をつくりだすのは、信じられないかもしれませんが、元気のいい「図書館」です。(略)本の世界がつくってきたゆたかな時間がある場所です。(p.213)/"本の文化を成り立たせてきたのは、忘れるちから。読んだら忘れてしまえるというのが、本のもっているもっとも優れたかたち。再読することができるから。"という趣旨の一節。/のあたりが印象に残る。/わからなかったのが/本は読まれないことによって価値があるのです。読まないことによって、本を読まない人びとは、本の世界にいちばん深く関与していることになるのです。(略)本というのは読まないことによって、あるいは読まれないことによって、むしろ未来を得てきたのです。図書館という読まれない本を大事にする空間が、社会にとってなくてはならない場所となってきたのは、そのためです。(p.52)/というところ。なんだろう、この前後をあわせて読んでもよく理解できなかった。自分への宿題。/手に取りたくなったのは/ジョージ・ナカシマという世界に知られた椅子つくるのこしらえた、本を読むための椅子/「リトルジョンの静かな一日」という本。/ブリッグ「ゆきだるま」、バンサン「アンジュール」という言葉のない絵本/良寛詩集。そのなかの「宜しく耳を洗うべし」という一節。(耳を洗うとは我見を持たぬことだ)/トルストイ「イワンのばか」岩波文庫のなかの「鶏の卵ほどの穀物」/

  • 読書について考えさせられる一冊。

  • 長田弘 「 読書からはじまる 」 読書論。本を読む人の感情と時間をうまく定義している。言葉を 情報と区別している点は 言葉のプロである詩人ならでは だと思う

    本とは「本という考え方を表すもの」いい本とは 「その中に いい時間があるような本」

    本はもう一人の友人
    *友人との関係は ずっと続くもの
    *再読は友情の証
    *忘れてしまった大切なものを思い出させるのが本

    本を読むとは
    *新しいものの見方、感じ方、考え方を誘う
    *本の持っている時間を手に入れること

    言葉とは
    *言葉とは その人の生き方の流儀であり、マナー
    *言葉を豊かにするとは 自分の言葉を持つこと
    *人の表情や雰囲気など 情報でない言葉→感受力→近づく言葉(情報との違い)

    情報とは
    *時間を占有する→自分の時間を減らすもの
    *情報=競争→排除する力→共倒れ

  • 言葉とは何か、
    本とは何か、
    読書とは何か、
    考えるきっかけとなった

  • 「読書に必要なものは、本当は椅子です。」

    「図書館の本は読まれないからこそ価値がある」

    なかなか参考になった読書論。

  • 「大学新入生に薦める101冊の本 新版」という本でも薦められている本の一つです。この本を読めば、きっと本との向き合い方、読書に対する考え方が変わるはずです。
    これからはどんどん図書館に通おうと思うようになる本です。

  • 逗子図書館

    良さそう

  • 一風変わった読書論。

    表紙の椅子は『ギャラリーフェイク』でも見たことがある。一度でも良いから、この椅子に座り読書をしてみたいものである。

    本の文化を自分のものにできるかどうかの著者の考えには共感できた。

  • 絵本「百年の家」、「詩ふたつ」を読んで、こりゃあエッセイも見ねばなるまい!! と思い、読みました。
    詩人の語ることばは、重みが違います。
    好きな言葉に付箋を貼ったら、分厚くなっちゃってえらいことに。
    静かな語り口が、文章から立ち上るようです。

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著者プロフィール

長田弘(おさだ・ひろし)
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。

「2022年 『すべてきみに宛てた手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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