- Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150017743
感想・レビュー・書評
-
●かつて三省堂で発表されていた時から、作者名の読みが変わっています。和爾桃子さんの訳は読みやすく、文句はまったくございません。なんたって、旧訳の人名のカタカナ表記を漢字に変換してくれてるし(笑)
とはいえ、私自身は三省堂版がいささか懐かしいのでした。
なんたって大室幹雄の解説付き・・・!
●さて、このディー判事シリーズ。ミステリとしての出来をうんぬんするよりも、物語の雰囲気そのものを楽しむべき作品です。こんなあらすじ。「死臭の充満する長安を舞台に、次々とかつての旧家の当主達が殺されて行く。
飢餓と人心の不安に乗じた収屍たちをも跋扈する中、果たして狄判事は真犯人を捕える事が出来るのか?」 良作でございます。『妖異金瓶梅』の雰囲気が好きな人はご一読を。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
都で大理寺丞(中央裁判官長官)をつとめるディー判事。
副官達も大出世。洪警部が出てこないのは引退されたのか、ちょっと気になります。
ディー判事は50手前位のお歳ですかね。おつかれ気味な今作。
疫病で偉いさんらが避難した後、丸投げされたディー判事。
マーロンの惚れっぽさも相変わらず、つい「またかよ!」っと声に出しちゃいました。
最後の真相だけは「いいの?」ってなりましたけど。
(追記)
時系列通りに読んでなかったのですが、
洪警部については「北雪の釘」を読んで判明 -
疫病が蔓延する都で、奇妙な流行歌に符合するような惨劇が続く。
都の治安を守りつつ、ディー判事とその3人の副官たちが事件に立ち向かう。
事故死に殺人。都に溢れる疫病死者。ととにかく死人が多いこの話。それでも殺伐としないのは3人の副官たちのおかげかと。
厳しい状況にもかかわらず、軽口を叩いて場を和ませてくれる。
今回様々に入り組んだ謎解きもそこそこ面白く、当時の使用人の考え方なども興味深く読んだ。
「悪い主人がいることより、主人がいないことの方が悪い」って、なんか重い言葉だわ。
巻末に収録されている乱歩とヒューリックと他2名の中国文学者の対談も興味深い。