子どもが出会う犯罪と暴力: 防犯対策の幻想 (生活人新書 191)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140881910

作品紹介・あらすじ

「子どもを守る」を合言葉に広がる防犯対策。その主眼は路上に現れる「不審者」に向けられている。しかし現実に子どもが出会う犯罪や暴力は、路上ではなく圧倒的に屋内が多く、家族やよく知る大人たちからのものだ。著者は、多年にわたり育ててきたCAP(子どもへの虐待防止)プログラムなどの実践から得た知見に基づき、マスメディアが煽る不安の錯誤を暴き、さらには子どもに安心と自信をもたらす実効策を明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • メディアで大々的に叫ばれているほど、子どもが犠牲になる事件は増えてはいない。むしろ減っている。なのに、なぜこんなにも「不安」が人々の心に植えつけられているのか。同じ警視庁から出される統計資料でも、新聞によって取り上げられ方がかなり違う。
    実際に、見知らぬ人に殺害されるよりも、身内、顔見知りに殺される、又は性暴力を受けている子どもの方が多いという事実。
    PTAや大人たちが「不審者」探しにやっきになっているその近くで、子どもたちは自分が出会っている暴力を大人たちに打ち明けられずにいる。

    「一人では遊びに行かない」「暗いところを一人で歩かない」などの〜しない的は注意は、被害にあってしまった子どもにとっては、「自分が一人で遊んでいたから悪いんだ」「怒られる」と思って、被害にあったことを言い出すことができなくなってしまう。

    なんとなく監視社会へと向かっているような気がして、でもそれは防犯のため、安全、安心のためという一見もっともな意見が大勢をしめていて(そんな風に思わされているだけかもしれないけど)、大丈夫かなと思っていたんだけれど、この本読んで、ちょっとすっきりした感じ。


  • 最近の日本では防犯グッズが飛ぶように売れているそうだ。GPS付きケータイというものも販売されている。しかし本当に子供に対する犯罪は増加しているのであろうか?
    っというテーマに基づいて話が進められている本です。僕の評価といたしましては、「あ〜なるほど!」っと考えさせられる一冊になっていると思います。非常におもしろいですし着眼点がよい。

    この本から考えさせられることは、今の社会は情報が容易に入手できる代わりに情報操作が簡単に行われているような気がします。テレビやネットでウソであったとしても関心のある情報が流されるとみんな簡単にその情報を信じてしまう。実際は外装のみを変えた「新商品」をみんな買ってしまう。犯人ではないのに犯人であると報道され、視聴者は信じてしまう。情報を疑う心も大事だと思わさせられる一冊です。

  • CAP(子どもへの虐待防止)活動を日本に紹介され,子どもや女性のエンパワメントを図るさまざまな活動をされている森田ゆりさんの本です。
    子どもが出会う犯罪や暴力は家族やよく知る大人たちから受けるということを踏まえ,どのような対応が求められるのかについて書かれている本です。
    エンパワメントについて分かりやすく書かれており,ソーシャルワーク実践を行なう時に知っておくべきことが書かれています。

  • [ 内容 ]
    「子どもを守る」を合言葉に広がる防犯対策。
    その主眼は路上に現れる「不審者」に向けられている。
    しかし現実に子どもが出会う犯罪や暴力は、路上ではなく圧倒的に屋内が多く、家族やよく知る大人たちからのものだ。
    著者は、多年にわたり育ててきたCAP(子どもへの虐待防止)プログラムなどの実践から得た知見に基づき、マスメディアが煽る不安の錯誤を暴き、さらには子どもに安心と自信をもたらす実効策を明らかにする。

    [ 目次 ]
    第1章 不安の組織化が進んでいる
    第2章 まちがいだらけの防犯対策
    第3章 子どもが出会う性犯罪の実態
    第4章 子どもは様々な暴力にさらされている
    第5章 効果的な子どもの安心・安全対策
    第6章 不安を勇気に転じるCAPの役割
    第7章 危機管理の基本はコミュニケーション

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    [ 参考となる書評 ]

  • 「子どもを守る」を合言葉に広がる防犯対策。その主眼は路上に現れる「不審者」に向けられている。しかし現実に子どもが出会う犯罪や暴力は、路上ではなく圧倒的に屋内が多く、家族やよく知る大人たちからのものだ。「幻想の不審者」狩りでは子どもたちを守れない。

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著者プロフィール

元カリフォルニア大学主任アナリスト(ダイバーシティ・トレーナー)。元立命館大学客員教授。米国と日本で、多様性・性暴力・虐待・DV防止専門職研修とプログラム開発に40年たずさわる。虐待にいたってしまった親の回復プログラム「MY TREE」を開発、22年間日本各地で実践し1501人の回復者を出している。トラウマを負った子どもと大人のためのヒーリングヨーガALOHA KIDS YOGAを開発。そのリーダーを全国に養成。アメリカン・ヨガ・アライアンス賞を受賞。第57回保健文化賞、産経児童出版文化賞、朝日ノンフィクション大賞など受賞歴多数。『トラウマと共に生きる』(築地書館)、『子どもへの性的虐待』(岩波書店)、『体罰と戦争』(かもがわ出版)など多数の著書がある。

「2024年 『多様性とエンパワメント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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