坂口安吾『堕落論』 2016年7月 (100分 de 名著)

制作 : 大久保 喬樹 
  • NHK出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142230648

感想・レビュー・書評

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  • 思ってた坂口安吾のイメージと良い意味で異なり、自分と思想が似ていることに気づいた。
    「堕落論」ってそのタイトルから勝手に「怠惰最高ー!」みたいなイメージ持ってたけど、ある意味正しいんだけど、もっと生に対して貪欲な意味での「堕落」だった。
    敗戦を迎え、美も道徳も消え、闇屋でも何でもして生きなければならない。
    それは一般的に堕落と呼ばれるが、それこそが人間のあるべき姿だと安吾は説く。
    「生きよ堕ちよ」。実存より生存。美も道徳もなく、ただ愚かで醜く、でも純粋な生への欲望。

    安吾もそうだけど、やっぱり戦争体験してる人は言葉の深みと重みが違う。
    もちろん戦争のない平和な世の中は幸せだし、戦争のない世界であって欲しいけれど、誤解を恐れずに言えば、戦争経験は少しだけ羨ましい。
    多分、私が何十年生きてても得られないような、人間や人生に対する深い思慮を持っているだろうから。

    でも私達には、先人が残してくれた文献や書籍がある。
    そういった物に多く触れ、追体験を通して思考を深めることで、少しは理解できるのではないかと思う。

  • 名前だけ聞いたことがあった作品。さすがにだらしのない人生を過ごしなさいということではないだろうと思ったけど,そういうことではなく,「外から与えられた幻影を鵜呑みにして受け入れるのではなく,自分自身が生み出した幻影を自覚し,それと闘うべき」など無頼派の人生のススメ,といったところだろうか。なるほど。

  • 堕落論を読み自分なりの解釈をしてみたものの、自分の読解力に不安があり解説書なるものを探し出会った本。
    熱く、激しく生きよ!
    そんな励ましを頂いた坂口安吾さん堕落論を、分かりやすく解説された内容でした。

  • 戦後、旧来の価値観が崩れていく中で「外から押し付けられた価値観に自分をあてがうな」「自分で自分を救え」と、坂口安吾は「堕落論」を書したという。コロナで今までの価値観が崩れている現代に鋭く刺さる文章ではないかと感じる。
    最近エネルギーのない病み方をしていたけど、堕落論の解説を読んで体の内側から少しずつエネルギーが湧いてくるような感じがした。本編を読んでみようと思う。

  • 【1回目】「堕落論」だけではなく、「続堕落論」「日本文化私観」と、安吾の後継者的存在としての岡本太郎について言及している。制度と、制度と化した静的な日本文化とを徹底的に批判し、人間が本来的に有している荒々しい生命力の奔流に身を任せよと説くという。ある意味、元気が出る内容だった。

  • 戦後直後に出された本

    貞節、武士道、天皇制
    美、運命、死
    自分を思考停止させていた幻影



    そこから目覚め、自分自身の考えで生きていくことを堕落と定義し、生きていくという事を書いている

  • 坂口安吾、大好きです。
    堕ちきることのできない、どうも太宰的になりやすい自分に嫌気がさしているのです。

    安吾の著作(特に、今回取り上げられている「堕落論」と「続堕落論」「日本文化私観」)を何度も読んで、自分でもわかっているつもりの安吾の主張と、それに強く憧れる自分を、改めて意識することができました。
    そしてちょうど今、これまで仕事に抱いていた思いが崩れて迷っている私に、「自分もゼロベースになって、自分で考えてみろ!」と励まされました。
    読んでよかった。

  • (2016.08.04読了)(2016.06.27購入)
    坂口安吾は、1991年にかみさんの本棚にあった『堕落論』を読んだだけで他の作品は読んだことがありません。『堕落論』も特に印象に残っていることはありません。
    たぶん、角川の夏の文庫フェアで取り上げられていたので、読んでみようと思ったのでしょう。
    この本では、「堕落論」「続堕落論」「日本文化私観」と岡本太郎の「縄文文化論」を紹介しています。

    【目次】
    【はじめに】混迷する社会に立ち向かうために
    第1回 生きよ堕ちよ
    第2回 一人曠野を行け
    第3回 法隆寺よりは停車場を
    第4回 真実の人間へ

    ●社会システム(17頁)
    武士道にせよ、貞節にせよ、日本人をこれまで縛ってきた社会システムは、いずれも、為政者が人民を統制するために都合よく編み出した虚構にすぎない。
    ●生活者(53頁)
    安吾は、タウトなり、コクトーなり、外国人の伝統的な日本文化賛美が、所詮はそこに暮らすものの日々の生活から遊離した、異国趣味的な偏見にすぎないと断じます。異国趣味的な日本というものは、自分たちがいま生きている現実からは乖離している。生活者にとっては、いま現在生きていくために欠かせない実用的なものこそが第一であって美醜ではない。

    ☆関連図書(既読)
    「堕落論」坂口安吾著、角川文庫、1957.05.30
    (2016年8月5日・記)
    内容紹介(amazon)
    「人間は生き、人間は堕ちる」──道徳意識の革命的転換を説いて戦後日本社会に大きなインパクトを与え、作家・坂口安吾を時代の寵児とした『堕落論』の真意を読み解く。

  • さまざまな思想や文化、価値観などの「健全な道義」でできた固定観念を、己の血肉をはがすように脱ぎ去って、自由という孤独な荒野を行くのが真実の生き方だ。と主張した坂口安吾の紹介本です。
    なんて厳しい世界でしょう。
    ともあれ、とても読みやすいテキストでした。
    主張が一貫してわかりやすいからでしょうか。
    相変わらず番組と違う流れなので、番組を見るときは、番組に集中した方がよいと思います。資料集的な位置づけ??

  • 16/06/30。

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