- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140910092
作品紹介・あらすじ
貿易の自由化を求めて幕末日本に開港を迫った西洋諸国、中でもイギリス人は、外交官や医師、海軍士官、大商人などが数多く来航した。時はまさに幕末維新の開幕直前、風雲急を告げる時代、尊王攘夷に燃える志士たちのテロルにさらされながら、大国の軍事力で脅しつつ自分の流儀を持ち込もうとする彼らは日本人のどこに長所や短所を見出し、コモンセンスやフェアプレーはどんな場面で発露したのか、彼らの残した日記、資料などから幕末のイギリス人を描き出す。
感想・レビュー・書評
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英国が来日するまでと、日本で主導権を握ろうとする列強達の様子。
紳士=いい人ではなく身分。
日英人双方の良いところも悪いところも書かれていた。
日英の背景の文化も説明してあり分かりやすかった。一気読み♪ -
※感想は2004年の初読時のもの
ポイントは、「日本史の専門家」ではなく、「英文学研究家」であり、「英国の社会風俗に通じた」著者による作品であること。ときに「幕末」を忘れて「イギリス紳士」ばかりになる節があり、タイトルからすると「脱線?」というくだりもなくはないが、いずれにしても興味深く読める。
日本にやってきていたイギリス人が、いかに「イギリス紳士」としての価値観と習慣を崩さなかったか、ということが本書の骨組。日本で「ピクニック」を敢行したりとか、貴族の趣味である登山(イギリスには高山はないので外国に行けるだけの財力がないと無理だとか)をするために周囲の忠告を無視して霊峰富士山に登るとか、いろいろ無茶をやっているのである。(それで襲撃されたりね)
幕末、日本に交渉に赴いたのが、ただの役人とか軍人とかではなく「イギリス紳士」であったことが、その後の日英関係に大きく影響したのだなぁというのが、あらたな発見。ずどんと一発ぶっぱなして交渉を求めたアメリカ人・ペリーと比較することによって、その違いはより鮮明になる。
日本史だけではなく、19世紀のイギリスにも興味がある人は、2倍楽しい本ですね。どっちかにしか興味がないと、密度がうすーい本。本書に寄れば、「イギリス紳士の条件」とは、「最低でもメイドを2人以上やとっている」ことだそうなので、秋葉原のメイド喫茶に行く人なんかは、たまにはメイド喫茶1回分節約してこういう本を読んでみるのもいいんではないでしょーか(^^)。
そのほかにも、とリビア的に使える小ネタがいっぱい。駐日公使夫人がかなりの巨漢(180cm、120kg!)であったことから、「日本の仏像(鎌倉の大仏)にちなんでダイブーツといわれて」いたとか。
気合いを入れず、ぼちぼち読むと、思わぬ発見がある本ではないでしょうか。 -
幕末に来日した英国人ら(特に外交官)の思考の文化的・社会的背景を知るのに有用。でもステロタイプな「日本文化論」。