- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150102227
感想・レビュー・書評
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SF。多元宇宙。
まさに奇想天外。
主人公のような狂った世界を体験したら、本当に発狂するかも。
ストーリー自体はかなり都合が良い展開で、けっこう単純。
ドキドキハラハラしながら読む感じの、コミカルなエンタメ作品だと思う。
もちろん好き。 -
最初の数十ページで引き込まれる。ワクワクドキドキ、これからどうなるんだろう。今、ここにある世界がどういうものなのかの謎解きは本当に楽しい。主人公と同化する感じ。
謎解き部分はちょっと笑える。なんじゃそりゃ。それもまた良し。 -
多元宇宙論的SF。とある事故で平行世界に飛ばされた主人公の奮闘を描く。後半には若干のスペースオペラ要素も。発表は1949年で、可能世界の現実性についてのデヴィッド・ルイスの議論以前。この時代にこれだけのものを書いたことに驚嘆せずにはいられないが、今の目で同趣の作品と比較しても、傑作の一つに数えて良いと思う。読後の余韻として残ったのは、この結末がハッピーエンドかどうかという問い。この世界・あの世界・その世界において、また主人公にとって、どうか。作品は判断を読者に委ねている節がある。他の人の感想を聞きたい。
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とある雑誌でこの「発狂した宇宙」の記事があった。たしか昔読んだはずだが、ストーリーを思い出せないので再読。
元祖平行宇宙物。SFには時代とともに陳腐化する物もあるが、この小説は大丈夫、何しろ無限のあらゆる前提の平行宇宙があるのだから、何でもあり。 -
ロケットが墜落した衝撃で、パラレルワールドに飛び込んでしまうドタバタ。
このパラレルワールドが並大抵のものではなく、宇宙旅行も当たり前なら、宇宙人による地球人の大殺戮も当たり前と、読んだ人以外何書いてんのかわからないと思うが、要はSFの世界に飛び込んでしまうわけだ。H.G.ウェルズは歴史家になっていたりして、SF読みにとってはクスリとくる設定。
ただ一つ引っかかり続けるのが、自分の知り合いが超有名人になっている。なぜか…という理由も、きちんと最後で拾われて説明される。最初の前振りも生きてくる。そしてそこで予想したオチに…。
SF業界などの内輪ネタをふんだんに散りばめ、星間戦争から何から詰め込みまくって、更には文章がうまいし訳もいい。面白くないわけがないのです。
代表作は「火星人ゴー・ホーム」だそうで、こちらも読みたいが、なかなか手にはいらないのだよなあ。 -
フレドリック・ブラウンの処女長編は多元宇宙の古典的名作です。
刊行されたのが1949年だけあって、本書では月人が地球上を闊歩したり、火星人や金星人なんてものが存在してたりします。だから古臭いと言われるとそこまでなのですが、どちらかというと開けた夢があって良いなあと思うのです。
こんなにだだっ広い宇宙なんだから、こんな宇宙があってもいいじゃないか、もっと多様な異星人と交流して、時には種の存続をかけた恒星間戦争をしてもいいじゃないか。そんな未来に寄せる期待溢れる夢でいっぱいな小説です。
無論、これは当時と比べ、ある程度宇宙の輪郭がぼんやりながらも解ってきた現代だからこそ抱く思いなのかもしれません。また、本書が刊行された時代は、このような作品で溢れかえっていて、この作品が特別そうだというわけではないのでしょう。その点を踏まえて、解説で筒井康隆氏が雄弁に語っていましたが、この作品がパロディちっくで、茶化した体の作品であったとしても、こどもっぽい無邪気さが感じられるのは、著者自身がこんな宇宙を夢見ているからではないのかなぁ。
「天の光はすべて星」を読んだ際にも感じましたが、著者のこういう無邪気で夢見る作風がとても好きだと改めて認識した次第です。