雇用大崩壊―失業率10%時代の到来 (生活人新書)

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著者 : 田中秀臣
  • 日本放送出版協会 (2009年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140882832

雇用大崩壊―失業率10%時代の到来 (生活人新書)の感想・レビュー・書評

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  • 雇用に関するあらゆることが平易な言葉で書かれており、とても分かり易いです。とくに、この本は、民主党政権が誕生する前に記されていますが「第6章の雇用回復への処方箋」は時間の経った今読んでみても白眉です。その後、不況が深刻化することを言い当てているところに著者の先見性を感じることができます。

  • 大筋はいいけど、所々でDQNみたいな主張があり、あまり納得いかないような気がする

  •  日本の雇用情勢の現状とそれに対する処方箋を提示した本。

     興味深いのは双曲線的割引理論について。これは消費者が遠い将来の利益よりも目先の利益を追求しがちであることを説明した理論であり、それまでの「経済は合理的な消費者に支えられている」という「常識」に対する反論である。

     例としては、資格取得などの長期的なスキルアップを目指す人よりも、目先の資金のためにアルバイトをするという人が多いという状況がある。ここに人的資本への投資が過小になり、長期的に経済的豊かさから遠ざかって貧困に陥ってしまうという悪循環に陥る。

     だが、そのように目先の利益を過大評価する人に「お前に長期的視点はないのか」と言ってしまうのは筋違いである。そもそも上記のような貧困の悪循環を生み出しているのは不況(デフレ)なので、そこから抜け出さないうちにはどうしようもない。人は衣食足りて将来を考えるようになるのだ。

     著者の主張する景気回復の方向は単純明快。それは金融政策や財政政策により需要を増やすこと。ここで国債を発行することになっても、景気を回復して税収を増やすことにつながれば、国債を発行することになっても残高を抑制ないし減少させることができる。増税などの財政再建策は景気回復後に行えばいい。

     あとがきの「今の政党は高齢者の利益を最もよく体現している」という趣旨の記述には納得。政治を変えるのに最も有効な方法は投票権を行使することに他ならない。また、著者の言うような納税者番号制、社会保障カード制も遺漏なき社会保障のために望まれる制度だろう。

  • 雇用の問題を中心に今回の不況の原因と対策を解説。あんまり深い議論には踏み込まず薄く広くな感じ。分量は少なめ。

  • すごく分かりやすく書いてあります

    雇用問題の知識がまったくない人にお勧めかも

  • 分類=雇用・労働。09年3月。

  • 自分にしてみれば、そうそう、と考えが重なる部分が多い本。
    派遣法を規制して、一体何になるのか。もうずーっと前から言っていたが、ようやく回りからも同じ意見が上がってきて、すこし溜飲が下がる。
    ■働こうという意思すら持たない求職意欲喪失者については、完全失業率かの計算から除外されている
    ■日本の雇用システムは、大きく三層構造になっています。最上層(S層)の大きなブロックが正規雇用の従業員であり、その下にそれを補完する形で非正規雇用の層(A層)がある。その下にあるのが、いわゆる求職意欲喪失者の層(B層)
    ■雇用システムが硬直化し、既存の社員は正規も非正規も簡単には切れないとなると、新卒採用を計画段階で縮小しかない。そもそも採用数が少なければ、取り消す必要もない。これから問題になるのは、新たな就職氷河期の到来と、ロスト・ジェネレーション世代の再生産
    ■もっとも重要なのは、正社員や非正規社員という区別をなくし、とにかくイスの数を増やすこと
    ■企業は景気がいいときはB層から安価な追加労働力を求め、不況のときはA層からB層への雇用調整(パートやバイトのリストラなど)を行うことで、S層の安定を保ってきた
    ■なぜ非正規雇用が咲きにクビをきられるのかといえば、一つは正社員に比べて企業の中で持っている既得権が弱いからです。この状況を変えるために必要なのは、職業教育です。現状における最大の特効薬は、やはり不況対策。三番目のりゆうとして、「グローバル化説」
    ■なぜ、フリーターは正規社員になりにくいのか。第一は、リフレ政策による効果に注目するもの。第二の見解として、「双曲割引」という考え方に依拠するものがある。つまり、直近のことにとてもせっかちなのに、遠いことにはより耐え忍ぶような人だということ。彼らは「後回し行動」をするために訓練量が少なく、人的資本の蓄積が過小であると企業に評価されている。だから採用されない。
    ■忘れてはならないのは、そもそもフリーターのままでいいと思う人、つまりフリーターとして得る所得のままでいいと考える人たちが圧倒的に多い
    ■芸術家志望者は貧乏に甘んじやすい
    ■経済的余裕が無い人ほど、「双曲割引」の原理で職業を決めてしまいがちで、しかも公開をすることが多い
    ■問題なのは、政府が「ニート」の拡大解釈を前提として対策を打ち出していること、その典型例がジョブカフェ。一見もっともらしい対策に見えますが、そもそも政府関係機関が個々人の就職の手助けをする必要があるのでしょうか。こういう仕事は、従来は学校の就職課など担ってきた
    ■年功序列自体が、「年」と「功」の組み合わせを微妙に煽るような競争システム
    ■「プレイング・マネジャー」「グループ・リーダー」といったあいまいな管理職の増大で、成功者と脱落者の区別がつかなくなっている。このインフレが続く限り、労働意欲の減退は免れない
    ■アメリカ型成果主義を端的に表現すれば「アップ・オア・アウト」(昇進か、さもなくば退職か)
    ■景気対策の一つはイス自体を新しく作ること。もう一つは使われていないイスを修理して出す方法。眠っている消費や投資能力を掘り起こそうという考え
    ■財務省と日銀が協調し得ないのは「不況レジーム」を採用しているから。それは将来の天下り先への影響力や、省庁間における財務省の優位といった省益を確保するため。
    ■民間企業に正社員として就職するのは、難しい情勢。それなら、公務員として採用すればよい。ところが、それはできていな。現在雇われている公務員が反対するからです。
    ■学生に対しては奨学金をもっと拡充するべき
    ■オバマ大統領は「三〇〇万人雇用創出計画」を立ち上げた。あらゆる手段を講じて直接雇用を増やすでしょう。日本は公務員を減らすことばかり考えていますが、全く逆の発想です
    ■職のない人が社会に大量に漂流すると、さまざまな社会的コストが発生する。
    ■「年収三百万時代を生き抜く」というような意見は、社会のコンセンサスとしてもはや成り立たない
    ■派遣労働者のために、派遣法の改正を強化すべきという議論がよく聞かれます。しかし、これはかえって雇用機会を減らすだけ
    ■外国人労働者と日本人労働者を差別すべきではない。日本の雇用システムのバッファの中の、さらに都合のいいショック吸収材になっている。今は派遣労働者に対しては、それなりに声が大きくなっている。しかし外国人労働者を弁護する社会的な声は小さい。だから彼らは救済されない。

  • 読了

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