5人の落語家が語る ザ・前座修業 (生活人新書)

  • NHK出版
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883129

作品紹介・あらすじ

人気と実力で知られる落語界の5人のスターたち。彼らはどのような修業を経て真打になったのか?徹底して叩き込まれる序列への配慮と礼儀。師匠への過剰なまでの気配り。トラブルや危機が起きたときのとっさの判断と対処法。-それぞれの経験をふまえ、独自のしきたりが生き生きと語られるなか、落語への限りない愛情が浮かび上がってくる。"社会の前座たち"に贈る、一人前になるための英知の言葉。

感想・レビュー・書評

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  • 最後のガイダンスの章は斜め読み。意外にも正蔵の話が面白かった。
    昇太師匠はほんとに話し言葉が上手い。

  • 落語家さんの前座修業時代のでの色々が書いてあります。
    苦しかった時代があったからこそ今がある。教えられる事が色々あります。

  • 面白くないことを耐えたことが、面白さを生み、不自由に負けなかった者が、本当の自由を知る。他人に流されず、自身の感性を鋭く持ち続けることの大事さが身に沁みた。

  • 前座さんて忙しいねえ。でもこの修業時期に学ぶことはいっぱいあるんだろうね。私にも前座さんがついて家の掃除をしてくれないかなぁ。あ、まず私が師匠にならないとダメか。あはっ。

  • 「両手を添えて拭くその姿勢、その心が大事なんだと教わるんです。そこに修行の深さがある。物事には、きちんと腰を据え、両手を添えて相対するという気持ちが大切なんだと、厄介な掃除を通して教わるんです。そして、それが落語に出る」(柳家小三治)

    「喜んで身体を使って働くことは、前座時代だけではない、人生の基本だ」(林家正蔵)

    「矛盾に耐えるのが修行だ」(立川談志)

    【弟子が時々、「何のためにこんな事をやるんですか?」というような目をする。
    そういう時は「それが修行ってぇもんなんだよ。修行なんだ。理由なんかねぇ」と言ったりする。
    誰だって掃除なんかやりたかないでしょう。
    「こんな事して落語が上手くなるのかよ」と誰だって腹でそう思う。
    自分も当時はそう思ってましたから。
    「どういうやり方したって、結果的に綺麗になればいいじゃないか」と前座のときは皆思う。
    しかし、
    「きれいになるなら(雑巾を)足で拭いてもおなじことだ」ということを認めたら、そういう生き方しかできなくなってしまう。
    つまり、そういう噺かできないということだ。
    師匠は「人間は正直でないと、いい噺はできない」といっていた。
    「ずるいやつには、ずるい噺しかできない」と。
    結局、修行という時には分からなくとも、ずっと後になって初めて気付く。
    要領よくすませればいいってもんじゃない事を。
    両手を添えて拭くその姿勢、その心が大事なんだと。
    そこに修行の奥深さがある。
    物事にはきちんと腰を据え、両手を添えて相対するという気持ちが大切なんだと、厄介な掃除を通して教わるんです。
    そして、それが落語に出る。
    師匠の家での家事見習いとは、結局人間見習いということ。
    人としての思いやりや、心としての礼儀、物事万事への心構えなどを教えてもらうのが前座修業。
    この時代に、人間としての筋を一本通すことを身に付けられるのだから、けっこうなひとときといえる。】

  • まず前座とはどういったものなのかがよくわかる。
    いま活躍している落語家たちの前座時代の苦労もかかれているが、時には逃げ出したくなるようなツラい前座時代を支えたのは自らの信念、夢であったと共通して語られているのが印象的でした。

  • [ 内容 ]
    人気と実力で知られる落語界の5人のスターたち。
    彼らはどのような修業を経て真打になったのか?
    徹底して叩き込まれる序列への配慮と礼儀。
    師匠への過剰なまでの気配り。
    トラブルや危機が起きたときのとっさの判断と対処法。
    ―それぞれの経験をふまえ、独自のしきたりが生き生きと語られるなか、落語への限りない愛情が浮かび上がってくる。
    “社会の前座たち”に贈る、一人前になるための英知の言葉。

    [ 目次 ]
    1部 密着前座の仕事―「浅草演芸ホール」での一日
    2部 5人の落語家が語る私の前座修業(柳家小三治「修業の根本は、手を使い、心をこめることだ」;三遊亭円丈「好きに生きるためには、自分を殺す時代があっていい」;林家正蔵「喜んで身体を使って働くことは、前座時代だけではない人生の基本だ」;春風亭昇太「未熟であってもプロはプロ。どんな言い訳もそこにはない」;立川志らく「気を遣ってうまく立ち振る舞え。言葉を読み込み、感性とセンスを磨け」)
    3部 「落語」を楽しむためのミニガイダンス―落語・落語家・修業のいろいろ

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    [ 参考となる書評 ]

  • 昇太好きなので読んでみた。前座修行にもいろいろあるのだと感じた。予想外に正蔵の前座時代のはなし(父との関係)について意外な事が多くてびっくり。正蔵の苦労人部分が見えてちょっと面白かった。

  • すごく面白かったです。何事も下積みが大事。

  • 今すごい人の、昔の話。
    つまり、古き良き時代、修業とは、下積みとは何なのか。
    いま目の前に矛盾と思われる大きな壁が立ちはだかったとき、
    過去の彼らはどう向き合って、いま何を思うのか。
    勇気をもらいました。

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著者プロフィール

いなだ・かずひろ
演芸作家、落語評論家。日本脚本家連盟、社団法人日本放送作家協会所属。
民族芸能を守る会相談役。作者部屋(歌舞伎作家のこと)同人。
日本大学芸術学部演劇学科卒業。タウン誌記者、コピーライターなど、
1986年頃より作家活動。演芸(落語、講談、浪曲、漫才)の台本、邦楽
(長唄、新内、琵琶など)の作詞、演劇の脚本、演出など。
2019年には初となる時代小説を上梓。
主な著書に『食べる落語 いろはうまいもんづくし』『恋する落語 男と女の
いろはづくし』『落語からわかる江戸の恋 ( いろは落語づくし)』
『落語からわかる江戸の旅 ( いろは落語づくし)』『昭和の名人 この一席』
(教育評論社)『落語が教えてくれる生活の知恵30』(明治書院)
『落語に学ぶ大人の極意』『水滸伝に学ぶ組織のオキテ』
『江戸落語で知る四季のご馳走』『江戸のいろごと 落語で知る男と女』
(平凡社新書)『そんな夢をあともう少し 千住のおひろ花便り』
『女の厄払い 千住のおひろ花便り』『豪傑 岩見重太郎』(祥伝社文庫)
『おやこで楽しむ講談入門』『おやこで楽しむ講談ドリル』
(宝井琴星監修、彩流社)『落語 演目・用語事典』(稲田和浩編、
日外アソシエーツ)等がある。

「2022年 『[増補改訂版]浪曲論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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