世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ミステリ 1902)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150019020

作品紹介・あらすじ

小惑星が地球に衝突するまであと一週間。混乱した世界で、元刑事のパレスは、仲間たちとともに消えた妹ニコを探すが……。『地上最後の刑事』『カウントダウン・シティ』につづく三部作完結篇!

感想・レビュー・書評

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  • 確実に大量絶滅を引き起こす小惑星衝突まで半年となったところからスタートしたこの3部作。
    この作品ではついに衝突まであと1週間。一気読みでした。

    人はいつか死んでしまうけど、来週には確実に死ぬとわかったらどのように生きるのでしょうか?
    やっぱり「死ぬまでにやりたいことリスト」を作って自由にやるのでしょうか?
    元刑事のパレスのように最後まで職務を果たそうとするのでしょうか?(もはや仕事でもないけど)
    それとも侍のように今死ねる覚悟で今を生きるのがいいのでしょうか?

    ハードボイルドなプロフェッショナリズムを究極に押し進めた死生観を問うてくる名作だと思います。

    不覚にもラストで涙がぽろりと・・・

  • フーディーニ(犬)よかったね。主人に会えて。

    「地上最後の刑事」3部作の最終巻。
    前2作を読んだ読者への贈り物。

  • 解説にもある、終章を読み終わった瞬間の"万感の思い"これに尽きる。珠玉の3部作。震える。

  • シリーズ三部作完結巻。小惑星の地球衝突まで残り一週間、主人公・パレスは唯一の肉親である妹の捜索に乗り出す―。SF要素を舞台設定のみに留め、大風呂敷を広げず、とことんハードボイルドミステリーに徹するバランス感覚がやはり絶妙。極限状態においても「地上最後の刑事」を貫こうとするパレスの愚直なキャラクターが三作品通してブレないのも良い。救いのない物語だが、終章の静謐なラストシーンは深い余韻を残し、コルテスの『あんたは何を見ても妹を思い出す』という台詞を改めて回収する技巧性も魅せる。最後に相応しい実に見事な幕引き。

  • 主人公・パレスの旅が終わった。お疲れ様でした✨ 主人公・パレス、いろんな意味で『強い』な。タフ‼️
    今作で最終作。10月3日に読み終えたことに奇跡を感じる☺️
    ホラー小説かと間違えるくらいに不気味に怖かった。でも、最後は悲しくもロマンチックだった。
    三部作。良く読みました

  • たった一人の家族、妹を探してどこまでも。小惑星との衝突までの7日間。いいラストシーンでした。
    一緒に行動するようになった泥棒は信じられるのか、嘘ついているのは誰なのか、本当に小惑星は来るのか。
    じわりじわり妹に真相に近づいていく、ゆっくりだがタイムリミットは刻々と迫る。
    このバランスが良い。

    先の読めない展開で最後まで一気読み。
    この著者のほかの作品を読みたくなる。

  • 結論としては、あわんかったかな。

  • 喧嘩別れしちゃった妹に会おうと追いかける兄ちゃん刑事。妹に会えんのか?隕石阻止できちゃったりするのか?なにを書いてもネタバレになっちゃいそう。ラスト一行。兄ちゃんの心根の優しさに涙腺崩壊。読めて良かった。読んで良かった。

  • もうミステリでもSFでもなくて、心の旅というか。

    あまり説明なくいきなり重要なことが起こったり、まとまりに欠ける。
    注意深くよまないと、あれ、この人ダレ?とか、あれ、そーなったんだっけ?とか置いてきぼりにされがち。

    そっか、こう終わるのか。
    しみじみ。

  • 世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  • 世界は終わる。だが、謎を残してパレス刑事の世界は終わらせられない。最後の瞬間まで、愚直に真実を追うパレス刑事に涙。

  • 小惑星が地球に衝突するとされる日まであと一週間。妹のニコに、もう一度会いたい-元刑事のパレスは、警官たちが集う“警察のいえ"を後にして旅に出る。小惑星の衝突を阻止する方法はあると確信して、地下活動グループと行動をともにしているニコ。今、彼女はどこにいるのだろう?パレスはニコとその仲間たちの痕跡を地道にたどってゆく。終末を目前にした世界を描く、アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作『地上最後の刑事』、フィリップ・K・ディック賞受賞作『カウントダウン・シティ』に続く三部作の完結篇。
    原題:WORLD OF TROUBLE
    (2014年)
    — 目次 —
    1.アメリカンスピリット
    2.ブルータウンの男
    3.JOY
    4.さっさと仕事をしろ
    5.イシス
    6.第二計画
    7.終章

  • ついに三部作が終わってしまった。こんなふうになるなんて予想してなかった。でも隕石はやって来る。
    最後の終わり方のこういう余韻の残り方は嫌いじゃない。なんて言うか三部作通して全体的に不思議な魅力がある作品だった。疾走感があるわけではなく、主人公がかっこいいと言うわけでもないのに。
    この、ヘンリーのブレない生き方が心に響くのか。静かに週末を迎える人たちの中の、真相を知っている人の描き方も心に残った。

  • 冒頭はちょっと退屈な感じもしたのですが、中盤から一気読み。訳も良いのか非常に読みやすかったです。
    3部作の3作目からいきなり読むというルール違反な読み方をしたので、ちょっと申し訳ない気分。地球の終わりにまつわる話なので、何よりも終末の描写を見てみたかったのです。

    終末を目前にした世界のささくれだった感じ、嘆きを通り越して諦めに至った疲れた空気感が描写されていて、確かに週末の世界ってこんな感じなのかもと思わせてくれます。
    そして、その中でも刑事であろうと行動する主人公パレス。妹を探すという目的はあれど、どちらかと言うと終末の世界の中であっても刑事であることを保つためにやっているのかも。プロ意識なのか、使命感なのか、ただそうしたいのか。自分が終末に直面したとしたら、自分を保つために何かするのかもしれないと考えさせられました。

  • 「カルドセプト リボルト」にかまけていたせいもあるが、それにしても進まなかった。のっけから「警官のいえ」を出て、みずから見捨てた妹を探しに行くなどと言い出されたらなおさらだ。
    というかこの男、特にというか全然「いい男」ではない。凝り固まった己の信念のみを強迫的に抱え込み、それ以外は人間としておよそからっぽで、ひと様に提供できる何を持っているでもない。なのになぜか次から次に女性から愛され、情報・食べ物・セックスなど、その時その時いちばん欲するところのものをちゃっかり提供される。だが、彼のほうは彼女に何を返せるでなく、それどころか自分(の信念)のみを最優先して、つれなく彼女のもとを去るのだ。袖にされた彼女はそんな彼を想って泣き、かきくどくという寸法。
    特に魅力的でもない利己的で独善的な男が、3作で3人、つまり話ごとに尽くしてくれる「都合のいい」女を取っ替え引っ替えして、己の道(のみ)を突き進む。このオッサンドリームが、3度めともなるとだんだん鼻についてきた。特に、第2作で彼(なんぞ)のためにあれほど心を砕き、自分の立場や生命までも危険に晒し、大きな犠牲を払ったマコネルへのあの仕打ちは許しがたい。彼女を捨てたあげく、サンディとの、特に意味のないあの絡みだ。
    妹が妹がと言うけれど、彼女の言葉に一度だって耳を傾けてやったでもない。どころか彼に、たった1人の兄に話を聞いてもらえなかったから、妹は彼のもとを去ったようなものなのに。連れ戻したところで、彼に彼女の言葉を聞く気などない。ただ自分が望む「故郷で、妹を傍らに置いた状態での無為な死」に付き合わせるオブジェとして、妹を無理やり連れ戻したいだけなのだ。彼女が、みずからの意志で選んだ居場所から。
    そんなわけで、主人公の個人的な動機にはまったく応援できる部分はないのだが、彼がさすらうことになる「終わりの世界」は、相変わらず興味深い。主人公に関しても、偏執的・強迫的な「刑事であること」へのこだわりについては、作者はちゃんと「わかっていて」書いていると感じる(オッサンドリームについては、わかっていなさそうだけど)。主人公を英雄ではなく、滑稽な変人——ことによると狂人——としてきちんと書いている。そこが、この物語を救っている。ミステリ部分は2作めよりさらに薄く、「真犯人」は私ですら察しがついたが、まあそれはご愛敬というものだ。
    しかし、ほとんど医療の崩壊した世界で銃弾に上腕動脈をぶった切られ、折れた肋骨が内臓に刺さった状態だというのに、主人公が妙にピンシャンしているのには失笑を禁じえない。本当なら、終わりを待たずに高熱を発してのたれ死んでいるはずなのでは。それもまたオッサンドリームなのだろう。

    ?〜2016/10/15読了

  • 三部作の最終話。ミステリーやハードボイルドとしては物足りないが、人類滅亡目前という設定での話としては面白かった。最後もしんみりした。

  • 素朴な疑問。小惑星衝突の後、地球そのものは残るの?かつて恐竜が絶滅したように、地上生物がある程度滅びるだけ?情報の遮断は救いとなることもあり得る。私なんか世界がこんなパニック状態になったら、真っ先に命落としそうだな。ヘンリーの自らの核を失わない平静さには畏怖を覚えた。

  • 前2作はこの3作目のためのタメであったか。
    これだけ読んでももちろん面白いけど、前2作が効いている。
    混沌と平穏。

    読みながら、惑星がぶつかる1週間前ならいろいろな気象変化があるんじゃないかなぁと無粋なことを考えたのは秘密だ。

  • 小惑星が地球に衝突するまで後7日間。主人公パレスはたった一人の家族である妹を探して歩く。そんな差し迫った状況なのに、何かと刑事根性が行動や思考に出てくる所が滑稽でもあり哀しくもある。妹に会うという目的や刑事として自分を律することで、過酷な状況に向き合っているのだ。真実をあくまでも知ろうとする彼の必死さに、自分に誠実に生きる大切さを教えられる気がする。ラストの情景は胸に迫るものがあった。

  • 三部作完結編。発売を待ち望んだ本は久しぶり。
    あっという間に読み終えた。
    惑星マイアが地球に衝突するまであと7日。ヘンリーは妹ニコを探しに、仲間たちのもとを旅立っていた。
    終末の狂乱と狂騒を描いた2作目の時に比べると、ぐっと人びとが落ち着いている。落ち着いている街が舞台だったからかもしれないが、あと7日で地球消滅となったら、実際はこんなものなのかもしれないとも思ったり。
    諦め、達観、祈りといった静けさの中、ヘンリーは妹と再会できるのか。惑星マイアは本当に堕ちてくるのか。その時を誰とどのようにして待つのか。
    相棒として物語に色を添えていたフーディーニも皆勤賞で出演。

    謎が解けてその時を待つヘンリーの旅の終わりに、万感の思いがこみあげる。

    面白かった。単純にそんな感想。

  • 完結編ということで楽しみにしていたけど前2作に比べると物足りない。
    終末感があまりかんじられなかった。

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