社会学入門 〈多元化する時代〉をどう捉えるか (NHKブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140911365

作品紹介・あらすじ

格差や家族問題から国際紛争まで何でも扱う社会学。では、その根本に流れる問題意識とはどのようなものか?「無意識」の発見に象徴される、近代の理性的人間観の崩壊を踏まえ、人々が無自覚にもつ価値観と、社会形成とを関連づけて捉える視点だ。以上の見立ての下、デュルケムやウェーバーらを考察するとともに、他の諸学問との比較を通して、社会学の輪郭を描き出す。パーソンズ以降、社会学の中心理論の不在が続く現状を捉え直し、ダイナミックに変容する現代社会を分析する上での、社会学の新たな可能性をも探る。

感想・レビュー・書評

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  • 社会学の初歩についてではなく、社会学の性質について書いてあります。知識のない方が社会学がどんな学問か知りたいと思って読むとえらいめにあいます。『入門』とありますが、ある程度勉強したひとが読む本だと私的には思いました。
    名著です。

  • 社会学とはどのような学問なのかということを、わかりやすい文章で解説している本です。

    著者は、社会学においては研究者たちの共通の枠組みとなるような理論が存在していないことを指摘し、そのあつかっているテーマのとりとめのなさの歴史的な由来や、そのことが社会学という学問の現代的意義にどのように関係しているのかということが論じられています。

    本書では、社会契約論において「方法論的個人主義」の発想にもとづく社会の説明が成立し、その後社会学の前史において文化的な意味や知識、情報などが人間の行動を規定しているという全体論的な発想が生まれてきた経緯を説明しています。そのうえで、こうした新しい人間の理解のしかたが「形式」の重視という意味をもっていることを明らかにし、さらに形式そのものについての自覚的な研究をおこなう再帰性が、現代の社会学において重要なテーマとして浮かびあがってきたことが解説されています。

    社会学のテーマのとりとめのなさに戸惑う読者はすくなくないと思いますが、そのことが現代社会とそれを対象とする現代の社会学にまつわる状況にどのようにかかわっているのかということがわかりやすく説明されていて、おもしろく読むことができました。

  • 社会学とは何か気になったら最初にとるべき一冊。
    ややまわりくどい部分もあるが、初学者にとって非常にわかりやすく丁寧に書かれている。

  • 2009年の著作。
    社会学の学部生だった2010年には書架に納めていた本を今さら読んだのですが、なぜ学部生のうちに読んでおかなかったのかという思いと、社会学からいったん離れた後の今だから素直に吸収できたという思いが、相見えている。
    一昨年あたりから、主としてフェミニズム分野を対象としてSNSで定期的に起こる「社会学の科学としての存在意義」に関する侃々諤々について、そもそも専門人がどのように整理しているかを理解するには持って来いの一冊。

    というか、2009年にはこうして学部生向けの教科書として学術史の観点から交通整理されている議論を、SNSでは特定の対象をめぐって経験的にあーでもないこーでもないとやっていること、それから、自分自身もこういった知見を参照することなく「あーでも、こーでも」の段階で堂々巡りしていたことを、だいぶ内省することになりました。
    ある研究言説をもって「社会学は個人的な経験に依りすぎている」という批判のやり方(と、それに対する応酬)そのものが、普遍性を欠いて経験に頼った議論なのかなー、って。

  • 中級編を先に読んだのちに本書をとった。大澤の社会学史と並行して読んでいるが、研究者によって社会学の大家の捉え方が異なっているのが面白い。社会学にとって一般理論を作るのは不可能であるといわれているから、社会学をもとにする教育社会学も同様なのか、さらには教育社会学から派生した高等教育学も同様なのか気になる。

  • 社会

  • ブックレビュー書いたので、掲載。http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100622/215088/""

  • 高校までにはない科目の一つが社会学です。大学で学びを広げ、深めるために、知らなかった学問をのぞいてみてはいかがでしょうか。人々が無自覚にもつ価値観や選択する行動にどのような意味があるのか、それを考えるのが社会学です。
    (定松 教員)

  • デュルケムやウェーバーらを考察するとともに、他の諸学問との比較を通して、社会学の輪郭を描き出す。パーソンズ以降、社会学の中心理論の不在が続く現状を捉え直し、ダイナミックに変容する現代社会を分析する上での、社会学の新たな可能性をも探る。 以下に詳しい感想が有ります。http://takeshi3017.chu.jp/file6/naiyou22501.html

  • 社会学のイメージがなんとなくわかりました。

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著者プロフィール

1963年、東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業。東京大学大学院経済研究科博士課程単位取得退学。岡山大学経済学部助教授を経て、現在、明治学院大学社会学部教授。 専門は、社会哲学。 著書に、『経済学という教養』(東洋経済新報社、増補版/ちくま文庫)、『「資本」論』(ちくま新書)、『「公共性」論』(NTT出版)、『社会学入門』(NHKブックス)『不平等との闘い』(文春新書)、『宇宙倫理学入門』(ナカニシヤ出版)、『政治の理論』(中公叢書)など多数。

「2018年 『「新自由主義」の妖怪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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