終末の思想 (NHK出版新書)

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著者 : 野坂昭如
  • NHK出版 (2013年3月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140883983

終末の思想 (NHK出版新書)の感想・レビュー・書評

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  • 「日本の将来について考える時、ぼくに希望は全くない」

    この一文から、この本は始まります。

    おそらく、こういう歯に着せぬ物言いを、できる人というのは、
    今の社会では、非常に限られていると思います。

    この本で、野坂氏は、食料自給率にやたらこだわっています。

    「人間の一番の基本は食にある。食べることで人は生きている。(中略)
    食はそれぞれの国の生き方と、つながり、そのには歴史があり伝統も息づいている」

    だが、日本は、それを「捨てた」と言う。

    「大事なもの」を捨てた基盤の上で、今の豊かな社会があることへの
    脆弱性を危惧しているのだろう。
    もし、海外からの供給がなくなったら、いとも簡単に崩壊するであろう社会に
    自分達は生きている。

    野坂氏の、物言いは、極端であるが、あながち間違いでもない。
    きちんと、データーを提示すれば、看破出来そうだが、
    野坂氏は、作家の直感に基づいて、発言している。
    それは、戦後しばらくの食料難を経験し、生きるとは、どういうことなのかを、
    皮膚感覚でわかっているからだろう。

    氏は言う。

    「薄っぺらでお手軽な世の中に、幾重にも正体不明の闇が広がっている。(中略)
    金や物を崇め、合理化とやらをすすめてきた日本。無駄だと省かれたものの中にこそ、日本の誇りがあった」

    そして、最後に
    「結局、何が豊かなのか判らぬまま、日本は滅びようとしている。戦後、その都度決着をつけてこなかったこの国、当然の報い」

    これが御年80歳を超える方の発言である。
    心地良いことばかりが、喧伝される世の中で、氏の主張は、やはり厳しい。
    しかし、こういう事を言う人がいなくなると、社会はどんどん閉塞感に覆われてしまう
    かもしれない。

  • 書下ろしは読みやすかったけど、過去の文章はちょっと読みづらい。

  • 《教員オススメ本》
    通常の配架場所:教員おすすめ図書コーナー(1階)
    請求記号 914.6//N97
    【選書理由・おすすめコメント】
    水や空気のように今の日本では当たり前のようにあると思われる食料。農業が衰退したらどうなるか、それどころか著者(2015年没)は既に「日本は食の敗戦国である」という。表題のように暗い内容だが、たとえ何があってもめげずに逞しく生きよというメッセージが聞こえることを期待する。昔だって乗り越えられたのだから。(化学・竹村哲雄先生)

  • レビュー省略

  • さすがに野坂氏も年齢を重ねられて、少々丸くなられた感じがしないでもないのです。(大島渚監督をひっぱたいたシーンが忘れられません。)氏の本質であると私は思っているのですが、随所に優しさがうかがえました。私はそこが好きなのです。文学は「生」や「死」を見つめることにつながると思うのですが、氏の作品の底辺にはこの「生」と「死」が流れていると思います。 いっぽうで、氏にはもっともっと毒舌を吐いていただき、辛辣な文章を書きまくっていただきたいのです。

  • 2013年ごろの文章だけでは足りなかったのか、1978年~2010年ごろのもので埋めている印象。まあしょうがない。大体著者が昔から言ってることばかりだが、日本語に関する話はちょっとピントがずれていると思う。もう85なんだからしょうがねえかな、という感じ。

  • 読んでいるうちに暗澹たる気持ちになっていくこと請け合いである…本当に日本に未来はないのか!?

    食のことはよく分かりませんけれども、確かに今後、日本が成長していくなんてことはありえるんだらうか? ってなことは僕もよく考えることなのであるからして、今作は中途で飽きることなく一気に読めましたね…

    なんというか、戦前生まれの人の言うことには説得力があるような…普段、接する機会のない世代の人ですから…こういった著書を読んで少しは戦前生まれの人とコネクトしたい…みたいな気持ちにさせられる著書でした。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    著者の書いた小説なども読んでみましょうかね…あの有名な「火垂るの墓」の原作者なのですよ! 著者は…などと言ってみたところで、もはや現代には著者のことを知る人も少ないかもしれませんね…特に若人諸君は…おしまい。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 戦争を体験したからこそ鳴らせる警鐘。
    豊かな時代しか知らない私には読んでいて共感できるところ、分からないところとあるけれどこの国がおかしな方向に向かっていることは感じているので色々と考えさせられた。
    農業の衰退、輸入任せの現在の状況は人が生きる上で必要な『食』すら自力で賄えない日本の歪な姿を分かりやすく浮き上がらせてくれました。
    文章の調子に馴染めないところもありますが未来を憂う警告の本として読みました。

  •  無から有を見出す、この本にはそうした一貫した流れがある。無。何もないという具体性。具体的な実感。そこから人は歩き始めなければならないと著者は言う。概念にばかり傾倒して具体を忘れた日本人に警鐘を鳴らしているのだ。
     桜は、これはもうあまりにも概念的な産物である。散り際の美しさは必ず何かのダシに用いられる。何かの演出に用いられるばかりだ。
     概念を捨てよ、具体から始めよと著者は言う。具体のつき詰まった先にあるのが、食うことである。食うことを大切にし、食べ物を大切にし、食べ物に対する知恵を粗末にするなというのである。そしてその先にある我々自身の身体と生活もだ。

     言葉遣いは固く、またかなり独特だが、なんのことはない。「土を離れて、人間は生きられないのよ!」(ナウシカ)
     これである。

     素晴らしい目のつけどころだが、なんとなくキライなので星1つ。

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終末の思想 (NHK出版新書)の作品紹介

経済が上向けば、万事好調を装う日本社会。しかし、その先には幾重にも闇が広がっている。食と農を疎かにし、物を崇め、原子力エネルギーに突っ走り…負の部分を見ずに、すべてツケを先送りしてきた、その当然の報いが待ち受けている。ならば、いかに滅ぶべきか、死ぬべきか-敗戦の焼け野原から、戦後日本を見続けてきた作家が、自らの世代の責任を込めて、この国が自滅の道を行き尽くすしかないことを説く。著者渾身の一冊。

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終末の思想 (NHK出版新書)のKindle版

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