ジェイン・オースティン『高慢と偏見』 2017年7月 (100分 de 名著)
- NHK出版 (2017年6月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
- / ISBN・EAN: 9784142230761
感想・レビュー・書評
-
オースティンの小説世界の魅力を伝えるのにまたとない手引き書である。
〈認知のゆがみ〉を分析道具として持ち出したのは、『高慢と偏見』というタイトルに基づいたもので、妥当であり、導き出された論も興味深い。
エリザベスの発言の痛快さだけに読後は目が行きがちであったが、本論で視野が開けた。俗物性も魅力だったのだな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
時代背景を考えると当時としては、とても狭い俗な世界で人間模様を捉えた作品。
イギリスらしく、階級や皮肉が効いてして、あまり好きになれない。 -
解説の廣野由美子先生がとてもいい。
心理学、演出の仕方など視点が加わり、ぐっと深く読める -
タイトルの通り、本当にすぐ読めて要点が掴めた。
高慢と偏見は、なんだかとっつきにくい感じがして
読もうとは思ってなかったけど、こうしてさらっと
ストーリーを理解した後だととても読みやすそう。
今度は原著を読んでみたいな。 -
高慢と偏見を読むときに参考に併読。視点、読み方としては面白かったのですが、読み方が独特で、ちょっとそれは勝手に読み取りすぎではないか、本文中にそれは描かれているか?と感じる部分もありました。
-
恋愛小説はどちらかと言えば苦手。登場人物に強い共感を覚えるわけでもない。だけど,ここで描かれている姿を見ると,面白く思えてくる。この小説が恋愛のための恋愛ではないからなのかもしれない。
-
「ジェイン・オースティン『高慢と偏見』」廣野由美子著、NHK出版、2017.07.01
109p ¥566 C9497 (2017.09.30読了)(2017.06.28購入)
Eテレのテキストです。
海外小説の古典的名作が時々取り上げられます。まだ読んでいないものがあれば読んでおきたいと思い、『戦争と平和』『モンテ・クリスト伯』『かもめ』『フランケンシュタイン』などを読みました。『エミール』はまだ読んでいません。
『高慢と偏見』は、読みたいと思っていたので、購入してあります。この機会に読んでみようと思います。
どういう内容の本なのかは、このテキストでよくわかります。恋愛小説のようですが、出会いからひかれあって、色んな障害を克服して結ばれた、というよくあるタイプの小説ではなさそうです。
登場人物の相関図が物語の進行に従って、四つも掲載されているので、『高慢と偏見』を読む際に参照したいと思います。
ジェイン・オースティンは、1775年12月16日に生まれ、1817年7月18日に41歳で亡くなっています。2017年は没後200年ということです。
【目次】
【はじめに】十九世紀イギリス小説の礎
第1回 偏見はこうして生まれた
第2回 認識をゆがめるもの
第3回 恋愛のメカニズム
第4回 「虚栄心」と「誇り」のはざまで
●結婚(22頁)
19世紀の一般的な女性にとって、社会的地位と経済力を確保するには、通常、結婚という選択肢しかありませんでした。中産階級以上の女性にとって、淑女としての品位をどうにか保てる職といえば、世紀末になって教職や公務員、看護職などの地位が上がるまでは、文筆業か女家庭教師くらいでした。
●人間と人間(56頁)
この小説は、「〝王子様〟が、控えめな有徳の美女を迎えにくる」というパターンではなく、「人間と人間の対決」としての恋愛を描いています。対等な人間同士が、正面から衝突し、それを経て互いに成長し、人間として認め合うという話です。
☆関連図書(既読)
「メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』」廣野由美子著、NHK出版、2015.02.01
(2017年10月3日・記)
内容紹介(amazon)
虚栄心は乗り越えられるか
極めて狭い世界を通して普遍的な真理を表現する「純粋な小説」の最高峰、『高慢と偏見』。作中人物の情動を丹念にたどり、オースティンが物語に忍ばせたアイロニーを読み解く。 -
ジェイン・オースティンが生きた時代を知りたい方にオススメです。小説でも分からなかった複雑な階級社会、地理関係などが明確になり、もう一度本を読みたくなりました。もちろん、コリン・ファースのドラマなど映像化作品を観た人にもぴったり!理解が深まります。心理学の観点から、登場人物の相関関係や性格などの分析も興味深かったです。
-
初読
オースティンの「高慢と偏見」の解説。
読んだ時のジワジワッと感じることを明確に言葉にする気持ちよさと
ずっと感じている「高慢と偏見」という単語への変わらぬ馴染めなさと。
Prideとprejudice、と英語による理解じゃないと
本当の所はしっくりこないんだろうな。
解説を読めば、なるほど、エリザベスとダーシーの「高慢」と「偏見」なのね
とも思うのだけど。
私自身の言語の皮膚感覚としてしっくりこない。
という事なのだろうけど。
精神分析学的な「認知の歪み」「スキーマ」という単語も
分かりやすいけど、しっくりこない。
しっくりこないが、分かりやすいw
この辺のふんわりしているが確かに香る、という部分も
オースティンの魅力なんだろうなぁ。
エリザベスとコリンズの関係において「知的レベルの高い成上りが何より嫌うのは知的レベルの低い成上がり」というズバリには笑い、
エリザベスの中にもミスベネットやリディアがいるというアイロニーに唸るのでした。
そして解説の通り人間とは、というアイロニーに溢れていても
暗くメソメソした悲観主義でもない、湿度の低さがやはり高慢と偏見の魅力なのだなぁ、と改めて。