- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140884799
作品紹介・あらすじ
将来不安が増す一方で、急速な世界株安が起こり、テロの暗雲が世界を覆う。なぜ、このような状況に陥ったのか?戦争の時代は繰り返されるのか?個々の生き方から国際情勢までを規定する資本主義の本質を解き明かす。明治期にまでさかのぼり日本独自の問題点を明らかにするとともに、資本主義の矛盾のなかで生き抜く心構えを説く。新境地を開く書き下ろし!
感想・レビュー・書評
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マルクス経済学をもとに、資本主義経済の行き着く先を解説してくれています。貧富の差がますます大きくなり、賃金は安くなる一方ということで、暗澹たる思いになるのです。AIやバイオテクノロジーなどの技術革新が格差を是正してくれるのか、むしろ拡大させるのか興味深いとも思いました。
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同氏の書いた「いま生きる『資本論』」の要諦をまとめ直した内容です。新書なので、「いま生きる〜」からかなり読みやすくなっています。それにもかかわらず、マルクス資本論を宇野弘蔵の解釈に立って読み解いていく内容は、少しも簡略化されることなく、エッセンスが絞り込まれています。
読みやすさでは本書の方に軍配が上がるかとは思いますが、両著書とも併せ読みすることで、佐藤氏の資本論の読み方がよく理解できるかと思います。 -
日本でこれだけ金融緩和をやっても思うように経済が好転しなかったり、世界でも好況の大国がなくなりつつあったり、資本主義自体の限界を感じる状況が増えてきている。
しかしここで、資本主義ってそもそも何だろう?
よくわからなかったので、資本主義に関する本を適当にいくつかピックアップして読むことにしました。
本書は資本主義の素人である僕にとってもそこそこわかりやすく、入門書としては良さそうに思いました。
前半はマルクス経済学で資本主義の原理原則を説明したあと、それだけでは説明できない国家と資本主義の関係について段階論を使いながら解きほぐしていく。
日本の近代史を丁寧に追いながら解説してくれているので頭に入ってきやすい。
後半は現在日本が抱える問題にどう対峙するか、について。
筆者の個人的見解が述べられているにとどまるので、いろんな研究者の論考を用いて丁寧に展開された前半からはかなりの飛躍を感じるけれど、意見としては面白く、首肯する部分も多い。
労働者の賃金は「生活するためのお金」+「労働者の再生産のためのお金(家族を養うお金)」+「自分自身を教育するためのお金」で決定されるため、会社の利潤がどれだけ増えたとしても賃金が増えることはない。
つまり、資本家からのトリクルダウンは原理的には起きない、というマルクスの考え方が印象に残りました。
確かに、アベノミクスでも経済界に大量のお金が投入されましたが、トリクルダウンは今んとこ起きてないですよね。 -
宇野経済学の枠組みにもとづいて、近代以降の日本資本主義の展開を解説するとともに、現代の日本および世界が直面している諸問題についての考察をおこなっている本です。
宇野経済学では、共産主義の実現をめざす革命家としてのマルクスと、資本主義の分析をおこなった観察者としてのマルクスを区別し、あくまで観察者のまなざしで資本主義のしくみを解明するという立場が採られます。そのうえで、原理論・段階論・現状分析という三つのステップの区別によって資本主義の展開が明らかにされます。すなわち、19世紀なかばのイギリスにおける資本主義の純粋なかたちを明らかにする原理論、国家が介入することで重商主義から自由主義的な資本主義、そして帝国主義的な資本主義へと発展していくプロセスをたどる段階論、さらにソヴィエト連邦の成立以降の資本主義体制の施策の意味を解明する状況分析という、三つのしごとが示されたことになります。
本書では、近代日本における資本主義の成立が、イギリスのエンクロージャーによってはじまる資本主義の形成とどのようにちがうのかということが解説されており、いわゆる講座派と労農派の歴史観のちがいにも触れながら、近代日本の歴史的なあゆみが簡潔にたどられていきます。そして、マルクスおよび宇野による資本主義の見かたにそくして、グローバリズムが世界経済を席捲し、テロと貧困が蔓延している世界情勢についての著者自身の考えが述べられます。
著者の宇野経済学への傾倒が率直に示されており、宇野経済学の枠組みを用いることで、現代の世界に起こっているさまざまな事件の意味を理解することが可能だということを、具体的な事例にそくして示した本といえるように思います。 -
日本の資本主義の成り立ちについて、確認。
資本主義から起こる格差を埋めようと国家がすれば、全体主義(ファシズム)に近づくし、「恐慌」は必ず起こるし、またその解決には「戦争」で経済を回すという、、、
なんとも生きにくい世界だな~と思いつつも、生きていかないといけないからこそ、自分の今、立っている位置を確認しておかないといけないと思った。
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元外交官の佐藤優による歴史書。
資本主義そのもの説明というより、主にマルクス主義に対比するものとしての位置づけとしての解説だった。 -
佐藤優が、マルクス経済(を進化させた宇野経済)から読み解く資本主義の経済史。ざっと読んでなんとなく理解した気になるが、ほとんど頭には残っていない…。経済をしっかり理解しようと思ったら、じっくりひとつひとつ理解していかないとなかなか見にはつかないなと思った。少なくとも自分には。
ただ、新書なので読みやすいという点はよい。
資本主義は、労働力の商品化から始まっており、景気のループで自然発生する「恐慌」を止めるために、資本の国外への投資、すなわち帝国主義が生まれたと。そんな感じだったかな。繰り返しになるが、なんとなく理解した気にはなれる。 -
東2法経図・6F開架 332.106A/Sa85s//K
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宇野弘蔵の経済学の理論に分析の方法を借り、日本の資本主義の成立を後付け、現状分析をした本。
本書はさらに、外部がない資本主義下で、個人はどうすべきかについても提言している。
宇野弘蔵については、全く知らなかった。
マルクス主義経済学をベースに、資本主義社会の分析をした人の由。
本書で分析に枠組みとして利用するのは、宇野の「三段階説」。
資本主義の純粋な形態を明らかにする「原理論」。
やがて資本主義に国家が介入する時代がきて、その介入の在り方により、重商主義的、自由主義的、帝国主義的資本主義へと移り変わる。
この状況を分析するのが「段階論」。
最後にそれらを踏まえての「現状分析」。
この三つの分析を組み合わせる方法だという。
この分析は、「日本の特殊性」に胡坐をかいて思考停止状態に陥らずにすむ点で優れていると思った。
個人的に面白かったのは、共産主義の「講座派」と「労農派」の違いについての言及。
講座派(日本共産党系)は、まず天皇制打破を行い、日本に本当の資本主義を招来してから、社会主義革命を起こすという二段階革命説をとる。
一方、労農派は明治維新をブルジョア革命と捉え、ただちに資本家を倒す革命を起こせばいい、という一段階革命説をとる。
この二派の対立が、現在まで続く思考の鋳型になっているというのだ。
日本特殊論に傾きがちな講座派と、グローバルスタンダードで押し通す労農派、ということらしい。
佐藤さんは何となく労農派に肩入れしているようにも思えたが?
あとは、ファシズムとナチズムの違いについても、やっとわかった感じを得た(いい年して!)。
ファシズムは資本主義を守るために、資本主義下のひずみを国家の介入により是正する運動。
ただし、恩恵を受けるのは「束」となったその国民だけで、排外主義をとる。
一方、ナチズムはファシズムに包摂されるが、人種主義に依拠する点がファシズムと異なる。
現在の資本主義で生まれる格差を、国家の再分配機能を強化して是正せよというピケティの主張は、ファシズムに転じる可能性があるという。
あんなに流行ったピケティが、一過性のブームとして葬り去られたのはそのせいなのか?
まだ私たちはファシズムを飼いならせる技を身に着けてはいない。
巻末の「現状分析」は読むのがつらくなってくる。
個人としてできることは、資本主義に取り殺されない程度に働き、金を媒介としない人間関係を作ることなのだそうだ。
それがー難しいことなんだけどね。 -
【由来】
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【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
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【目次】