ネグリ、日本と向き合う (NHK出版新書)

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884300

作品紹介・あらすじ

2013年、ついに来日を果たしたアントニオ・ネグリ。彼は、3・11後の日本をどう見たのか?原発問題・領土問題・アベノミクスなど日本の課題、米国・EU・中国・南米など現代の世界情勢、日本におけるマルチチュードの可能性について、率直に語る。日本を代表する知識人によるネグリへの"応答"も多数収載。世界有数の知性と日本の知性がぶつかりあう刺激的な一冊!

感想・レビュー・書評

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  • 第2部・第3部で展開される日本の論者たち(市田、上野、毛利、白井、大澤)の論考がそれぞれに面白かった。これらを読むことで、ネグリの言う<帝国>や「マルチチュード」「コモンウェルス」などの概念が、世界に対する私たちの見方にどのような変化をもたらすのか、が実感できたような気がする。

  • 【由来】
    ・多分、図書館の新書アラート

    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • レビュー省略

  • 古本屋で見かけて購入しました。
    アントニオ・ネグリの著書は『ネグリ 生政治(ビオポリティーク)的自伝―帰還』を読んでみたのですが、なかなか入っていけず難しかった。また、この本はネグリがまだイタリアの獄中にいた時に書かれたものなのですが、その「日本の読者に向けて」のメッセージでは、「日本に行きたい」というような感じのことは書いてありました。しかし、実際来れたかどうかはこの本を読むまでまだ知らなかった。

    そうですか、来てたんですか。2013年4月。この本はその時来日した際のシンポジウム・講演と、それを受けての日本の知識人の応答がまとめられた本です。

    日本の文脈に引き合わせて語っているので、「〈帝国〉」「マルチチュード」という言葉で何を語ろうとしているのか、それが自分たちの生活とどのように関わりがあるのか、非常に理解しやすい。難解さはほとんどありません。現段階で何か最初にネグリを読み始めようと思う人がいるなら、この本が最適でしょう。
    3.11に関する議論も非常に明快です。理論と現実認識、両方そろって確かな見解が述べられているように思いました。特に「四つの人間像」(p.92-94)の議論は非常に印象深い。また、日本の知識人の応答の中では市田良彦さんの文章に「あぁ、そう。これが若者のリアルだよなぁ」と響くものを感じました。

    「複数の多様性」を保ちつつ、決して「孤独(ソリチュード)」に引きこもるのでなく、「共に」というところでつながりあい、互いに愛し合うという関係。これを現代社会の中でどのように開いていけるかが、ネグリの取り組んでいる課題なのだと、私は受け取りました。
    そう考えると、「共に」というところで生きることは万国共通の課題なのだなということを、月並みな感想ではありますが改めて思った次第です。

  • ひゃー、難しい!

    こりゃ池上彰さんあたりに解説してもらわないとわからないや。


    以下、自分勝手な解釈。(本の要約ではありません。くれぐれもこんなレポで読んだ気にならないでください)


    あれほどの大事故を起こし、終息もしていないのに、なぜ政府は原発推進の流れを変えようとしないのか。それは政官財の癒着による巨大な利権があるからだ。しかも原発推進国家間のネットワークもなかなか強く、一国家による政策ではない。それはかつて「帝国」と呼ばれた巨大な国家連合じゃないのか(それを原子力国家と呼ぶ)



    その堅固な権力に対して、あちらこちらから一般人が声を挙げ、権力の暴走は許さねー!とデモや署名活動なんかをする。どこかの政治団体や宗教団体なんかが先導しているわけでもなく、思い立った小人数がSNSで呼び合って集ったりする。主婦だったり、サラリーマンだったり、ミュージシャンだったり、学生だったり。反政府行動に参加することに対して構えたりすることがあまりない。垣根が低い。そんな人たちが大勢集まれば、この巨大な権力にも対抗しうる勢力になるんじゃないのか。といったことが言いたいのか?


    この集団の特色としては強力なリーダーがいないこと。様々な思想信条を持った人や集団が、ある目的のもとに団体行動を起こす。緩やかな連合体なのだ。アラブの春なんかはそのいい例らしい。


    うわ〜、すげーざっくり言っちゃった。
    絶対間違って理解してる自信がある。


    なんで、こんな本を読んだかというと、安保法制反対のデモをしていた(いる)人たちはどこに向かおうとしているのか(どこに向かうべきなのか)ということが見えてくるかな〜と期待したから。結論としては何も見えてこなかった(読みが浅いので理解できなかっただけかも)



    自分はあの人たちの意見には賛同できないが、運動がどう展開していくのかには興味がある。いまのところ民主と共産が党勢回復に利用しようとしているところしか表面に出てきてないから、どう離合集散をするのか注目したい。

  • 難解で読みこなせてはいないが、なんとなく3・11以前からくすぶっていたもの、3・11以降世界を覆っているものの根本に迫っていると思う。
    しかし、私にはマルチチュードの可能性も少し楽観的に思えるのは、出版当時(2014年)からの時間の経過故だろうか?

  •  東日本大震災を受けて来日したアントニオ・ネグリの講演と日本の文化人の応答。

    マルチチュードルと帝国の視点から語られる原子力(国家)という概念は確かに説得力がある。
    日本人の文章では特に白井聡さんの文章が興味を引いた。

    改めてネグリを読み込んでみたくなった。

  • 2014/07/20

  • 「帝国」「マルチチュード」「コモンウェルス」など、その著作からグローバリズムへの批判者であり続ける著者が震災後の日本をどう見ているのか。と、興味深い内容なのだが難解でまだ読みこなせていない。なぜだろう?

  • ネグリと日本の思想家研究者の対談等による3.11以降の世界と日本の現実の問題提起。

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著者プロフィール

1933年イタリアのパドヴァに生まれる。マルクスやスピノザの研究で世界的に知られる政治哲学者。元パドヴァ大学政治社会科学研究所教授。 早くから労働運動の理論と実践にかかわる。79年、運動に対する弾圧が高まるなか、テロリストという嫌疑をかけられ逮捕・投獄される。83年にフランスに亡命。以後14年間にわたりパリ第8大学などで研究・教育活動に携わったのち、97年7月、イタリアに帰国し、ローマ郊外のレビッビア監獄に収監される。現在、仮釈放中。 邦訳に『構成的権力』『未来への帰還』『転覆の政治学』等がある。

「2003年 『〈帝国〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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