「絶筆」で人間を読む 画家は最後に何を描いたか (NHK出版新書)
- NHK出版 (2015年9月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140884690
作品紹介・あらすじ
ルネサンス、バロック、印象派…もう、そんな西洋絵画の解説は聞き飽きた。知りたいのは「画家は、何を描いてきたか」、そして「最後に何を描いたか」。彼らにとって、絵を描くことは目的だったのか、それとも手段だったのか-。ボッティチェリ、ルーベンスからゴヤ、ゴッホまで、15人の画家「絶筆」の謎に迫る。
感想・レビュー・書評
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どの画家も 全盛期には
美術史にのこる名作を描いてますから
晩年になっても すごい・・・
とは限らない
凄い絵を描き続けた人
つまらなくなった人
画風を変えたひと
人生最後に残した作品
見ごたえありました詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
それぞれの画家を絵を通して深く知ることができる内容。
各画家の人生の変化、時代に応じて、作品も変化しており、その様子までわかる。
面白い。
手元に置いておき、機会がある都度見返して楽しめる。-
2020/03/07
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2020/03/07
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15名の画家たちの名画と「絶筆」で彼らの生き様を探る。
第一部 画家と神ー宗教・神話を描く
I ボッティチェリ『誹謗』II ラファエロ『キリストの変容』
III ティツィアーノ『ピエタ』IV エル・グレコ『ラオコーン』
V ルーベンス『無題』
第二部 画家と王ー宮廷を描く
I ベラスケス『青いドレスのマルガリータ』
II ヴァン・ダイク『ウィレム二世とメアリ・ヘンリエッタ』
III ゴヤ『俺はまだ学ぶぞ』
IV ダヴィッド『ヴィーナスに武器を解かれた軍神マルス』
V ヴィジェ=ルブラン『婦人の肖像』
第三部 画家と民ー市民社会を描く
I ブリューゲル『処刑台の上のカササギ』
II フェルメール『ヴァージナルの前に座る女』
III ホガ-ス『ホガース家の六人の使用人』
IV ミレー『鳥の巣狩り』V ゴッホ『カラスのむれとぶ麦畑』
関連画家年表有り。
「絶筆」というより最晩年の作品も・・・だが、所謂彼等の
名画や幾つかの作品と共に示されると、画家の生涯や遍歴が
浮かび上がってくる。彼らは「何を描いてきたか」。
画家となり、簡略ながらも詳しい生涯。
画家になった者たち・・・何故画家になったのか?生活?栄誉?
その生い立ちは様々でも、それぞれが歴史に名を残した事実。
画家たちの視線・・・何を捉えたのか?何を描いたのか?
神話や信仰、依頼人たちの望み、描かねばならなかった事情。
そして等しく死は訪れる。
宮廷に捉わる、主君の代替わり、絵画の流行の変遷、戦争、
革命等、時代の荒波の揉まれ、最期の時に辿り着く。
「絶筆」はその画家の生き様の終着点。
信仰に捉われ、絶頂期とはほど遠い絵を残した、ラファエロ。
権力欲に捉われ、死ぬまで画家の強靭な姿を残した、ゴヤ。
死の直前まで手元に置いたという、穏やかな顔の使用人たちの
ホガースの油彩画は驚き。彼の油彩画をもっと見たくなりました。
多作の著者の作品の中でも、特に満足感高し!
手元に置いて何度も読みたいです。 -
1日もあれば読み終えられるくらいのボリュームですが、途中から読了するのが勿体無く思えてしまい、ルブランから先はだらだら読んでました。有名画家の絶筆をまとめて見たことがなかったので新鮮。p191に日本における絵画の見方の勘違いの根源に関する解説が良かった。図書館で借りたが、買って手元に置いておきたいかも。
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ゴッホより普通にラッセンが好き。
そんな人もゴッホがどんな想いで絵を描いたのか、どんな人生を送ってきたのかを知れば、ゴッホのほうが好きになるかもしれない。
後世に名画を残した画家が、人生の最後にどんな絵を描いたのか。
それを元に画家の心境や時代背景の変化を読み解く一冊です。
絶筆作品だけでなく、教科書にも絶対のってる人気絶頂のころの作品を詳細な解説とともに比較することで、絶筆に至るまでにどんな変遷を送ったのかを解説しています。
たとえばゴッホ。
「アルルの跳ね橋」とか、黄色を中心とした明るい色調の農村風景が知られていますが、絶筆となる「カラスのむれとぶ麦畑」は、なにもない麦畑にカラスの群が飛び交う風景を描いた作品。観ているだけですごーく不安になります。
アルルではようやく作家活動に希望を見いだせたのに、その後、友人のゴーギャンに愛想を尽かされ、自堕落生活一直線。女性にも逃げられ(かっれの場合、今に始まったことではないが)、酒とクスリにおぼれたうえに最期はピストル自殺。
そんな中でかかれた絶筆作品は、これまで培った技法や色調(やっぱり黄色が大好き)を駆使しつつ、不安感がMAXに込められたものになっています。
取り上げられた作家に共通していえるのは、どれだけ人生が変化しようと、彼らは一貫して絵を描き続けた、ということ。
画家の人となりとか逸話とかで、その絵の価値が変わることはないし、名がはいつみても名画だ。
だが、画家の人生や、その絵に込められた想いを理解することができれば、その絵を鑑賞するときの深みが増す(ワインと同じだ)。
ラッセンさんのほうがどんな人生を送ってきたのかは知らないが、美術館にいったときに作者の系譜をちゃんと読もう、頑張って図録も買おう、そんなモチベーションをあげてくれる一冊です。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/691707 -
723-N
閲覧新書 -
人生最後の作品を集めた珍しい本。視点が面白い。