紅楼の悪夢 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  • 早川書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150017521

作品紹介・あらすじ

酒場、賭場、娼館が集まり、この世の極楽ともいえる一大歓楽地・楽園島。出張旅行の帰途、腹心の部下マーロンと共に宿を求めてこの地を訪れたディー判事。繁盛を極める楽園島で何とか確保した宿は、かつて自殺が相次いだ不吉な一室、紅色で室内を統一した通称・紅堂楼だった。剛胆な判事は気にも留めなかったが、絶世の美女が突如部屋に闖入したり、奇怪な人影が窓外に現れたりと、怪事が相次ぐ。そして深夜、宴席から戻った判事を待っていたのは、紅の絨毯に横たわる全裸美女の死体だった…極楽の裏に潜む地獄を暴く、判事の比類なき名推理。

感想・レビュー・書評

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  • 地元に戻る途中で立ち寄った楽園島で友人の羅知事にまんまと仕事を押し付けられたディー判事。
    楽園島は、賭、酒、女で稼ぐ町、折しも盂蘭盆(お盆のお祭り)で、宿が見つからない判事とマーロン副官が、やっと通されたのは、豪華な紅い部屋で何やらいわくつき…。

    ディー判事が文句も言わず羅知事の仕事を肩代わりしてあげてるのも、羅知事のお調子者加減もまた面白い。

    あと、賭場で見張りをしてる2人組の護衛の蟹やんと小蝦どんの不思議な関係(友情)。小蝦どんを思いやる蟹やんとか、妙にしんみりしたりして。

    今回は事件より登場人物の各エピソードがそれぞれよかったな。

  • ディー判事シリーズ。
    出張の帰りに宿を求めてディー判事たちが訪れた、大歓楽地・楽園島。
    折しも地獄の門が開くという盂蘭盆会の真っ最中で部屋がなく、判事が案内されたのは、かつて自殺が相次いだ部屋だった。
    室内を紅色で統一されたその部屋・紅堂楼で、判事は立て続けに奇妙な事件にあう。
    極めつけは、宴会から戻った判事を紅堂楼で待ち受ける死体。
    判事は、この事件をどう解決していくのか?

    歓楽地という場所柄なのか、盂蘭盆会という日本でいうところのお盆みたいな行事?の話だからか、どこか幻想的な雰囲気。
    わがままな花魁とそれをめぐる人々、かつての悲劇をめぐって関係がギクシャクした親友同士と、登場人物の関係もどろどろしています。
    事件もすっきり解決!とまではいきません。
    その分、副官マーロンが話の中でいい味出しています。
    こんなところもある人なんだ、とちょっと好きになりました。

  • このシリーズを読むときは、推理やトリックよりディー判事とお供のやり取りや活劇を楽しんでいます。しかしディー判事のキャラは、実はどう捉えるべきか少し迷っています。意外とファンキーなのかも知れないと思えば、怒りっぽい様にも見え、せっかちな様で謎解きはじっくり考えていいるようでもあり、人情はあるようで、、、味はあるのですが、不思議キャラです。

  • 一大歓楽街で友人に事件を押し付けられたディー判事が密室殺人の謎に挑む。
    ディー判事の部下である馬栄の活躍が楽しい1作。その男気がいいなぁ
    。事件の後味が悪いだけに、馬栄に救われた感がある。
    脇役の蝦蟹コンビもいい味を出している。
    にぎやかな歓楽街の裏を描いて切なさが残る。

  • ディー判事シリーズ
    藩陽県のディー判事は都への出張の帰途、隣県の金華県にある歓楽地「楽園島」に一夜の宿を取る。折りしも、地獄の門が開き死人の魂が戻ってくるといわれる盂蘭盆会の時期で、楽園島は大混雑。
    判事と従者のマーロンは漸く「紅堂楼」と呼ばれる紅一色で装飾された離れに案内される。なにやらいわくありげな部屋に落ち着いた判事を、美しい妓女が訪れたかと思うと、窓の外には奇怪な人影が・・・。
    実はこの部屋では、三日前に将来有望な若い博士が自殺していたのだ。
    旧知の金華県知事のラオに頼まれ、判事は変死事件の究明に乗り出すことに。そして、ラオの代理で出席した宴席から自室に帰ったディー判事を待っていたのは、妓女秋月の死体だった。しかも、そこは密室。博士と妓女の死にどんな関連があるのか?判事の調べで浮かび上がる30年前の自殺事件・・・・・

    この世の極楽のような島で肉欲と恋が交錯し、凄惨な地獄が垣間見えて判事を悩ませる。三つの死の謎をたどるうち見えてくる人間の真実・・・。
    あちこちに張られた伏線が見事に効いていて、犯人の意外さとその悲劇が胸の中にすとんと落ち着きました。密室自体は簡単なものですが、それを作るに至った人間の悲しい思いがきちんと描かれていて、盂蘭盆が終わるとき事件も終わると言う設定とともに、お見事の一言でした。
    今回は、マーロンと言う副官、蟹やんと小蝦どんの用心棒コンビ、人のいい妓女銀仙、炎のような娘玉環など、脇役がいつもにもまして魅力的で、お話の厚みが感じられました。

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