流通大変動 現場から見えてくる日本経済 (NHK出版新書)

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著者 : 伊藤元重
  • NHK出版 (2014年1月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884256

流通大変動 現場から見えてくる日本経済 (NHK出版新書)の感想・レビュー・書評

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  • 何となく、メーカーか流通か、というような軸でとらえがちですが(私は)、流通は上流(素材)から下流(消費者)まで商品が流れていく全ての過程に影響を与え得る、という流通のより大きな可能性を感じさせてくれました。

  • 東京大学大学院の伊藤元重先生の新書。
    経済学やマーケティングなどの教科書も執筆されている同氏だが、現場における講演会や執筆業なども手がけている。流通に関してはかなり以前から携わっているようだ。同書からもそれは伝わってくる。
    個人的にも、過去に何度かお仕事をさせていただいたことがあり、ざっくりとしたお題の講演もきちっとこなしていただき、かつお話が面白い。また、ご自身も非常に謙虚な方で、大手町で講演を依頼した際には、自身の研究室から歩いていらっしゃったこともあった。まだ駆け出しの社会人であった自分にはなかなか感慨深い人である。

    本書において、流通の現場ということで、非常に示唆の富む内容であった。大店法の撤廃などの機微やセブンイレブンの考察、個人的にはダイエーの盛衰についてのお話は自分自身の過去の経験的にも納得のいく内容だった。彼らのビジネスモデルと歴史的経緯でどうしてあのような事態になったのかを理解できた。

    近年ではネットが普及し、利便性も高くなったが、本書は大いに読む価値がある。新書なのでサクッと読めてしまう事もおすすめ。

    ■目次
    第1章 流通から見えてくる日本経済
    第2章 なぜセブン‐イレブンはミールサービスを始めたのか
    第3章 アジアが日本の流通を変えた―ユニクロの成功の秘密を探る
    第4章 そうは問屋が卸さない―いま中間流通に何が起きているのか
    第5章 情報通信技術で変わる日本の流通
    第6章 都市の変容とともに小売業も変わる
    第7章 チャネルリーダーの地位を確保せよ
    第8章 アジアの需要を日本の内需に
    結びにかえて―流通の現場は刺激に満ちている

  • 流通はモノの流れで、それは経済の流れそのもの。今流通において主導権を握っているのは誰か、グローバル化、(ネットなどの)技術革新、消費性向等々によって、今後どのような形態が主流になるだろう。それはモノの質にも価格にも直結する。適切な例がわかり易く紹介されていて読みやすく、我々の手に商品が届くまでどんな物語があるか改めて関心を持ってしまった。莫大な人口を抱えるアジアの今後を見据えると、流通というファクターもアジアという枠組みで考えなければならない、そのには日本の更なる発展のヒントもあり、そんな指摘には成程と感じさせられる。

  • 非常に平易な文章で読み進めやすい。
    主観的な記述が多々あるため、事実と筆者の考察は区別しながら読む必要がある。
    全体を通して、流通初心者にはとっつきやすい本だった。

  • 誰が「リーダー」であるのかが時代とともに変遷したことやその理由が分かりやすく書かれている。ある程度は知っていたが、このようにまとめられると再理解しやすい。

  • 読了。

  • セブンvsミスド
    「コンビニに入って来た客が、必要な商品を探してレジを通るまでの平均時間は四分程度である」消費者から見たコンビニの最大の利点は時間消費の節約だと言うことだ。レジに客が並ぶと新しいレジをあけると言うのは他の業態の小売店ではなかなか無い、中国の便利店はちょっと違う様だが。これまで店舗網を拡大して市場を拡大して来たコンビニだがもはや限界で単一店舗の売り上げを落とさないと新規出店が出来ない様になって来ている場所も多い。フランチャイジーにはたまったものではないが同じ系列のコンビニでの競合も始まっている。そこでコンビニは狩猟型から農耕型ビジネスへの転換をはかることになる。POSデーターから客層を分析すれば同じ系列でも品揃えが変わっていく可能性がある、リピート客を大事にすることと、時間消費という点からファストフードはコンビニのライバルになる。伊藤氏は10年以上前のセブンの鈴木会長との対談でミールサービスを熱心に語っていたことが印象に残っているという。ファストフードもそうだが宅配に力を入れ出した原因は社会の高齢化に伴う行動様式の変化があるのではと。実際にコンビニを利用するボリュームゾーンは高齢者で、70才を増えると700m以上歩くのがいやという人が増える。ワンストップで買い物できるコンビニがさらに宅配に手を伸ばしファストフードからも消費者を奪い固定客化しようとしている。

    郊外店の背広はなぜ安いのか
    一例だが百貨店で売っている背広が58千円とすると生地が5600円、工賃が10400円で製造原価が16000円、これに対し郊外店では35千円で売りロットサイズを大きくして原価を12200円に抑えている。百貨店が23000(40%)、アパレルが19000(33%)のマージンを取るのに対し、郊外店は18000(51%)、メーカー4800(14%)と一見メーカーが利益率を落としている様だがこれもロットサイズが大きければメーカーも充分成り立つ。これを極端に規模を追いかけてやっているのがユニクロなどのSPAでユニクロは東レと組んで単純に安いというよりは独自のブランド価値を作り出している。今や旗艦店の立地は百貨店と変わらない。百貨店はアパレルやブランドに場所を貸し出す不動産業というのが実態に近い。先のコンビニとの対比で言えば百貨店の目指すのは時間を消費させる場所でしかないような。在庫は持たないショールームに特化しそのかわりセミオーダーメードのように高いけれど客の注文を何でも受け付けると。元々がご用聞きが利益の源泉なのだから。そしてお金を使わなくても楽しい場所を目指すのだろう。阪神百貨店のフードコートなんかが良い例だと思うし、宅配もしないそこでしか売っていないお菓子に並ぶ人も多い。百貨店に限らず例えば原宿はそこに行くこと自体が目的の観光地と化し海外からも人気が高い、そしておばあちゃんは巣鴨の地蔵通りへいく。シャッター商店街との違いはなんなのだろう。

    専門店vsアマゾン
    トイザらスに代表されるカテゴリーキラーの最大の競争相手はアマゾンなどのネット販売になるかも知れない。インターネットとロジが組み合わさり流通業自体に変革が起きている。専門店はサプライチェーンの中でチャネルリーダーの立場を獲得した。メーカーが育てたナショナルのお店に対し売り場の発言力の方が強くなったヤマダ電機という変化だが、今後は生産者が直接消費者と結びつきニッチな生産者を束ねるプラットホームとしてのアマゾンや楽天、そしてそれを支えるヤマトなどの物流会社という構図が進むのだろう。宅配の時間指定はもはや当たり前だが、例えば到着予想時刻を知らせるサービスなんか今の技術で出来るだろう。ちょっと外出してる間に配達があってもそれをスマホに飛ばしてもらえば即座に何分後に再配達を依頼ということも出来る様になる。

    そうはとんやがおろさない
    うまい商売を思いついても肝心の商品を問屋が売ってくれないというのがこのことわざの語源で、昔は問屋が流通の中心にいて商流(金の流れ)、物流(物の流れ)と情報の流れを全て押さえていた。例えば風邪薬の場合大正製薬のパブロンと武田薬品のベンザエースでは小売店のマージンが全く違う。小売店にお勧めの風邪薬を聞くとパブロンや佐藤製薬のストナなど直販メーカーの商品を進めるケースが多いというのはその方が小売店の手取りが増えるからだ。アメリカの医薬品問屋は病院に深く入り込み、在庫管理の悪さに眼をつけ管理サービスまで引き受けた。また危険な薬品の管理については指紋認証システムの容器を提案し、盲腸などのルーティン手術用にはキットをパッケージにして病棟ごとに届ける様にした。誰が何のために何を必要としているのかを踏み込んでとらえたマーケティングの良い成功例だ。決済サービスもロジもインフラとして整備されたので後は情報をどう扱うかがテーマなんだろう。アマゾンの場合もどこの店が信頼できるか、そして信頼できない店をどうやって排除するか。メーカー側からしても情報の発信がキーになる。宮尾酒造の〆張鶴は年間20億ほど売れていないが利益は9億も稼ぐらしい。問屋は通さずつきあいのある酒屋や飲食店にしか卸さない。ブームになった地酒や焼酎なども昔からのつきあいのあるところにしか卸さないという話はいくつもある。「そうはとんやにおろさない」

  • 「流通」というと、ほぼ小売業のことを言うのだと、初めて知りました。

  • メモ:
    事例を並べて、整理する
    新書としては十分

  • 2014.08.13 お盆の真っ只中に読了。経済成長期以降の流通業の変化を概観するのにちょうど良い。ひとつひとつは深くはないが、全体像を把握する上ではちょうど良い。

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流通業界ではメーカー(上流)、問屋(中流)、小売(下流)の垣根がなくなり、チャネルリーダーのポジションをめぐる戦いが激化している。壮絶な主導権争いは消費者にどのような影響を及ぼすのか。30年間にわたって流通の現場を歩き、「ウォーキング・エコノミスト」と呼ばれる経済学者が、マクロとミクロ両面の視点から大きく動き始めた日本経済を見通す。

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