交渉プロフェッショナル 国際調停の修羅場から (NHK出版新書)
- NHK出版 (2013年10月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140884171
作品紹介・あらすじ
交渉相手の警戒を解き真意を引き出すテクニック、決裂必至の国際会議で合意を作る根回し術、当事者全員に利がある調停の肝は、「戦わない」交渉哲学から生まれた-。コソボ軍事紛争調停からCOP10名古屋議定書採択まで、不可能を可能にした交渉・調停の達人が、知られざる国際交渉の舞台裏を生々しく伝える。日本の底力と可能性を浮き彫りにする、驚きと感動の書。
感想・レビュー・書評
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交渉というのは、まず真剣に相手の話を受けとめること、こちらの考えを誤解を受けない明瞭なことばでゆっくりとお伝えすることから始まると思います。
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紛争解決や環境問題で国際交渉に携わってきた方の経験から、良い交渉とはどんなものかを語る。
一緒に結論を作ったという感じを持たせる、というのが、長続きする成果を生むために必要だとするなど、交渉論としては真新しい物はないが、筆者の経験と合わせて語られることで、説得感がある。
松本龍の暴言も見れます。 -
国際協定の交渉の裏話
面白いが、自分の実務に生かすのは難しい -
少し自慢話に感じられ、途中で読了。としました。
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COPや国際会議のファシリテーターを務めるわけでないにしても、会議のまとめ方とか、交渉技術について、リアルな教訓が詰まっている。
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国際会議などの舞台で活躍する著者の交渉のノウハウや経験談が書かれている。さすがというまでもなく、読みやすくわかりやすい文章でどんどん読んでいける。
口下手でプレゼンもうまくないと自認している身としては、何かヒントになることが書いてあればという思いで読んだのだけど、わりと知識としてはわかっていたり腑に落ちやすいところだった。あとは場数と、持っている知識・技術を使い尽くそうとする熱意と緻密さかな。 -
国際的な紛争の調停や、日本政府の交渉官を務めてきた方の著作。こういう職業の方がいるんですね。
内容は、日頃から交渉に携わる方にはためになるものが多いと思います。
・専門家に「教えてください」と教えを請うこと
・日頃から要点を紙一枚にまとめる訓練をすること
・日頃からにこにこしていること
・相手の主張内容を、まとめて、オウム返しすること
・交渉相手のことを徹底的に調べること
・環境問題は安全保障問題である
・複数のイシューがある場合、合意できるものから合意する
・水面下の交渉が大事。お互いにお土産を持てるように
・飲みニケーションは海外でも存在する! -
あすか会議でお会いした島田さんの著書。とにかく身に纏うオーラが半端じゃなかった…。交渉術の基本は「一緒に結果を導き出した」感を出すこと。そのために島田さんが取り組んでいることが記されている良書。
【バウンダリー・スパンナー】
交渉をまとめるとき、ビジュアライズできるくらいシナリオを練ります。100%シナリオ通りなんていかないわけですよね、想定外が起こる。でもその想定外までも想定しておく心構えですね。相手からの問いを立てられた場合は落ち着いて相手の話した言葉を98%借りて、残りの2%で自分の話を進めたい方向に進めるわけです。そうすると、ほとんど一致しているので相手は否定できない(コミットメントと一貫性)。
コソボで境界線を決める時の話。3つに分割するんですけれど、そのためにめちゃくちゃ勉強していくんですけど、あえて知識不足でめんどくさそうな態度や発言をし、「適当にこんなんでいいんじゃないですか?」って3つに分けるんですよ。するとみんな飛びついて「そんなので決められるか!」って侃侃諤諤の話し合いをして、しばらくするとある一定のところで止まるわけです。
その後に、事前に知らべていた事細かな知識をもってきてここは川が流れているし、ここにはこの工場があるという理由を付けて、GOさせる。すると参加者からは「どうして最初からそう言わない?適当な仕事をしに来たのか?」と聞かれるわけです。そこで最初に適当に引いて見せた境界線を見せると...あとはわかりますね。
交渉を成功させるにはいろいろケースがありますが、今回はオーナーシップを取ってほしかった(これもコミットメントと一貫性)。そうでなければ、またすぐもめてしまうから。そのために、シナリオを練りに練りまくっておくということが重要なのです。
→ハードでタフさが求められる状況のファシリテーションはPowerだけではNG。Loveだけでも進まない。【Power&LOVE】を使い分ける計算され尽くしたプランとスキルと姿勢が必要で…言うのは簡単なんだけれど…。
【バーバル:ノンバーバル=3:7】
話している内容や声質なんで1~2割ですよ。でも、それが大切ではなくて、3割のバーバルと7割のノンバーバルが一致していないと人って不信感を抱いてしまうということ。例えば、謝罪会見を開くじゃないですか。あれって裏に指導者がいて、やっぱりトップで謝る立場ではあるけれど、謝らなければならないと感じるオーナーシップって薄くて、そうするとみんなにばれちゃうんですよね。だから、徹底して伝えることは謝罪の言葉に一致した、「覚悟」を決めた謝罪態度。これは非常に重要。
→腹の底から言えるまで、考えに考え抜いた言葉であるかどうかがプレゼンを左右するのは経験したことがある...。上っ面の外から仕入れたいかにもな言葉を並べるだけでは、人は動かせない。
【ギャップ】
コミュニケーションで強みを発揮するには、おしゃべりな奴が急に沈黙するなど、エッジを利かせておくことで自分の好きな方向に行動を変えることができる。
→あまり物言わぬ自分が、「これはこうでしょ!」と熱を込めて言うことで、印象はガラリと変わり、本気だなと思ってもらえる。 -
初めて電子書籍として購入して読了。
これを今後どう活かすか。
◯自分がヘマをしたと思ったときには 、その場で心から謝る
◯アドバイスが欲しいときには躊躇なく 、 「ぜひ教えてください 、お願いします 」と言える
◯よその国に行ったら 、つねにいつかその国と交渉する必要があるかもしれないと思って 、理解しようと努めるべきだ
◯「ただし 、失敗したかもしれないという報告は 、ほかの誰かから聞かされる前に 、お前の口から聞きたい 。お前が何かやらかしたときには 、俺が責任をとる 」
◯実際に私が失敗を報告しても 、セルジオは怒りませんでした 。
◯仕事をした本人を人前でも評価する 。
◯ニコニコしていると人は集まり 、不機嫌な顔をしていると人は遠ざかっていく 。
◯じつは最初に 、私がいかにもいい加減そうに引いた線も 、最終合意の境界線と大して違わないように引いておく
◯「なぜ ? 」という問いを繰り返して相手の意向を引き出しなさい
◯「相手も我慢しているんだから半分ずつで我慢しなさい 」と言わずに 、 「なぜ三分の二が欲しいの ? 」と聞く
◯「私も国を代表して言いたいことはあるが 、ファシリテ ータ ーの任を負っているから 、この点はあえて我慢をして呑み込もう 。なので 、あなたもそこは理解してくれ 」
◯複数のイシュ ーがある場合 、合意できるものから合意する 。