したたかな韓国 朴槿恵時代の戦略を探る (NHK出版新書)

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著者 : 浅羽祐樹
  • NHK出版 (2013年3月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884027

したたかな韓国 朴槿恵時代の戦略を探る (NHK出版新書)の感想・レビュー・書評

  • 常にこじれやすく、むしろこじれっぱなしの日韓関係について明快に説明してくれる一冊。

    日韓間に横たわる問題の根っこが韓国国内問題に端を発しており、保守政権であれ進歩政権であれこの問題に対する姿勢が今後も変化しないであろうという点を明確にしている。
    同時に、韓国が慰安婦などの問題を単なる日韓の問題として考えているのではなく、非常に戦略的に「戦時中の女性の権利」の問題として世界に訴えることにより、広範な支持を得ていると説明している。
    韓国の大統領が誰であれ、慰安婦問題を避けて通ることはできず、また「強制性」いかんに関わらず(それ自体は研究の対象になるべきではあるが)、すでに慰安婦問題が「女性の権利の問題」として世界に受け止められているため、日本がこれを打開しようとする場合、そうした韓国の戦略を踏まえる必要性があるということを強調している。

    また、韓国人がときとして「セウォル」号やナッツ姫事件などで非常に情緒的な反応をみせる理由についても本書で取り上げられている「国民情緒法」で理解することができるだろう。
    ただ、韓国のこういった「情緒的」な側面ばかりに注目していてはならない。本書で明らかにされている通り、(そして日本人がそうあれと願うに反して)韓国は国際社会において非常に冷徹なプレーヤーであるということをもう一度、肝に銘じるべきであるということを思い出させてくれる。

  • 良書。竹島問題にしても慰安婦問題にしても、それぞれを「外交ゲーム」と捉え、日本の正当性を国際社会に「訴える」のではなく、論理的に「証明する」べきと筆者はいう。対韓国というと、どうしても心情的な議論ばかりが先行しがちだが、こういうリアリズムに基づいた議論は非常に納得感が得られる。

  • 韓国政治を、国勢と仕組から解説。

  • 2012年に、韓国に対して親しみを感じない・日韓関係良好だと思わない人の割合増えている
    ←李明博前大統領の反日的言動

    竹島領有問題・慰安婦問題

    「いかに国際社会にアピールできるか」

    朴槿恵ー韓国女性初の大統領・朴正煕(日韓国交正常化)の娘 「したたかな戦略家」

    大統領任期5年(独裁防止)、再選禁止、大まかに二大政党制、大統領法案提出権あり、国会一院制、国会議員任期4年

    李明博に朴は2007年の予備選挙で負けている
    支持率の落ちる李元大統領とは同党ながら距離を置いていた、朴派は与党内野党

    朴主導でハンナラ党(保守党)からセリヌ党(中道右派)へ(「事実上の新党」) = 「「大企業の成長優先」から「経済民主化」や「福祉」へ」

    朴vs文―75.8%という高い投票率
    政策に違いほとんどなかった
    高齢者→朴 若者→文
    高齢者が増えつつあるという、人口動態変化が影響
    朴政権中に高齢社会、人口オーナスになる→高齢者重視の政策になる
    「韓国の自殺率はOECDで最高で、出生率は最低である。」

    李明博大統領による突然の竹島上陸。竹島(独島)の領有権紛争存在せずという考え。日本は存在すると考え、国際司法裁判所への付託を目指す
    独島は韓国主権の尊重
    韓国は訴訟に備えている。韓国の教授や法律家を国際的な水準に育てる。

    自分の弱点を知って、理論武装すべき。日本も国際司法裁判所に向けた準備を!

    国民情緒、感情に流されて慰安婦問題の深刻化

    野田・李会談
    日本:EPA等未来志向
    韓国:慰安婦問題に固執

    「日本は、「請求権の問題は日韓請求権協定ですでに解決済み」という立場」
    ←韓国:当時慰安婦問題知られていなかったから、この請求権には含まれない

    韓国:「法以前に、国民の情緒、感情の問題である」
    韓国では、国民感情に流されて実定法が明らかに無視されたり、法の遡及適用を行うなどすることがある。=「国民情緒法」
    「法治が重要視されない儒教思想、三十五年間に及ぶ日本の植民地支配や解放以後も民主的とは必ずしも言えなかった政府によって法が悪用される歴史があったため」=法に対する信頼が低い
    朴大統領は、法規範無視の問題に断固として取り組む

    韓国憲法裁判所ー違憲審査に積極的
    慰安婦問題の解決に向けて韓国政府が何もしないのは違憲→朴大統領も何かせねばならない
    1993年の河野談話で、慰安婦の存在認めている

  • 立ててる仮説をフォローするfactが出てこないのは気分が悪い。しかし、簡潔に説明をする為にはやむを得ないのだろう。わかりやすさを重視して書かれていると感じる。
    悪魔の代弁人を立てて竹島、慰安婦問題に迫る。合理的他者の存在を仮定して交渉に臨む外交姿勢。

  • Twitter上で著者のアカウント(@yukiasaba)をフォローしており、彼のツイートを通して「悪魔の代弁人」という言葉に興味を持ったのが、本書を手に取ろうと思ったきっかけだったと思う。韓国の政治について知っていなければ…という思いも以前から少し持っていた。

    構成がスッキリしていて文章も筋道を立てて書かれており、個人的にはとても読み易かった一冊。


    本書で述べられていることを章立てに沿ってまとめるとすれば、

    ①政治家として朴大統領がどう立ち回ってきたのか
    ②韓国の政治と高齢者たちの関連性
    ③竹島問題への韓国の対策
    ④慰安婦問題に対する韓国の考え方とアプローチの仕方

    ということになると思う。①では数年先を見据えて冷静に行動していた朴大統領に、②では「シルバー民主主義」、③ではやはり「悪魔の代弁人」、④では「国民情緒法」と慰安婦問題に関する韓国側の主張の仕方の変化に注目したい。



    以下は読んでいて思ったことのメモ
    ***
    消化試合に行く気が失せた有権者が多かった 72頁

    知らず知らずのうちに「日本が一番、中国や韓国は日本に比べると遅れている」という意識がどこかにあったのかもしれない(そんなことは決して一概に言い切れないことなのに)。「統計学の基礎リテラシーに触れることができる韓国の有権者は…」の下りを読んで、そんなことを思った。 74頁

    「次の選挙で票数を左右する層の意向に沿うのは、政治家として当然のことである。」→政策決定が若者より高齢者を重視したものになりがち…なるということ 102頁

    政策決定において、高齢者に有利なバイアスがかかるのが「シルバー民主主義」であり「老いるアジア」が抱える課題である、というのは重要な指摘で当然ながら日本にも当てはまるだろう。 104〜105頁

    日韓請求権協定と日韓それぞれの認識 153頁〜 →なぜ韓国が慰安婦問題に固執するのかを理解するための一つの重要な点。

    慰安婦問題に対する韓国のアプローチの変化 176〜178頁
    →馬鹿の一つ覚えのように「慰安婦問題を解決しろ」と要求しているだけではない韓国

    「韓国の洗脳教育」と一言で片付けてしまうのは何か違う気がする、とおわりに188頁を読んでいて思った。同じく「おわりに」に書かれている、笑えない冗談の話も面白かった。自ら律しようとする著者の意思が表れている。

  • 130922 したたかな韓国
    嫌韓、親韓などという感情論はさておき、韓国国内の政治背景がどのようになっているか、朴槿恵大統領は、どのような背景から大統領として選任されたか、などが書かれている。また、日韓間に問題となっている竹島問題や慰安婦問題についても韓国が何故強硬的な態度を取るかなども触れている。

  • 最初の韓国の政治システムの現状もかなり興味深かったが、後半の竹島、慰安婦問題への韓国側の対応は本当にしたたかさを感じた。
    日本のマスコミや世論では論理矛盾をついた感情論や稚拙さをあげつらう動きしか見えないが、「独島インザハーグ」のように相手の言い分も含めて研究し、論理を組み立てる姿勢、ロビイングも含めた訴え方、一つの攻め方にこだわるのではなく歴史問題を別角度から見て、現代にも続く人権問題として捉えさせるやり方など、なめていたらやられると感じた。

    以下、メモ

    パククネ
    過半数を握る野党の中での拒否権プレーヤー(与党内野党)としての振る舞い→差別化

    大差のついた試合、結果が分かり切った試合→見る気が失せる
    →低投票率
    2012年の衆議院議員選挙59.3%

    相対得票率
    →各候補者の得票数/有効投票数
    絶対得票率
    →各候補者の得票数/有権者数
    有権者数
    有効投票数+無効票数+棄権者数

    2012年の大統領選投票率75.8%
    パククネ
    相対得票率51.6%
    絶対得票率39.0%
    その後ろには61.0%2400万超の有権者

    韓国
    選挙報道の過熱化を防ぎ、有権者に熟考させるために公職選挙法投票日の7日前までしか世論調査の結果を公表することができない
    →最後の報道では「誤差の範囲内の僅差」→「自分の一票で戦局が変わるのでは?」

    認証ショットをSNSに掲載し、投票呼びかけ

    安哲秀
    自殺率は韓国の「今」を示す指標。出生率は韓国の「未来」を示す指標。
    今、不幸で、未来が不安なのが韓国だ。

    韓国の自殺率は人口10万人当たり33.5人で、OECD加盟国中最高(2010年)
    →OECD平均は13.3人、一日平均42.6人自殺
    ※日本は10万人当たり21.2人

    韓国の合計特殊出生率は1.23人でOECD最低
    ※日本は1.39人

    国民情緒法
    国民情緒にそぐわない行為を法に見たてている。実定法ではない不文律。
    世論に基づく感性の法で、メディアの影響を大きく受ける。
    世論に依存し法規範無視の風潮を生む
    実定法の無視や法の遡及適用も。

  • 良書。韓国は極端な日本という印象。国際政治の目を気にした戦略性の有無が最大唯一の相違点。人口動態、輸出依存型経済、論理・法治より情緒などなど、日本でも見られるこれらの特徴を誇張した国。
    一方、なぜか外交においてはしたたかであり日本には無い点であり、まずいという話であって、その通りだなあ、と思う。

  • 書名や、見出しの「戦略家・朴槿恵」という語句に当初疑問を持った。政治は多様な状況やプレイヤーの力関係の下で行われるものであり、「したたか」「戦略家」などと単純化はできないと思うからだ(たとえば朴槿恵の大統領選当選には候補一本化難航等の野党側の失策という要因も大きいし、慰安婦問題については憲法裁判所と政府の見解は異なっていた)。が、意図的に「韓国をなめてかかってはいけない」という立場に立ったのだとすれば納得がいく。

    前半2章では朴槿恵当選の背景として李明博政権下で「与党内野党」に徹してきたこと及び韓国内の世代間の差異を分析し、後半2章は竹島と慰安婦問題で韓国側の主張や宣伝政策を紹介している。特に後半は筆者のツイッターや共著の「検韓」本とも重複。慰安婦問題につき、筆者が述べるように韓国が女性の人権問題として普遍化させて国際社会にアピールしている点は注意すべきだろう。日本が「強制性の有無」に問題を限定しても、また高官が不用意な発言をする度に、国際社会からの批判は日本に向いてしまうだろうから。

  • 最近の出来事に対する専門家の多角的な視点による分析。これは、私が考える新書の長所の一つである。本書はまさにそのような特徴を有し、なおかつ韓国政治の入門としても意義がある。

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したたかな韓国 朴槿恵時代の戦略を探る (NHK出版新書)の作品紹介

近年急成長を遂げ、着実に国際社会での地歩を固める韓国。そのしたたかさは、明快な政治システムの下で鍛えあげられた戦略性に由来していた。韓国政治というゲームを体現する朴槿恵はいかにして大統領となり、どのような舵取りをするのか。竹島領有権紛争、慰安婦問題にどのようなカードをきってくるのか。政治学のアプローチで、転換期の日韓関係に斬り込む清新な論考。

したたかな韓国 朴槿恵時代の戦略を探る (NHK出版新書)はこんな本です

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