真夜中への挨拶 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1782 ダルジール警視シリーズ)
- 早川書房 (2006年2月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (499ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150017828
感想・レビュー・書評
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世界がよくできてる。楽しめました。
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ダルジール警視シリーズの新作。
1991年中東での知られざるエピソードに始まり、2002年の自殺と思われる事件の発端を読者には知らせる仕掛け。国際的な背景のちらつくスケールと念のいった構成が、さすがヒル。
骨董店の主人が自殺。
密室でのことで当初は疑いないように見えますが、ダルジールが結論を急ぐのを不審に思ったパスコーは恐るべき上司に睨まれつつも捜査の手を広げます。
十年前にまったく同じやり方で自殺した父親の事件も、本当に自殺だったのか?
父親の後妻ケイは非常に魅力的な大人の女性で、あのダルジールが手もなく丸め込まれている様子…
あくの強い巨漢ダルジールの意外な過去が明らかに。教養があって優しすぎるほどまともなパスコーもしだいに力をつけ、休職中のボウラーが老婦人と野鳥好きで意気投合し、好感度高いです〜。
原題はエミリー・ディキンソンの詩から。
色々な風に受け取れる内容が印象的でした。 -
ダルジール警視シリーズの第19作目、少なくとも日本で翻訳されているものとしては、これがシリーズの中で最新のものである。原題は"Good Morning, Midnight"という。どういう意味だろうな、って思っていたら、題名のとおり、"真夜中への挨拶"と訳してあって、なるほどな、と思った。原書で読んだことがないので分からない(というか、原書で読んだら、尚、分からないのだろうけど)のであるが、レジナルド・ヒルの作品には、それこそシェイクスピアからはじめるイギリスの古典の有名な言い回しや、イギリス英語表現独特の言い回しが数多く使われている。題名の"Good Morning, Midnight"もエミリー・ディキンソンという作家の詩からの引用である。これを訳者の松下祥子さんは、本当に自然に上手に訳していると思う。