知の逆転 (NHK出版新書)

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  • NHK出版 (2012年12月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883952

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知の逆転 (NHK出版新書)の感想・レビュー・書評

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  • あちこちで話題になっていて、読み終えるのを残念に感じた一冊。
    ん、冒頭の一言にただ、シビれました。

     “敵が百万あろうとも、自らよって立つプリンシプルを曲げたりひよったりしない”

    これを文字通りに実践しているのは、次の6名の“知の巨人”。

     “真の問題は人口増加ではなく消費の増加なのです”
       - ジャレド・ダイアモンド氏(進化生物学、人類生態学など)

     “自分から知りたいと思うように励ますのが教育だ”
       - ノーム・チョムスキー氏(言語学者)

     “音楽は、昔それを聴いていたときの感情や情景の記憶を呼び覚ます”
       - オリバー・サックス氏(脳神経科医)

     “新しいアイディアがあった場合、既存のデータベースでは対応できません”
       - マービン・ミンスキー氏(人工知能学)

     “実際にその場所に行って直接体験することのメリットは、ずっと残ると思います。”
       - トム・レイトン氏(数学者)

     “情報がありすぎるから誰かが編集する必要がある”
       - ジェームズ・ワトソン氏(分子生物学者)

    彼らに相対するは、吉成真由美氏(サイエンスライター、ハーバード修士)、
    “この人たちに会うまでは”との想いに突き動かされて、真摯に対談されています。

     “共通するのは、「限りなく真実をもとめて」というような姿勢”

    この言葉の示すように、真実を求めて実践を繰り返し、
    社会も決して切り離すことなく「知の活動」を重ねていきます。

    そして、そこから紡ぎだされる「言葉」は一つ一つが輝いているようで、、
    個人的には、そのなかでもチョムスキー氏の言葉は印象深く残りました。

     “自分から知りたいと思うように励ますのが教育だ”

    結果をただ与えるのではない、自身で結果に行きつくように支援する、
    それが「教育」、教え育むことなのだとあらためて、、教師は伴走者でいいのです。

    これは「情報サービス」での根幹とも相通じる理念と思いますし、
    やはり「生涯学習」は自分にとっての重要なファクターかな、ともあらためて。

    これは、折々で読み返したくなる本だなぁ、、と感じました。

  • ☆4(付箋20枚/P301→割合6.64%)

    人選がグレート。こんな本が、あるんだ。

    ジャレド・ダイアモンド
    思い煩うことはない。人生は無意味なのだ。 ―サマセット・モーム

    ・(この地理的な要素というのは今後も重要な役割を果たしていくのでしょうか。もしそうだとすると、どのようなかたちでそれが現れてくるのでしょう。)
    二つの理由から今後も地理的な要素は重要な役割を果たしていくと考えられます。一つは現時点における地理で、もう一つは歴史的な観点から見た地理です。
    現時点では地理はまだ重要な役割を果たしています。アフリカが最も貧しい大陸であるのは、それ全体がほぼ熱帯気候であるからで、熱帯地方には、公衆衛生上の問題や、マラリア、黄熱病といった病気、土地が不毛であることなど、いくつもの大きな問題があります。アフリカの土地は日本の土地に比べてはるかに不毛で、今後も将来にわたってこの事実は変わらないでしょうし、またアフリカは公衆衛生面で、常に日本より多くの問題に対応していかなければならないでしょう。

    ・文明崩壊の五要素。
    ①環境に対する取り返しのつかない人為的な影響
    ②気候の変化
    ③敵対する近隣諸国との対立
    ④友好国からの疎遠
    ⑤環境問題に対する誤った対処

    ・日本では、歴史的には徳川幕府が森林の保存に成功して、人口増加にともなう日本列島の環境破壊を未然に防ぎましたが、イースター島では、最後の一本の木まで伐り倒されて、食料にする動物や鳥も消え、魚を獲るためのカヌーも作れず、ついには食人にまで追い詰められて、社会が崩壊してしまった。

    ・私はパプア・ニューギニアで長年調査研究を行ってきました。あそこでは理想に燃えて高等教育制度を導入しましたが、素晴らしくうまくいったものとかえって裏目に出たものがあります。多くの若いニューギニア人は小、中、高等学校まで教育をうけます。しかし、高等学校までの教育では、現代社会で良い職業に就くことは難しく、かといってこの教育を受けるために村を離れてしまっているので、農業に就くためのノウハウも習得していないわけです。ニューギニアで農業を営むのはたいへん複雑な作業になります。ですから中、高までの教育では、現代社会での職を見つけられず、またニューギニアで農業を営むこともできないということで、国家的な悲劇を生む結果になっているのです。

    ノーム・チョムスキー
    博学はまだ判断ではない。 ―ゲーテ

    ・アメリカは資本主義の国ということになっている。人々はコンピュータを使い、インターネットを使い、飛行機に乗り、薬を飲みます。では人々が使うほとんど全てのものはどこから来たのかというと、実は経済の公共部門から出てきたもの、つまりもともと税金によって、政府のプロジェクトとして開発されたものなのです。アメリカでは経済の公共部門は非常に強力で、MITはその中心とも言えるでしょう。

    ・もし「核抑止力」を本気で考えるのであれば、イランの核兵器開発を歓迎すべきだということになります。イランはアメリカの軍事基地に囲まれて、常に脅威にさらされているので、「核抑止」の典型的なモデルになりえる。アラブ世界の大部分は、イランが核武装すべきだと考えているのに、アメリカはそう思っていない。なぜなら、アメリカは本気で「核抑止」など考えてはいないからです。

    ・(人間の欲望を制御して、お互いに平和な関係を維持するためには武装することも必要になるのではありませんか。)
    もし平和的な関係というものが、互いを破壊する能力と、わずかでもそれが行使される可能性のうえに成り立っているのであれば、われわれはもうおしまいです。完全なる支配体制を築くのでない限り、軍事力は平和をもたらしません。

    ・先の(2010年の)中間選挙を見てください。当選した共和党議員の大部分が、地球温暖化を否定しています。主要委員会の若い共和党リーダーは、「そんなことが起こるわけがない。神が許すわけがないから」と言ったのです。

    ・「イラクに何が起こったかを目撃したあとで、もしイランが核兵器を開発しないとしたら、彼らはまともじゃない」
    ―マーチン・ファン・クレフェルト(イスラエル右翼軍事家)

    オリバー・サックス
    人生は経験だ。経験は多いほどいい。 ―ラルフ・ワルド・エマーソン

    ・共通しているのは、リズムとテンポという音楽のビート(拍子)の部分が重要だということです。人間の神経系は、音楽のビートに思わず反応してしまいます。小さな子供を見ていると、実際に鳴っている音楽もしくは想像の中で鳴っている音楽に合わせて、自然とダンスしています。音楽のビートに対してこのように反応する他の霊長類はありません。チンパンジーも犬もできません。

    ・「最も高い教育を受けた者たちの中で、一番幸福なのは科学者である。なぜなら、彼らの脳は仕事の内容で一杯で、感情面では非常にシンプルでいられる。あまりにシンプルなので、食べることや結婚することなどに楽しみを見出せるほどだ(笑)」―バートランド・ラッセル

    ・その昔ソクラテスは「書く」ことを拒絶していました。だから彼は一言も記述していない。弟子のプラトンのほうはもちろんのべつまくなし書いていたわけですが。ソクラテスは「書く」ことで記憶や会話というものが失われてしまうことを恐れていました。

    マービン・ミンスキー
    人生は自分探しじゃない、自分作りだ。 ―ジョージ・バーナード・ショー

    ・ほとんどのコミュニケーションには、新しい情報はほんのわずかしか入っていない。たいていの人は、情報を伝えるためにではなく、自分が安全な人間であることを示すために会話をしている。

    ・1980年といえば、その前年にアメリカのスリーマイル島で原子力発電所が故障して、誰も修復作業のために中に入ることができない、という事態が発生しました。そこで、人が入ることはできなくても、リモコン操作できるロボットを送り込むことは、比較的容易にできるはずだ、ということを説明したんです。ところが約30年を経て、全く同じ自体が起こっているんですね。

    ・チェスのようなものは、実はコンピュータにとっては非常に易しい問題なんです。人間は一度に七つの数字しか覚えられないけれど、コンピュータは数千分の一秒の間に100万もの数字を扱うことができる。人間にとって難しいこと、たとえばある種の数学などは、コンピュータにとっては実に簡単なんだけれども、そういうことが人々を感心させる。
    最も重要なことは、まずコンピュータに、人間の子供にできるレベルのことができるようにする。そこから成長させていけばいい。

    ・莫大な例をデータベース化することで、どれくらい言語の翻訳に進歩があったかを見てみるといいでしょう。ネット上では、膨大な数の文章がありますから、統計的な照合システムがあれば、ある普通の文章をデータベースの中から探してくることはほぼ問題なくできるでしょう。シンプルな表現であれば、自動翻訳は簡単で十分なものになってきました。
    しかし、複雑な文章であったり、「ある理論が、ある種の問題には対応できない」というような内容であった場合、自動翻訳機はこの「Not」を理解することができない。なんらかの「否定」が入っていることはわかっても、文章の内容を理解しているわけではないので、正しく翻訳することができないわけです。

    ・普通の知能の人々がたくさん集まって協力すれば、一個人の知能より高い知能を示す行動をする、というようなことが期待をこめてよく言われるけれども、問題は、もちろんそういう場合もあるでしょうが、そうでない場合もあるということです。

    ・ウィキペディアというのは、初心者には便利です。私が知らなかったことについて調べようとするとき、とても役に立ちます。しかし私の知っている事柄についてウィキペディアを見てみると、たくさんの間違いがあることに気づくわけです。

    ・「感情」というのは非常に単純な動物でも持っている。ある状態ではとてもお腹がすいているから、食物がほしいと思ってそれが行動を独占する。別の状態では危険を感じる、だから即逃げる。そしてまた別の状態では―というふうに、単純な動物はこういった反応の仕方をするわけです。
    これに対して、哺乳類や鳥類の一部、タコなどの複雑な動物は、状況に応じて実にさまざまな反応の仕方をするわけで、これらを「思考」と呼んでいるのです。

    トム・レイトン
    20年後に人々は、やったことよりやらなかったことを悔いるものだ。だから、綱を放ち港を出、帆を揚げ風をとらえて、探検せよ、夢見よ、発見せよ。 ―マーク・トウェイン

    ・授業で例に使うんですが、n(2)+n+41という数式にn=0を入れてみると、答えは41という素数になります。n=1なら1(2)+1+41で、43で素数。n=2なら4+2+41で、47で素数となり、20回30回とそのまま計算を続けても、答えはいつも素数になります。ビジネスの世界なら、10回も20回も計算せず、数回計算しただけで、「いつも答えは素数になる。それで決まりだ」となる。ところが実際はそうじゃない。nに40や41またはそれ以上の数を入れてみると、答えはもう素数じゃなくなる。

  • 正直なところジャレド・ダイアモンド以外知らない方々だったのですが、世の中の「現在」が見えるという印象でした。
    「教育」について聞いているところが特に面白い。
    チョムスキー、面白かったです。
    逆転?というタイトルの意味は掴めませんでしたが、この方々をまとめてあるのはスゴイ!と思います。

  • 著者が利根川進さんの奥さんとは知らずに読み終り、利根川進氏を検索して知りました。道理でワトソンさんが「ススムは....」と言っていたのを了解した訳です。息子さんの死亡の件も検索で知りました。残念です。合掌。

    インタビュー相手全てが、インターネットとウィキペディアについて、その功罪について述べているが、ジェームズ・ワトソン氏が述べている意見が卓見かと思う。また、押し並べて知の巨人達は、〈集合知〉というものを否定していて、個人が〈集合意思〉に埋れてしまう危険性を指摘しているのには考えさせられた。

  • 人選が素晴らしい。インタビューの質も高い。

  • 知ってる人なら知っている(だろう)、豪華な面子を揃えたインタビュー集。

    『銃・病原菌・鉄』の「ジャレド・ダイアモンド」
    言語学者「ノーム・チョムスキー」
    神経学者「オリバー・サックス」
    人工知能の研究者「マービン・ミンスキー」
    アカマイ・テクノロジーズの共同設立者。数学者「トム・レイトン」
    二重らせん構造を発見した分子生物学者「ジェームズ・ワトソン」

    ジャレド・ダイアモンドのインタビューに興味をそそられて購入。他の方々については、恥ずかしながら、かろうじて名前を聞いたことがある程度か、さもなくば誰かわからないという程度であったが、読んでみると、なかなかどうしてエキサイティングであった。

    個人的に特に印象に残ったのは、以下の2つである。

    チョムスキーの資本主義批判。すなわち、市場に任せていると世の中は絶対にうまくいかないとの考え。これは、市場主義経済社会における私たちの常識を揺るがすようでいて、どこかしら「そうかも知れないよなあ」という不思議な納得もあり、「科学」の危険な側面を感じさせる。

    一方、レイトンがインターネット上の交通渋滞を避ける方法を考えるために「n人の人がいて、m個のサーバーがあり、nとmが非常に大きな数字だった場合、みながハッピーに映画にアクセスするにはどれぐらいの時間を必要とするか」という数学的アプローチを用いたこと。これは、「科学」の可能性を感じさせる。

    良くも悪くも、「知」が私たちの社会、生活やものの見方に与える影響は大きい。難しいことを知らなくても生きていける。むしろ、素朴な生活感覚を失わない方がよく生きられる。そういう考えもアリだ。しかし、「知」と格闘してきた巨人たちの姿や言葉も、また魅力的だ。アスリートへのインタビューとちょっと似ているかもしれない。

    たまには知的な刺激を、という人に。

  • ☆☆☆☆
    『知の逆転』(吉成真由美)
    ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソン
    上記6名の現代の叡智に吉成真由美が「平和」「資本主義」「人生」「インターネット」「宗教」「教育」という共通の質問をぶつけながら6名の奥深い洞察を引き出してゆく。

    同じ内容の質問であっても、6名の人物の中から読者がもっとも興味があるだろうものを引き出すために、吉成がする問いが素晴らしい。
    それぞれの人物の頭のなかの観念やら、風景やらが良く伝わってくる。イメージとしては、6名の偉人を横並びにして同時にCTスキャンを撮り、6つの検査項目の画像データを披露しているような感じだ。(さすがに、どの画像データも常人のものとは違い、問題アリだ)

    個人的にはチョムスキーの「自分から知りたいと思うように励ますのが教育だ」という姿勢と、専門分野である‘言葉に対する考察’に興味を惹かれたのと、
    ジェームズ・ワトソンの『生命とは、分裂・成長することを目的とした、選択され組織化された分子の集まりである』という凝縮された言葉や、『事実の上に立って独立して考える能力が、事実から意味を汲み取ることができる人間にする』という科学者を目指す学生へ向けたと思われる言葉がジェームズ・ワトソンという人物に興味を持たせた。

    如何にしても、インタヴュー集なのでどうしても尺が短く、伝わってきた熱は微かなものにとどまってしまっている。
    それぞれの偉人の頭の中を旅するには、それぞれの人物の著書を読むことになる。
    是非、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、ジェームズ・ワトソンの著書をトライしてみよう。
    2017/04/29

  • アメリカにもこんな立派な知識人がいるのかと感心した一冊。なかなか面白いw

  • 20世紀の世界を変えた英知
    常識を覆すもとは発想の逆転にあったのか?

  • 「人生は出会いが全てかもしれない」と語る筆者。世界の叡智にインタビューして、分かりやすく編集できる彼女もまた、叡知なのだろう。
    常に学び続けることの重要さ。
    世界の叡智の最先端に触れただけでも大きな刺激になった。

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