「絶筆」で人間を読む 画家は最後に何を描いたか (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884690

作品紹介・あらすじ

ルネサンス、バロック、印象派…もう、そんな西洋絵画の解説は聞き飽きた。知りたいのは「画家は、何を描いてきたか」、そして「最後に何を描いたか」。彼らにとって、絵を描くことは目的だったのか、それとも手段だったのか-。ボッティチェリ、ルーベンスからゴヤ、ゴッホまで、15人の画家「絶筆」の謎に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • どの画家も 全盛期には

    美術史にのこる名作を描いてますから

    晩年になっても すごい・・・

    とは限らない

    凄い絵を描き続けた人

    つまらなくなった人

    画風を変えたひと

    人生最後に残した作品

    見ごたえありました

  • それぞれの画家を絵を通して深く知ることができる内容。
    各画家の人生の変化、時代に応じて、作品も変化しており、その様子までわかる。
    面白い。
    手元に置いておき、機会がある都度見返して楽しめる。

    • goya626さん
      中野京子さん!いろいろな本を出しているなあ。売れっ子ですね。
      中野京子さん!いろいろな本を出しているなあ。売れっ子ですね。
      2020/03/07
    • ハイジさん
      こんばんは!
      ホントですね
      本を通して美術の楽しさを色々な角度から魅せてくれます♪
      こんばんは!
      ホントですね
      本を通して美術の楽しさを色々な角度から魅せてくれます♪
      2020/03/07
  • 15名の画家たちの名画と「絶筆」で彼らの生き様を探る。
    第一部 画家と神ー宗教・神話を描く
      I ボッティチェリ『誹謗』II ラファエロ『キリストの変容』
      III ティツィアーノ『ピエタ』IV エル・グレコ『ラオコーン』
      V ルーベンス『無題』
    第二部 画家と王ー宮廷を描く
      I ベラスケス『青いドレスのマルガリータ』
      II ヴァン・ダイク『ウィレム二世とメアリ・ヘンリエッタ』
      III ゴヤ『俺はまだ学ぶぞ』
      IV ダヴィッド『ヴィーナスに武器を解かれた軍神マルス』
      V ヴィジェ=ルブラン『婦人の肖像』
    第三部 画家と民ー市民社会を描く
      I ブリューゲル『処刑台の上のカササギ』
      II フェルメール『ヴァージナルの前に座る女』
      III ホガ-ス『ホガース家の六人の使用人』
      IV ミレー『鳥の巣狩り』V ゴッホ『カラスのむれとぶ麦畑』
    関連画家年表有り。
    「絶筆」というより最晩年の作品も・・・だが、所謂彼等の
    名画や幾つかの作品と共に示されると、画家の生涯や遍歴が
    浮かび上がってくる。彼らは「何を描いてきたか」。
    画家となり、簡略ながらも詳しい生涯。
    画家になった者たち・・・何故画家になったのか?生活?栄誉?
    その生い立ちは様々でも、それぞれが歴史に名を残した事実。
    画家たちの視線・・・何を捉えたのか?何を描いたのか?
    神話や信仰、依頼人たちの望み、描かねばならなかった事情。
    そして等しく死は訪れる。
    宮廷に捉わる、主君の代替わり、絵画の流行の変遷、戦争、
    革命等、時代の荒波の揉まれ、最期の時に辿り着く。
    「絶筆」はその画家の生き様の終着点。
    信仰に捉われ、絶頂期とはほど遠い絵を残した、ラファエロ。
    権力欲に捉われ、死ぬまで画家の強靭な姿を残した、ゴヤ。
    死の直前まで手元に置いたという、穏やかな顔の使用人たちの
    ホガースの油彩画は驚き。彼の油彩画をもっと見たくなりました。
    多作の著者の作品の中でも、特に満足感高し!
    手元に置いて何度も読みたいです。

  • 当然なのかもしれないが、死の間際まで絶好調だった人は少ない。画家はその作品で隆盛が語られるものだが、やはり死の間際にはなかなか傑作を残せる人は少ない、と感じた。寂しくはあるけれど、人間とはそういうもので、後生があーだこーだいうのは間違っているのかもしれない。
    最後のページにある年表が良かった。誰と誰が同時代に生きていたのかが、一目で分かる。ヴァンダイクとベラスケスの対比がとても面白かった。またゴヤの執着、生きることに対してなのか、人間に対してなのか、分からないけれど、とりあえず、執着には凄味を感じる。

  • 第1部 画家と神─宗教・神話を描く
    Ⅰ ボッティチェリ『誹謗』─官能を呼び起こせし者は、消し去り方も知る
    Ⅱ ラファエロ『キリストの変容』─バロックを先取りして向かった先
    Ⅲ ティツィアーノ『ピエタ』─「幸せな画家」は老衰を知らず
    Ⅳ エル・グレコ『ラオコーン』─新しすぎた「あのギリシャ人」
    Ⅴ ルーベンス『無題』─「画家の王」が到達した世界

    第2部 画家と王─宮廷を描く
    Ⅰ ベラスケス『青いドレスのマルガリータ』─運命を映し出すリアリズム
    Ⅱ ヴァン・ダイク『ウィレム二世とメアリ・ヘンリエッタ』─実物よりも美しく
    Ⅲ ゴヤ『俺はまだ学ぶぞ』─俗欲を求め、心の闇を見る
    Ⅳ ダヴィッド『ヴィーナスに武器を解かれた軍神マルス』─英雄なくして絵は描けず
    Ⅴ ヴィジェ=ルブラン『婦人の肖像』─天寿を全うした「アントワネットの画家」

    第3部 画家と民─市民社会を描く
    Ⅰ ブリューゲル『処刑台の上のかささぎ』─描かれたもの以上の真実
    Ⅱ フェルメール『ヴァージナルの前に座る少女』─その画家、最後までミステリアス
    Ⅲ ホガース『ホガース家の六人の使用人』─諷刺作家の心根はあたたかい
    Ⅳ ミレー『鳥の巣狩り』─農民の現実を描いた革新者
    Ⅴ ゴッホ『カラスのむれとぶ麦畑』─誰にも見えない世界を描く

  • 1日もあれば読み終えられるくらいのボリュームですが、途中から読了するのが勿体無く思えてしまい、ルブランから先はだらだら読んでました。有名画家の絶筆をまとめて見たことがなかったので新鮮。p191に日本における絵画の見方の勘違いの根源に関する解説が良かった。図書館で借りたが、買って手元に置いておきたいかも。

  • ゴッホより普通にラッセンが好き。
    そんな人もゴッホがどんな想いで絵を描いたのか、どんな人生を送ってきたのかを知れば、ゴッホのほうが好きになるかもしれない。

    後世に名画を残した画家が、人生の最後にどんな絵を描いたのか。
    それを元に画家の心境や時代背景の変化を読み解く一冊です。
    絶筆作品だけでなく、教科書にも絶対のってる人気絶頂のころの作品を詳細な解説とともに比較することで、絶筆に至るまでにどんな変遷を送ったのかを解説しています。

    たとえばゴッホ。
    「アルルの跳ね橋」とか、黄色を中心とした明るい色調の農村風景が知られていますが、絶筆となる「カラスのむれとぶ麦畑」は、なにもない麦畑にカラスの群が飛び交う風景を描いた作品。観ているだけですごーく不安になります。
    アルルではようやく作家活動に希望を見いだせたのに、その後、友人のゴーギャンに愛想を尽かされ、自堕落生活一直線。女性にも逃げられ(かっれの場合、今に始まったことではないが)、酒とクスリにおぼれたうえに最期はピストル自殺。
    そんな中でかかれた絶筆作品は、これまで培った技法や色調(やっぱり黄色が大好き)を駆使しつつ、不安感がMAXに込められたものになっています。

    取り上げられた作家に共通していえるのは、どれだけ人生が変化しようと、彼らは一貫して絵を描き続けた、ということ。

    画家の人となりとか逸話とかで、その絵の価値が変わることはないし、名がはいつみても名画だ。
    だが、画家の人生や、その絵に込められた想いを理解することができれば、その絵を鑑賞するときの深みが増す(ワインと同じだ)。

    ラッセンさんのほうがどんな人生を送ってきたのかは知らないが、美術館にいったときに作者の系譜をちゃんと読もう、頑張って図録も買おう、そんなモチベーションをあげてくれる一冊です。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/691707

  • 723-N
    閲覧新書

  • 人生最後の作品を集めた珍しい本。視点が面白い。

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著者プロフィール

早稲田大学、明治大学、洗足学園大学で非常勤講師。専攻は19世紀ドイツ文学、オペラ、バロック美術。日本ペンクラブ会員。著書に『情熱の女流「昆虫画家」——メーリアン』(講談社)、『恋に死す』(清流出版社)、『かくも罪深きオペラ』『紙幣は語る』(洋泉社)、『オペラで楽しむ名作文学』(さえら書房)など。訳書に『巨匠のデッサンシリーズ——ゴヤ』(岩崎美術社)、『訴えてやる!——ドイツ隣人間訴訟戦争』(未来社)など。

「2003年 『オペラの18世紀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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