「科学的思考」のレッスン 学校では教えてくれないサイエンス (NHK出版新書)

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883655

作品紹介・あらすじ

「良い理論」と「悪い理論」ってどこが違う?「実験」「観察」って何をすること?科学のあり方をきちんと判断するにはどうしたらいいの?ニュートンから相対性理論、ニュートリノまで、興味津々の事例から科学的な考え方の本質を軽妙に説き、原発や生命科学など日常に大きな影響を与えるトピックをもとに、リスクとの向き合い方を考える。速攻で「科学アタマ」をつくる究極の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。科学の本筋をわかり易く書かれてあったと
    思います。私でも理解できる内容だったので。
    科学とは何か。科学的な思考とは。科学が担う役割。
    科学に接する態度。科学が世間(市民)に接する態度
    とかが分かり易くかかれてあった。そのうえで。
    科学者ではない(専門家ではない)市民が持つべき
    科学的リテラシーとは何か?何が必要か?
    そもそも市民とは何か?
    という問いに対しての方向性を指し示しているいい本
    だと思いました。
    心に残る文章や考え方が多くあり。勉強になったと思います。
    特に市民の科学リテラシーを論述している第2部
    『第8章市民の科学リテラシーって具体的にはどういうこと』
    『第9章市民って誰の事』
    は秀逸な内容だったと思います。

  • あらためて思考の基礎を学びたくて、手にとった一冊です。
    前半は、科学的思考の概念や主として仮説検証にまつわる思考・方法論が示されてました。
    後半は、原発事故を例に市民レベルでも科学リテラシーを持ち、専門家の主張に対するシビリアンコントロールをすることの重要性を論じています。
    後半の「科学リテラシー」という考え方が新鮮でした。そして「科学なしでは解決できないが、科学だけでも解決できない問題」がゴロゴロしているコトも再認識です。

  • 科学的思考がどのようなプロセスでなされ、そもそもどういった考え方が科学的であるかということがわかりやすく書かれている本です。

    まず最初に
    論理的な思考とはなにかだったり、
    科学理論って事実なの事実でないのなど理系ならだれもが知っていなければならない
    基本的なことが書かれています。

    その次に一般市民としてなぜ科学的思考を持つべきでそれをどのように使わなければならないかということが述べられています。

    これを読めば、論理的な思考とはどのようなプロセスを得ているのかということが体系的に分かるので、これを読んだから出来るというわけではないですが、
    自分の考え方の体系化といった意味で読んでもらいたい本です。

  • 科学的思考とは何か?わかりやすく説明した本。

    科学の本は一般的に難しいものが多く、素人でもわかりやすく読めるものが少ない。
    わかりやすいものを探すと子供向けのものぐらいしかない。
    しかも科学の思考そのものについて教えてくれる本となるとさらに少なくなる。

    本書は科学的思考とは何か?を、専門的知識がない素人でもわかる
    ように解説している本である。

    本書で述べている科学的思考についてまとめると以下のようになる。

    優れた仮説や理論とは

    優れた科学的な理論・仮説とは以下のようなものである
    ・新奇なことがらの予言をすることができる
    ・アドホックなその場限りの仮説が少ない
    ・その理論により説明できることがらが非常に多い(既存の理論との矛盾が少ない)
    こういった要素をもった仮説を積み上げていき、蓋然性の高い理論を
    積み上げていくのが科学である。
    決して0か1ではない(完全に正しい仮説と間違った仮説があるわけではない)。
    また決して、「真理そのもの」ではない。(そんなものはわからないので。)

    科学と疑似科学の違い
    ・科学は反証に開かれているが、疑似科学は開かれていない
    (どういうことを言えば否定できるのかがはっきりしない)
    ・科学は概念が定義されている(操作的定義)が疑似科学はその要素が少ない
    (あいまいな言葉が多い)

    実験について

    ・実験を行う場合は、調べたい条件以外は同じにする「比較対照実験」が必要
    ・因果関係をつかむには「4分割思考」が必要
    ・大事なのは確率ではなくて、関連のある事象との相関関係
    ・正しい実験では誤差の問題があるため、サンプル数がある程度必要
    ・ただし、相関関係と因果関係は違う


    これらのことが話し言葉でかかれているため、すらすらと頭に入ってくる。
    わかりやすいとなるとレベルが極端に低くなることが多いが、伝えたい事柄の
    レベルは下げずに、なおかつわかりやすい。

  • 前半(第Ⅰ部 科学的に考えるってどういうこと?)と後半(第Ⅱ部 デキル市民の科学リテラシー)の落差が大きい本です。

    第Ⅰ部では、

      理論と事実、仮説と真理を二分法的に考えるのは、安全と危険、科学と疑似科学を二分法で考えるのと相似形で、危険な考え方である。

      より良い仮説とは

       ①より多くの新奇な予言をしてそれを当てることができる。
       ②その場しのぎの仮定や正体不明の要素をなるべく含まない。
       ③より多くのことがらを、できるだけたくさん同じ仕方で説明してくれる。

    そして、「アブだクション」(仮説演繹法)について丁寧に分かりやすく説明がされており、科学するとはどういうことなのか、その「科学リテラシー」が理解できるようになっています。

    ところが、第Ⅱ部になると、今回の原発問題を取り扱っているのですが、第Ⅰ部で自らが述べていた罠にはまっている記述が散見され、科学的リテラシーが上がった故にがっかり感が強いです(ちょっと皮肉っぽい書き方でしたらごめんなさい)。

    ということで、第Ⅰ部を読み終わったらいい本だったなーと閉じるのが正解かも(笑)。

  • とりあえずざっくり読みで終えたので,またいずれ読むつもりですが,戸田山氏の本はおおよそ面白くて,この本も面白い部類に入ると思うのですが,今回の本はしかしながら問題があるかなと思いました。テクノロジについて庶民も知らないでは済まない!ということをおっしゃっている。分からなくはない。でも,戸田山氏のように,起きている時間に本をたくさん読めるほど,世の中の人は暇ではないし,自分がやらなければいけないことを抱えています。

    科学・技術のある程度のことはきちんと調べましょうというスタンスは,僕には「上から目線」に思えました。

    お金を出してラーメンを美味しく食べている科学者は「ラーメンが一体どういう具材から,どんな調理の仕方でできているのか」をきちんと調べてからラーメンを食べているとは思えません。知りたいと思ったらラーメンのことを調べる。調べるかどうかは本人の自由。専門でないことを調べるというのはそういうことですよね。でも,科学・技術は専門でない人も知っておかなきゃならんというのが「上から目線」だと思うんです。ラーメン屋が「ラーメンを食すならば,ラーメンの勉強をせよ!」なんて言ってたら,きっと客は入りません。

    ざっくり読みなので,この本の真意とは異なるのかもしれませんが,「素人目線を維持した専門家になりましょう!」というのがまず基本だと思います。裁判員制度も裁判に一般の感覚を入れるために導入されたようですが,裁判官が一般の感覚を持ってないというのがおかしいと思わないといけないのではないでしょうか? 

    みんな忙しいんです。自分の範囲の生活で必死なんです。そういうことを考えると,僕(一応,科学者のはしくれ)は,「りっぱな市民になれ!」なんてとても言えません。

  • 一般の市民が、科学的な考えを導入して、生活に取り入れてより良い生き方を示してくれる。
    前半の科学史、実験手法は面白く、2つの推論(帰納、演繹)の説明は面白かった。

  • 後半部分はさすがに今となってはの感もなくはないが、もちろん普遍的な内容も多く含み所々でハッとさせられる。前半だけでも子供に読ませたいなー。

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著者プロフィール

1958年生まれ
1989年 東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学
現 在 名古屋大学大学院情報学研究科教授
著 書 『論理学をつくる』(名古屋大学出版会、2000年)
    『誇り高い技術者になろう』(共編、名古屋大学出版会、2004、第2版2012)
    『科学哲学の冒険』(日本放送出版協会、2005)
    『「科学的思考」のレッスン』(NHK出版、2011)
    『科学技術をよく考える』(共編、名古屋大学出版会、2013)
    『哲学入門』(筑摩書房、2014)
    『科学的実在論を擁護する』(名古屋大学出版会、2015)
    『〈概念工学〉宣言!』(共編、名古屋大学出版会、2019)
    『教養の書』(筑摩書房、2020)他

「2020年 『自由の余地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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