アマゾンと物流大戦争 (NHK出版新書)

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140884959

感想・レビュー・書評

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  • 1.今度行く職場では物流企画も行う部署なので軽く学んでおこうと思いました。

    2.アマゾンは先行投資を惜しみなく行い、拠点として機能させることでインフラとしてアマゾンを消費者に認知させました。かつて日本企業もこのような事例通りに行ったものの、資金不足や採算不足で撤退を余儀なくされる企業が大勢いました。その中で、現在生き残っている企業は約40社だと述べています。中でも、郵政、ヤマト、佐川が寡占状態を起こしています。しかし、だからとって大手が良いとは限りません。法改正後、小規模な企業も参入しやすくなっているため、個人でも立ち上げることができます。
    しかし、再配達や事故などの問題が絶えないため、どこの会社も停滞気味です。そんな中アマゾンはどのようにここまで規模拡大を図ってきたのか、専門家である著者から物流とは何か?ということも踏まえて述べられています。

    3.今の物流業界は変革期を迎えたと思っています。自動運転の開発により、人間が運転しないでよくなれば、どれだけ運転手の人手不足に貢献できるだろうか、どれだけ顧客に合わせた配達できるだろうか。考えただけで面白くなります。ただ、安全性について問われているため、社会への実装はまだまだ先の段階になってしまいます。自動運転を普及させるには私たち個人が自動運転を認めることで、政治を動かしていくしかありません。今も、Uberから守られているタクシー業界は現実問題どうなのでしょうか。さらされたことのない競争社会で生き残っています。そのことが物流業界に来ているので、非常に見どころあると思います。

  • 物流というものがいかに一朝一夕ではできないものか、ということを先に説明してくれるのでわかりやすかった。アマゾンの強さは、ロジスティクスに投資をし続け、先進的な取り組みをしていることに裏打ちされているからだということが理解できた。さらに、アマゾンが時前で流通網を整備するという未来までが予想されている。アマゾンがウォルマートに多くを学び、エブリデイ・ロープライス戦略に立っているのはなるほどと。ヨドバシやアスクルの取り組みも紹介されているが、アマゾンと互していくのはなかなか大変そうだね。

  • ◯ロジスティクスの観点から見てカクヤスモデルが優れているのは、商材をお酒など飲料品と一部の食材に限ることで、店舗そのものをストックポイントに位置づけた点にあります。(60p)

    ◯ロハコは「データを活用したマーケティングの研究・実践ができる場(プラットフォーム)という位置づけで、多くの大手メーカーを巻き込み、友好的な関係の構築に成功しているのです。(177p)

    ◯ワービーパーカーやボノボスは、ネットと店舗のそもそもの位置づけを改めました。店舗は商品を売る場所、買う場所ではなく、自社のブランド価値を伝え、最上のサービスを提供する場所として再定義し、店舗で商品を確かめた後にネットで購入するスタイルを作りました。(209p)

    ◯モール型はそもそものビジネスモデルが販売プラットフォームであり、物流プラットフォームではないことから、物流センターからの一括配送がなかなか実現しません。(211p)

    ★ネット通販を物流の視点から見た本。プラットフォームを販売プラットフォームとしか捉えていなかったたので、物流プラットフォームとしての捉え方は目からウロコだった。

    ★ウォルマートのEDLPも物流の平準化という観点があった。

  • アマゾンの強みはロジスティクスだ!!
    地味に思われがちなロジスティクスに光を当てている点がよいと思う。アマゾンのような多種多様な商品を扱う企業にとって、ピッキングや配送といった作業の効率化がいかに重要かということだ。このすさまじい種類の管理を誰がどうやって行っているのだろうか。フルフィルメントセンターを見学してみたいと思った。

  • ネットで殆ど何でも買える現在、物流の重要性は更に増してきており、それへの興味が本書を手に取った理由だが、ロジスティクス(物流最適化)をキーワードとして、アマゾンが強い(強くなった)理由、対抗馬のウォルマートの動向、国内外の最新サービスの紹介など、説明や構成が素人にもわかりやすく、新書として過不足ない内容だった。必ずしも店舗に赴く必要が無い中、逆に店舗での体験そのものをショーウインドウにして客を惹き付け、しかも購入商品は後で無料配送させる手法などは、ネットとリアルがよく親和していて面白いと思った。コンピュータに効率的なロジスティクスを分析させ、ウェブで商品を効果的にアピールし、それによって買い物の仕方のバリエーションが増える事は、生活スタイルにも影響を与えうる。が、それもこれも(少なくとも現時点では)最後は人の手を介している点は肝要な気はした。

  • ネット通販といっても、いろいろ形態があってややこしい

  • 描写されているのは大戦争でなく細かい小競り合い

  • 今も世界ナンバ ーワンの売上高を誇る小売企業である米国ウォルマ ートと 、ネット通販では他を寄せ付けない圧倒的ナンバ ーワンの地位を築いたアマゾンとが 、ネット通販とリアル店舗というお互いの領域に踏み込み 、繰り広げている仁義なき戦い
    【楽天物流網の落とし穴】
    ロジスティクスを楽天は短期で買えるもの 、つまりコストだと考え 、アマゾンは長期で構築する投資だと考えたところに決定的な違いが現れました 。
    【佐川の決断】
    2 0 1 3年にアマゾンと値上げ交渉をしましたが受け入れられず 、佐川急便は大口の取引先だったアマゾンとの契約を打ち切ったのです 。ヤマトと佐川の二強だったのが、これによりヤマトの一強に。三番手は日本郵便
    【日本の物流の問題】
    ・トラック運転手不足
    ・再配達
    【ウォルマートの戦略】
    毎日低価格 ↓を防ぐ
    流通業において最終顧客の需要が変動することにより 、その上流に位置する工場や物流センタ ーほど大きな影響を受けることを 、経営学の世界では 「ブルウィップ効果 ( B u l l w h i p E f f e c t :鞭効果 ) 」と呼びます 。需要のぶれが鞭のように流通の上流へさかのぼり 、大きな影響を与える様を表しています。
    【アマゾンの戦略】
    ・ウォルマートの重役を引き抜き
    ・自動値付けボット(他社サイトより安い価格)
    ・品揃えと低価格を実現するためにマーケットプレイス(サードパーティー・セラー)を導入。
    ・物流システムをサードパーティーへ貸し出し▶︎アマゾン物流センターの稼働率を上げる
    ・Amazonマム 競合より価格を下げて、買収まで漕ぎ着ける
    ・赤字覚悟の低価格でシェアを広げるのがAmazon流
    ・Amazonフレッシュでウォルマートに対抗
    ・Googleがロジスティクスに乗り出しAmazonに対抗
    ・Amazonはロジスティクスとテクノロジーカンパニー
    【日本の物流】
    ・物流は時間をかけて積み上げていくオペレ ーションの側面が重要ですし 、そもそも受注数が少なければ効率化のしようがない。
    ・ネットスーパーは店舗型とセンター型がある
    ・非上場のヨドバシカメラはネット通販が好調、ロジスティックに投資
    【ロジスティクス成功のポイント】
    ①ラストワンマイルの工夫(どこでいつ受け取るか)
    ②独自の製品の販売
    ③ネット×店舗のような顧客との接点

  • 長く物流界隈に関わった者として興味深いトピック。少なくとも日本の会社では物流というのは現場イメージが強く、割合軽視されがちだと思うのだが、物流面の工夫如何で企業発展の可能性はいくらでもあるのだと励まされる。SCM界隈への転職も面白いかもと思わされた。事例比較に終始している印象が強いため評価は▲2。

  • アマゾンやEC業界の物流事情を知るきっかけとしてはおすすめの本。浅く広く扱っている印象だが、アマゾンと物流大戦争というタイトルからは、少し散らばってしまっている印象を受けた。各注目プレーヤーのサービスに触れた上でさらに、入り込んでそれぞれの物流スキームを詳しく説明してもらえたらなお良かったが、導入書として位置づけるのであれば様々なプレーヤーを知ることが出来、学びになると思う。

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著者プロフィール

株式会社イー・ロジット代表取締役兼チーフコンサルタント。日本物流学会理事
1968年生まれ。上智大学経済学部を3年次で単位終了、米ゴールデンゲート大学MBA(マーケティング)。船井総合研究所、光輝物流(実家)を経て、2000年、物流コンサルティングと通販物流代行を行う株式会社イー・ロジットを設立、代表取締役に就任

「2023年 『物流革命2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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