パスカル『パンセ』 2012年6月 (100分 de 名著)

制作 : 鹿島 茂 
  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142230150

感想・レビュー・書評

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  • 分かりやすかった。
    人生とは「死」を忘れるための気晴らしである。

  • パスカルの著書のパンセの解説を読んだ。 人間という本題の中に様々なことが語られている。 人間の生きる意味、人間は考える葦でる。 葦は宇宙の中でも非常に弱い存在であるが、考えることにより、宇宙よりも尊厳を高めている。 しかし、一方ではこの考えることが原罪であると説いている。 この差の中で人間は苦悩しながら生きている。

  • (2012.06.24読了)(2012.05.26購入)
    パスカルの『パンセ』は、大学生のころ読み始め、社会人になってから読み終わりました。読み切るのが大変でした。パスカルが、神の存在を証明するために準備していた本の遺稿集ということで、科学者として名を遺した人物が、神の存在を証明しようとしていたことに驚いた記憶があります。
    最近読んだ『ふしぎなキリスト教』によると、神の存在を証明することは、パスカルに限らず、多くの人たちが取り組んだテーマだったということが書いてあったので、さらに驚くとともに、パスカルも時代の子だったことが分かり、納得するところもありました。
    科学者と宗教は、対立するものという考え方もありますが、西欧の科学者にとっては、キリスト教が研究の推進力になっている面があるようです。
    科学の法則は、神の作った世界の秘密を明かすもので、その形はきれいですっきりしたものでなければならない、という面があるようです。下記のような本も出ていますので、興味ある方は手に取ってみてください。
    「科学者とキリスト教」渡辺正雄著、ブルー・バックス、1987.04.20

    この本によると、パスカルが神の存在を証明するための本を準備する中で、あれこれ考察した断片が、そのまま残されたためにいろんな読み方ができる、と言っています。
    ちゃんとした本にまとまっていたら、本筋に関係ないところは、本には入らなかったので、人生の悩みに答えてくれるような部分はなくなっていただろうということです。
    ということで、この本は、人生の悩みに答えてくれるようなところを取り上げて、『パンセ』の読み方を紹介しています。
    どうせだったら、鹿島さんが『パンセ』の中から人生の悩みにこたえてくれそうなところだけを抜粋した本を編纂したらどうでしょうか。
    ここまで書いたところで、念のためにアマゾンで検索してみたら、ちょうど出版されたところのようです。
    「パスカル パンセ抄」飛鳥新社 (2012/6/23)

    【目次】
    【はじめに】誰が読んでも答えが見つかる万能書
    第1回 人生は選択の連続だ!
    第2回 もっと誰かにほめられたい!
    第3回 生きるのがつらいのはなぜか?
    第4回 人間は考える葦である

    ●職業(11頁)
    人間は、屋根葺き職人だろうとなんだろうと、生まれつき、あらゆる職業に向いている。向いていないのは部屋の中にじっとしていることだけだ。
    ●不幸(34頁)
    わたしは、人間のあらゆる不幸はたった一つのことからきているという事実を発見してしまった。人は部屋の中にじっとしたままではいられないということだ。
    ●自我(45頁)
    自我は憎むべきものである。ひとことで言えば、自我は二つの性質を持っている。自我は自分をすべての中心におこうとする点において、それ自体で不公平である。また、自我は他人を従わせようとする点において、他人にとって不愉快な存在となるほかない。
    ●名声(53頁)
    人間の最大の卑しさは、名声の追求にある。しかし、まさにそれこそが、人間の卓越さの最も大きなしるしなのだ。

    ☆鹿島茂の本(既読)
    「「レ・ミゼラブル」百六景」鹿島茂著、文春文庫、1994.07.10
    ☆パスカルの本(既読)
    「愛の情念に関する説」パスカル著・津田穣訳、角川文庫、1950.09.30
    「パンセ 上」パスカル著・津田穣訳、新潮文庫、1952.01.25
    「パンセ 下」パスカル著・津田穣訳、新潮文庫、1952.02.20
    「三木清全集 第一巻」三木清著、岩波書店、1966.10.17
    (「パスカルに於ける人間の研究」収録)
    (2012年6月26日・記)

  • '人間は考える葦である'や'もしクレオパトラの鼻が低かったら'など有名な言を残しているパスカル。その思索の草稿をもとに編纂された'パンセ'の断章を通して、パスカルの思考の狙いが紐解かれている。様々な局面で、ぶち当たった悩みを抱える人物群、それぞれの事例に対して、パンセの断章を照らし合わせることで、考えるという本質へのヒントが提示される。自明と感じるか、感性には個人差があるので、評価は分かれるだろう。

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  • パスカルさんになぜ惹かれたのか。

    それをも偶然に左右された結果で

    この本を読む前の私ではなくなっている。

    考える、ことがすべて。

    ともすれば

    考える中身の問題なのだ。

    完成系を目指すのではなく

    未完成であり続ける。

    変化し続けるこの世界に

    生きる1人として。

    悲惨を知る偉大な考える葦として。

  • NHKの番組からの本らしいのですが、元の番組は全く知りません。

    「鹿島茂さんがパスカルのパンセの話を柔らかく書いているんだな」

    というだけの興味で、衝動買い。電子書籍。

    電子書籍の長所もいっぱいありますが、短所はまずは、パラパラめくって内容を読めないこと。
    だから、実は「どのくらい分厚い本か」というのがよく分からないんですね。
    だから理想は、書店店頭で手にとったことのある本を電子書籍で買うのがいちばん良いんですが。

    で、この本は、薄かったんですね。

    あれれ?って読み終わっちゃいました。

    鹿島茂さんは、かなり以前、多分20年前くらいから知っていて、割と好きなんです。
    哲学的なコトでも歴史学的なコトでも、「なんだか良く分からないけどムツカシイ言葉でケムにまく」ということの無い人だと思っています。

    パスカルさん、パンセについては全く不勉強だったので、鹿島さんが語るなら聴いてみようかな、ということですね。

    内容ですが、手を変え品を変えて、分かりやすくパンセを解説してくれます。

    2012年の本なので、ほぼ現在ですね。

    「就職や仕事に悩む若い男女のケース」

    とか

    「定年退職後、今ひとつ楽しくない日々を過ごす元会社
    員さん」

    とか、というケースを作って、そのある種の劇中の人物がパンセの一文に惹かれていく。

    そういう設定の語り口で、身近に引き寄せて解説してくれます。
    かなり親切、コレデモカという感じです(笑)。

    パスカルさんがパンセで何を言っているか。
    というか、この本で鹿島さんが何を見せてくれているのか。

    「人は幸福を必ず、ココじゃないどこか、に設定するので、常に不幸せであるという不満に囚われる」

    「暇になるとイイ事は何もない。暇になると人生を考え、それを考えても不幸感に囚われるだけだ」

    「だから人は賭博でも娯楽でも仕事でも何かの興奮は未知性を求める」

    「大事なことは何の仕事をしているか、ということなんだけど、ソレはほとんどが偶然に作用されて決まる。偶然に決められちゃった仕事を習慣で続けることで、職業人になる」

    「人は自己愛が強い。どうしようもなく強い。だから他人の意見より自分の意見や発見を重視したい。理由は後からついてくる」

    「この自己愛は、基本は、ダメなもの、ぬぐい去るべきものである。難しいんだけどね」

    (⇒17世紀のフランスに生きたパスカルさんは、最終的にそこから「やっぱキリスト教っすよ」という信念。)

    「貧しく食べれなければ、そこから脱するために簡単に生きていく。そこを抜けると、幸せにならねばならぬ。それは難しい」

    「自己愛に支配される人は、周りの人、それが少数であっても、周りから認められて、感心され尊敬されるために色んなコトをする」

    「だから周りに自慢する。自己を語る。それを批判する人は批判することによって同じく、尊敬を得ようとする。その連鎖は止まらない」

    (この流れから鹿島さんの「ドーダ理論」に繋がるんですね。「ドーダ理論」そのものは、なるほどなあ、と僕は思います。)

    (また、この流れが最近たまに耳にする「SNSの若い人たちの認知願望」みたいなことにも繋がるんですね。まあ、そこに病理があるとすれば若者は批判しやすい氷山の一角に過ぎないワケですが)

    「と、いうような終わりと結論の無い連鎖を考えて考えて、完全は無理でも考えることで、ソレではイカンのだ、と思うことしかないのではないか」

    「人間は考える葦である、というのは、葦というのは、か弱い生きものなんだよね、というところから始まる。弱いけど、考える。考えることで、動物的な行動を忌み、ヒトらしくあろうとする。それが道徳で、ソレが偉大なのではないか」

    「デカルトさんと違ってパスカルさんは、割と割り切らないというか。理性と合理主義で全ては測れない、という主張をしています。そのファジーな感じの方が、現在振り返ると正しい知性なんじゃないか」



    みたいなこと。だと思います。言葉は僕が雑にまとめてます。

    根っこのところはまあ、そりゃそうだよなあ、ということを確信もって分かりやすく主張してくれています。
    そんなパスカル流で言うと、

    「子供に中学受験をさせようとしているけど、塾通い、勉強漬けにするのは正しいんでしょうか」

    という現代の母親さんの悩みに対して、

    「それをしなかったら、その代わり暇ができて、ゲームしたり良くないことをしたりする時間がいっぱいできることになるから、させても良いんじゃないですか」

    というような返答になったりします。

    そういう応用的各論になると、「程度問題」というコレマタ偉大な真理もありますから、ド正直間に受けるこたぁ、無いと思いますけど。

    だからなんていうか、特段な結論は無いんです。当たり前ですが。

    そこが妖しき宗教や、一束いくらの叩き売りの自己啓発本とか、有名人さんの雑な人生論とは違いますね(笑)。

    だって、「考えよう!」っていうことですからね。

     ただ、就職や転職といった現実的な悩みとか、日々人生の無為索漠的な良くある思いに対して、ある種人体解剖するように「だってコウだからさ」とズバっとコトバにしてくれる。
     それは、分析とか解剖とか図解とか俯瞰図とか、あるいは地図みたいなモノですね。どう進むのか、ドウするのかは、その人なりで。
     多分、パスカルさんの思いとしては、「・・・だからほら、やっぱりキリスト教は無敵っすよ。みんなカモン!」ということだったようですね。
     でも鹿島さんはその結論を押し付けたりは当然しませんし、そもそもその結論のお陰で「パンセ」が名著である訳ではないんですね。

     しかし、17世紀でよくもまあこれだけの、中世という生活習慣?を脱した思考ができたものだなぁ、と思うとスゴイんですけど。
    それはやっぱりモトモトが科学者・数学者だったからなんだろうなあ、と。デカルトさんも異見が多かったとは言えやっぱり科学者・数学者だったそうですし。
     世間の都合がどうでも、権力者が何を言おうと、1+1=2。三角系の内角角度の合計は180ですものね。

     ココからパスカルを更に読んでいくのかと言われると、僕はソウでもないです。
     でも、「ああ、なるほど。そういうことでパンセは有名で価値があるんだ。歴史的な価値を超えて今でも」という落ち方は納得。
     それに、寂しくても虚しくても悲しくても不安でも、流されずに「なんで?」「どうして?」と考え抜くコトの偉大さは、今でも同じですねえ。

     ヒトの業、ヒトのココロの弱さみたいな事の分析は見事です。
     それに鹿島さんがそれをお腹いっぱいなくらい柔らかく食べさせてくれます。アッっと言う間に読み終えちゃうし。
     もうチョット噛み応えが欲しいくらいですけど(笑)。

     パンセって、短いエッセイみたいな文章の寄せ集めだったんですね。アフォリズムとまで言いませんが。長めの論考的な「侏儒の言葉」(芥川さん)というか。
     でもって、未完成の草稿を寄せ集めた本だったそうです。その「隙間感」みたいな融通性が、時代を超えたんでしょうね。

     まあ、鹿島さんであることの期待は裏切られませんでした。
     また、ふっとしたときに鹿島さんの文章、モチョット噛み答えのある文章・・・を、愉しみたいなぁ、と思いました。

  • 難しい内容を紹介や説明する時にどのような方法があるのか。
    この本のように物語で語る方法があるということが、まず大変興味深かった。
    そのおかげで、パンセの「パ」の字も知らなかった自分でもすらすら読むことが出来、内容も大変理解しやすかった。

    内容では、自身の「生」について「悩む」ことを「原罪」としながらも、その行為こそが「人間」たる「証」であると、肯定的かつ希望を含ませて内容解説を終わらせている点に、大変救われる心地がした。

    「悩む」ことは辛いし否定的に捉えられがちだ。
    しかし、それでもうじうじ悩んでしまう自分がいることも確かで。
    「悩む」自分を否定して苦しんでいる時に、ふと思い出したい一冊である。

  • 私の読解力では一読で理解するのは難しいんですが、難解であるだろうパンセを分かりやすくまとめているんだろうなと言うことは理解できたので再読してみようと思います。

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