- Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150016678
感想・レビュー・書評
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複雑すぎて、後半過ぎるまでなかなか流れに乗れなかった。
単なる犯罪ミステリーではなく、20世紀初めにさかのぼって 曽祖父の死の真相を探って行く筆者の野心的意図が息をのむ。
ダルジール警視シリーズを読むのは初めて。
日本の警察モノがますます読めなくなる。何という奥の深さ。
ドラマシリーズでTVでの放映が有ったとか・・しかし、絶対2時間枠ではこの幾層にも重なった叙述は語れっこないと思う。
並行して探索して行った製薬会社事件とエンディングに近づいて行くなかでリンクして行く過程が論理的。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
3回目か4回目。BBCのTVシリーズを見て再読したくなった。10年ぶりぐらいだったのでいろいろ忘れていたが、TVの改変はひどすぎる! 重層的なこの物語の一番重要な、パスコーの(2人の)曽祖父の死が全く違うものにされていた。TVのじゃ特殊なマッド・サイエンティストに出会ってしまった不運になってしまう。原作の普遍的なテーマをこんなにしてしまうなんて。TVシリーズも好きだったのに…。もちろん原作は複雑なので、どおりを2時間ドラマでそのままやるのは無理だろうけど。
原作は、Dalziel&Pascoeシリーズの中でも傑作の1つだろう。後期の複雑重層化の画期になった作品かも。 -
曽祖父の人生を追うパスコーと、製薬会社の事件を追うダルジール。別々の動きが繋がってゆく。
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祖母の死をきっかけに一家のルーツと向き合うことになったパスコー警部。曽祖父について次第に明らかになっていく事実は、現代の事件と奇妙に符合していく。
第一次大戦の泥沼と現代の泥沼の交錯。重層的で非常に読み応えがあり、それでいて「意外な犯人、予想外の真相」というミステリの基本線も外さない。一級品揃いの本シリーズのなかでもトップクラスの傑作だ。
ところでこのシリーズの基軸をなすのは、ダルジール、パスコー、ウィールドのチームワークおよび職分を超えた友情である。上司と部下の友情が成り立つのは、ひとつには敬語が存在しないからではないだろうか、とときどき思う。あまり関係ないかなあ。