科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)
- NHK出版 (2005年1月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140910221
感想・レビュー・書評
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本書を楽しめるかどうかは、最初の方の「科学哲学は何のためにあるのか」の議論がすっきり腑に落ちるか否かにかかっている。
ここで腑に落ちなければ、
「何を当たり前のことをああだこうだとわざわざ深刻な顔して論じているんだろう」
と呆れ、途中で本を投げ出すに違いない。
一方腑に落ちたなら、
「何を当たり前のことをああだこうだとわざわざ深刻な顔して論じているんだろう」
とやはり思いながら、それでもその緻密な論理構成を楽しむことができるんじゃないかな、と思う。
もちろん僕は後者。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
入門書としてかなりいい線いってると思います。
終章の議論はちょっと、うーんだけど、それはどうでもいい。
読んでください! -
印象に残っていることはライプニッツ時代は十七世紀は「科学者」にあたる「scientist」という言葉はなくても科学を生み出していく科学者という言い方がないこと。哲学の歴史はビック・ネームと呼ばれてデカルトは数学者、物理学者、生理学者としての人物です。科学哲学のやり方の自然主義では科学をはじめに面白いことをする研究が書かれてあります。哲学独自の方法で科学の方法論を整備する立場は「第一哲学」です。考え方が「自然主義」と言い科学哲学の重要な仕事は科学による科学の自己理解を助けることが科学的な仕事だと思いました。
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「科学」と「占い」や「オカルト」とどこが違うの?という素朴な疑問に分かりやすく答えてくれる。
哲学の本でここまでわかりやすい文章で説明している本は、この本と「ソフィーの世界」くらい。自分は理系だったが、畑が違うと、全く言葉が通じなかったりする経験がある。それがどうしてなのかわかる。
文章、科学哲学の先生、哲学科の男の子、理系の女の子の対話形式で面白い。
文系の男の子が「質点なんてありもしないのにそれを前提にするなんてナンセンス」とか言うと、「何いってんの!そんなこというやつは20階から飛び降りろ!」というやり取りが妙につぼに入った。 -
ごく普通の職業科学者が共有しているであろう「仮説を実験結果で検証し法則を見つけ出す」みたいな科学観が、哲学的な視点からはツッコミどころ満載のナイーブなものだということはよくわかった。これ一冊で「科学とは?」という素朴な疑問に対して科学哲学という分野で繰り広げられている議論の大枠が掴める。どうせ疑うなら根本から疑ってみたい自分としては、反実在論や社会構成主義等の、普通の科学者の逆鱗に触れそうな話題も興味深く読めた。
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僕は懐疑主義なのだけれど、それは想像力を失いたくないから。
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おもしろいく読めますし,哲学の本の中ではかなり実用的な本だと思います.
ロジカルシンキング本を読むと,演繹について書かれたものは多いですが,帰納について書かれてるものはあまりないですよね.論理を学ぶなら帰納と演繹両方学ばなきゃ意味がないように思いますが,帰納法についてちゃんと扱ってるものって少ないですしね.
あ,内容もいま読むのにはいいんじゃないですかね. -
近代科学に至るまでの科学知識の創造と検証にはヒューマンストーリーが汲み取れる。小生の思考は、本を読みつつ、アナロジーで他のことを考えてしまうことがあったが、実りの多い書籍であった。
ビジネス(経営学)での知識創造と検証はいかにして行うことができるのかが気になる。
科学は新しさと正しさによって評価されるが、ビジネスはどのように評価されるのだろうか。