別冊100分de名著 「平和」について考えよう (教養・文化シリーズ)

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  • NHK出版 (2016年4月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784144072208

別冊100分de名著 「平和」について考えよう (教養・文化シリーズ)の感想・レビュー・書評

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  • フロイト『人はなぜ戦争をするのか』、ブローデル『地中海』、井原西鶴『日本永代蔵』、ヴォルテール『寛容論』。心理学、経済学、江戸文学、哲学と、それぞれ切り口は違えど、平和の維持と創造のヒントを名著から見出せる。

  • (2016.05.31読了)(2016.04.26購入)
    2016年1月に、Eテレで「100分de平和論」という番組が放映されました。前半は、他の番組を見ていたので見ることができませんでしたが、後半の50分は見ることができました。高橋さんの紹介したヴォルテールの『寛容論』は、印象に残りました。
    いつか本として出版されるのだろうかと思いつつフロイトの本は、図書館にあったので借りて読みました。
    4月末に、「100分de名著」の5月放映テキストを購入しに本屋に行ったところ、この本も並んでいたので買ってきました。
    この本を読む前に、井原西鶴の『日本永代蔵』も図書館から借りてきて読みました。
    どの本も、こういう形ででも紹介されないと、なかなか手の出ない本です。
    ブローデルの『地中海』は、面白そうだけど、図書館にはないし、分厚いのが5冊ということなので、敷居が高そうです。
    『寛容論』も図書館にはないのですが、文庫本で出ているので、『地中海』よりは、とっつきやすそうです。
    現在では、国と国の戦争はほとんどなくて、内戦や民族紛争、宗派対立、過激派組織によるテロなどが多いのですが、平和への道筋は、なかなか見えません。
    紹介されている4冊の本を参考にして、平和への道が探れるといいのですが。

    【目次】
    はじめに―今こそ、「名著」を通して、平和を考えよう!
    第1章 フロイト『人はなぜ戦争をするのか』 斎藤環
    第2章 ブローデル『地中海』 水野和夫
    第3章 井原西鶴『日本永代蔵』 田中優子
    第4章 ヴォルテール『寛容論』 高橋源一郎

    ●エロスとタナトス(12頁)
    フロイトは、人間には「生の欲動」(エロス)と「死の欲動」(タナトス)という二つの欲動が備わっていると考えました。「欲動」とは、心ではなく身体に根ざしたある種のエネルギーのベクトルのことを指します。「生の欲動」は、「生を統一し、保存しようとする欲動」のこと。一方、「死の欲動」は、「破壊し、殺害しようとする欲動」を指します。
    ●欲求と欲望(23頁)
    欲求と欲望の違いは、欲求は基本的に満足できるものである一方、欲望に満足はありえないということ。なぜなら、欲望は〝横滑り〟するからです。目的を達成したと思ったらすぐその隣のものが欲しくなる。
    ●文化と文明(40頁)
    文明は科学技術的なもので、文化はどちらかというと人文的な知識全般を指すものと言ってよいでしょう。
    ●『地中海』(49頁)
    歴史書だから、過去の出来事が記されているのだろうと思いきや、それは全体のほんの一部だけで、政治、経済はもとより、人々の生活、さらには地形、気候まで、十六世紀という時代に限らず、地中海のありとあらゆることが詳細に記されていたのです。
    ●歴史学の任務(51頁)
    歴史学の任務のひとつとは現在のさまざまな不安な問題に答えを出すこと
    ●『地中海』の構成(53頁)
    第一部は「環境の役割」、第二部は「集団の運命と全体の動き」、第三部は「出来事、政治、人間」と題され、歴史を見る視野が、長期→中期→短期へと、次第に絞られていく構成になっています。
    第一部「環境の役割」では、地中海における地形、気候など、何百年も大きく変わることのないと思われる普遍的な事柄が、まるで地理の教科書のように詳しく述べられ、歴史との関連の重要性について指摘されます。
    第二部「集団の運命と全体の動き」では、経済、国家、社会、文明という、地形や気候に比べれば変わりやすいとはいえ、比較的ゆっくりと変化していく、「緩慢なリズムを持つ歴史」について述べられています。
    第三部は、従来の概念の歴史学と重なるもので、1550年から1598年のフェリペ二世の死までに起きた出来事が述べられています。
    ●資本主義(67頁)
    資本主義の理念は、「より速く、より遠く、より合理的に」を目指します。どこまでも市場を拡大し、効率を求めて、利益優先で突き進む―それは、「長い十六世紀」でも「長い二十一世紀」でも、変わらない現象なのです。
    ●『日本永代蔵』(84頁)
    『日本永代蔵』の登場人物の多くは商人です。すべてが大店の商家ではありません。問屋もいれば、棒手振り(店を持たない商人)も、両替商や札差などの金融業者もいます。そんな商人たちが、どんな工夫を凝らして、先祖代々伝わる店を大きくしていくのか、無一文の身の上から蔵を立てるまでに成功するのか、あるいはせっかくの財産を失ってしまうような落とし穴はどこにあるのか、などが書かれています。
    ●始末(98頁)
    「始末」という言葉は、『日本永代蔵』のあらゆるところで語られます。始末は江戸時代の商人倫理の根幹ですが、倹約とは同じものではありません。始末とは物事の始めと終わりをきちんとして循環が滞らないようにすることであり、ただけちけちするすることではないのです。
    ●キリスト教(147頁)
    キリスト教の「不寛容」は、キリスト教そのものに内在しているのではなく、実は、キリスト教徒たち、あるいはその指導者たちが、キリスト教の根本精神から遠ざかったのだ

    ☆関連図書(既読)
    「ヒトはなぜ戦争をするのか?」アインシュタイン・フロイト著・浅見昇吾訳、花風社、2000.12.31
    「都市ヴェネツィア」F.ブローデル著・岩崎力訳、岩波書店、1990.03.09
    「日本永代蔵 現代語訳西鶴全集(九)」井原西鶴著・暉峻康隆訳、小学館、1977.01.31
    「社会的ひきこもり」斎藤環著、PHP新書、1998.12.04
    「若者の心のSOS」斎藤環著、NHK人間講座、2003.08.01
    「太宰治『斜陽』」高橋源一郎著、NHK出版、2015.09.01
    (2016年6月6日・記)
    (amazonより)
    私たちに何ができるのか?
    2016年1月2日にEテレで放送された特番「100分de平和論」のムック化。フロイト『人はなぜ戦争をするのか』、ブローデル『地中海』、井原西鶴『日本永代蔵』、ヴォルテール『寛容論』という4冊の名著を読み解きながら、平和のために「いま私たちができること」を考える。
    「平和のためにできることは、“対話(ダイアローグ)"である」──斎藤環
    「平和のためにできることは、よりゆっくり、より近く、より寛容に」──水野和夫
    「平和のためにできることは、信頼を作り出し、それを持続すること」──田中優子
    「平和のためにできることは、Pray, and think」──高橋源一郎

  •  心理学者はフロイトの「対話」、経済学者はブローデルという人の「寛容」を.歴史学者は西鶴の「信頼ー循環型社会」.むすびは哲学者が、「Pray,and think=祈ろう、そして考えつづけよう」と、深化させる.

     本書は番組で放送されるか、さだかではない.しかし、「別冊」というからには、放送はないがテキストは出版、そういうことか.
     担当プロデューサーの関心が注目される.「平和の祭典」というオリンピックイヤーにむけて企画していたら、昨11月13日に「パリ同時多発テロ」が発生した、と.
     「平和について名著から学んでみるのはどうだろう」.その問いは、時代に<後押し>されたかの、感.

     広く読まれて、<混迷のトキに、合意形成が拡充してほしい>.期待感を抱かせる.

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