21世紀の自由論 「優しいリアリズム」の時代へ (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884591

作品紹介・あらすじ

日本にはリベラルや保守がそもそも存在するのか?ヨーロッパの普遍主義も終わりを迎えているのではないか?未来への移行期に必須の「優しいリアリズム」とは何か?-「政治哲学」不在の日本、混迷を極めるヨーロッパ、ネットワーク化された世界に生まれた共同体の姿を描き、「非自由」で幸せな在り方を考える。ネットの議論を牽引する著者が挑む新境地!

感想・レビュー・書評

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  • 賢げな顔の新聞、識者などの論説に違和感を感じ、イライラさせられてきた。
    特定の新聞の暴論には、何を考えているのかと腹立ち、呆れもさせられた。
    そうしたリベサヨ、と分類される人々の言説がどこに依拠しているか、分かりやすく解き明かす本。
    著者は元毎日新聞記者であり、出版社はNHK。
    だからこそこうして明解に分析できるのかもしれない。
    しかし、「優しいリアリズム」の時代に関する、最終章の内容は、今ひとつ腑に落ちなかった。
    著者のように、緩やかなネットワークの中で、知的な価値を生み出すことのできない人々は(私も含め)、どのようにして生活の糧を得て、安心して暮らしていけるのか、というのがよく分からなかった。
    ちゃんと読み取れてないだけなのかもしれないが。
    いずれ再読してみよう。
    また、新しい著書が出れば読んでみたいとも思う。

  • 衆院選を前に、自分の政治観を見つめ直す意味もあって読んでみました。
    個人的にはもともとリベラル寄りに立っていると思うのですが、直近の権力批判やあげくに個人批判ばかりしている人達には辟易していたので(不寛容なリベラルって何…?)、考え方的には著者佐々木さんの立ち位置に少し近いのかなと思います。

    本著の流れとして、いきなり持論を述べるのではなく、保守とリベラルというものを整理して、日本における経緯(保守が親米を軸にグローバリゼーションを許容していて、リベラルが反米というのは確かに逆転現象だ)や、歴史的な背景(何を重視して、リベラリズムやコミュニタリアニズムが存在しているのか)、これらの問題点をしっかり理解させてくれるのは非常に勉強になりました。
    シンガポールのような開発独裁を是認しているのはちょっと意外にも感じましたが、読むと考え方は良く理解できます。

    その上で、この先に見えてくる世界について書かれているのですが…ここはちょっと抽象的に感じてモヤモヤっとした印象を持ってしまいました。
    もちろん、新しい概念を既存の言葉で説明するのはとても難しくて、例えば「スマホ」「通信」「SNS」といった単語を使わずに現代のコミュニケーションを解説するようなものなのでしょうが。
    結局は岡田斗司夫の評価経済社会だったり、伊藤計劃のハーモニー的な社会ってコト?と強引な理解をしてしまいがちになったので、具体的な生活例なんかがあると、もっと良く伝わってきたのではないかと。
    よって、私の理解には誤解があるのだと思いますが「優しいリアリズム」というのも、結局出てきたものを是認するだけで搾取されっぱなしになるリスクはないのか?と思ってしまいます。

    ただ、めざす方向性は少しは理解できたのではと思います。少しでも生きやすく、優しくてしなやかな社会に向かっていければ良いなと。

  • 後段になるほど、抽象化が上がり、分かりにくいが、イメージは理解できたかな?

  • f.2020/7/6
    p.2020/4/23

  • 日本の言論空間におけるリベラルの批判。求められるのはリアリズム、しかし優しさを伴うもの。国民国家に変わって、ネットワーク技術を活用したグローバル企業による社会の支配がすすむ。それは下から生活を支える「見えない帝国」のようなものである

    二十一世紀の世界における困難な問いかけをみなで考えるために書かれたものである。その問いかけとは、次のようなものだ。 「生存は保証されていないが、自由」と「自由ではないが、生存は保証されている」のどちらを選択する loc87

  • リベラル?リアリズム

  • 大家族制度が伝統であるとの根拠はない。江戸時代までさかのぼっても、核家族は4割以上あり、結婚できない男性の単身世帯も多く、多様で多元な社会だった。

    天皇家の葬式は、江戸時代までは仏式で執り行っていたが、明治時代に、古代の神聖な神のイメージを創作するために神式に改められた。

  • 「リアリズム」は確かにその通りなんだけど、認識のゆがみが不毛な左右対立があると思うので、どういう風に知識を得て頭を使えば現実的な思考ができるかという点がほしいところ。

  • 全世界で十三億人以上の利用者がいる米国企業フェイスブックは、社員数は一万人足らずだ。三億人近い利用者のツイッターは、社員数三千六百人。自動車や電機など第二の産業革命を担った近代の大量生産企業が、子会社も含めれば数十万人も母国で雇用していたのと比べれば、社員はとても少ない。二十一世紀の先端の企業は、先進国ではたくさんの人を雇わない

    そもそもグローバル企業は母国で 人を多くは雇わず、仕事は国外に出してしまう。結果的にトリクルダウンは起きず、どの国でもリバタリアニズムの政策は最終的に否定され、捨て去られた。

    コミュニタリアニズムにも、本質的な難点がある。  コミュニタリアニズム先進国のオランダで起きていることが、それを象徴している。

    経済成長があったから民主主義」であって、決して「民主主義があったから経済成長」ではないのだ。おまけにそれは、アジアやアフリカという「外側」の搾取のもとに成り立った幻想でもあった。

  • 一国平和主義の日本のリベラルは反戦を訴えるが、アメリカのリベラルはむしろ真逆の立場を取っていたりする

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著者プロフィール

ジャーナリスト

「2022年 『楽しい!2拠点生活』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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