永遠の終り (ハヤカワ文庫 SF 269)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150102692

感想・レビュー・書評

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  • 原題 “The End of Eternity” 時間移動SFの傑作。タイムトラベルやらタイムリープやら、たくさんありすぎてもはや食傷気味な題材かなぁと感じていたけれど、そんな思いを吹き飛ばす、これは最高傑作の感動。独自用語が多い世界観のなか、愛する女性のために世界を敵にまわすという、主人公のシンプルな動機が好ましく、力強くストーリーを引っ張ってくれる。タイムパラドックスを広げてパラレルワールドにも切り込んだ巧みな設定、終盤のミステリー的な謎解きと怒涛の伏線回収に興奮MAX。壮大な結末と最後の一文にシビれた。図書館で昭和42年初版本を借りてきたけど、絶版なんて信じられない出来。これは紙の本で手元に置いておきたい。新訳とかで文庫お願いしますハヤカワさん~!

  • ふと思い立って約20年ぶりの再読。タイムマシンSFの紛うことなき傑作。こんな傑作が絶版なんて勿体ない…。

    「永遠(エタニティ)」という未来の歴史矯正機関を舞台にした物語で、「歴史は現実に矛盾を生じさせないように自己補修する」というアイデアのもとにアクロバティックなストーリーが展開するわけですが、伏線を一気に回収して、物語が壮大なエンディングを迎えるところのカタルシスが特筆ものです。本書がアシモフのロボットシリーズも銀河帝国シリーズのプロローグとしてつながっていくという仕掛けには胸が熱くなります。

    【初読】1997年12月9日

  • 読み始めはSF独自の専門用語の連続で、何を言っているのかわからない。
    わからないが、言葉のうまさや文章力、そして世界観で読ませてくる。そして読み進めた頃にはだいたいを把握している。さすが巨匠アシモフである。

    主人公が属する<永遠>そしてタイトルが永遠の終り、であるからして、主人公が何かしらの反旗を翻し、自身の属する組織をどうにかするんだろうな、ということは明白だ。最終的な結末は個人的にはすばらしいシメであった。

  • 時代を行き来し、人類の滅亡を防ぐ永遠(エターニティ)で従事する技術者のハーランは、ある日、エターニティに、女性の侵入者がいることを、上司トウィッセルから告げられる。ハーランは侵入者ノイエスを、元の時代に送り届けるが、その後ノイエスと未来に逃げることを企てる…。

    時間物のゆるいラブストーリーかな?と思っていたものが中盤で崩れ、終盤でまた崩れ、という、一筋縄ではいかないタイムトラベル小説である。

    特に中盤からの時間パラドックスの発想からエターニティの存在の危機、そもそもの矛盾、分岐していく未来と多少の分岐を収束させる現実など、さらりと表現されてはいるが、非常に綿密に練られたプロットの上に作られていることがわかり、とてつもない小説を読んだのではないかという読後感がある。

    アシモフの小説は、訳も恵まれているとは思うが、全体に理論をゴリゴリに押し出したり、すぐに読者そっちのけで宇宙の都市の世界観を押し付けたり、なんならドラッグということで逃げたりせず、丁寧にテンポよく行動を起こし、それによって事件が起こりという部分がわかりやすい。

    本作においても、時間のパラドックスを人為的に作り上げようとするものの、ズレが生じて…という部分など、他の作家ならうまく説明できないままになりそうな現象も、いとも簡単に理解させてしまうのだ。

    全体のストーリーとしては、タイムトラベル物としてはかなりシンプルな部類になるだろう。だからこその、人物の役割が生きてきていると言える作品だ。

    SFなれしていないと少し難しく感じるかもしれないが、多少の部分は読み飛ばしても大丈夫なので、万人におすすめである。

  • タイムパラドックスを扱ったSFの中で最高の出来だと思う。限られた人類が人類の歴史を書き換える世界。結果として人類は・・・
    科学の発展の善の悪とを考えさせれる。是非とも映画化して欲しい作品である。
    廃版になっているのが惜しい。
    25年前に買った自分は幸せ者。

  • 永遠はただ口で飾り立てた牢獄に過ぎない事を知らないふりをして、人は何時も永遠を求め続けている。

  • 時間もの。ものすごく面白い。
    パラドックスネタあり、未来、現代、超未来の話に及び、さらにそこにかかわる人間のドラマと恋愛。
    話で世界も人も、窮地に立たされ、挽回し、めまぐるしく変わっていく。
    一言ではとても言い表せないほどの大作。
    俺が今まで読んだ時間物の中では、過去最高に面白かった。
    永遠の終りというタイトルがぴったりな話ということに、最後の最後で気がついた。

  • 荒木先生が何を書いてもジョジョになってしまうように、アシモフの作品が全てファウンデーションに結びついてしまうのは、読み手が勝手に結びつけてしまうからだろうなと思った。それほど普遍的で魅力的な舞台だということだと、自分には思える。

  • ブルース・モーエンさんが言うところの「計画センターの人たち」のことかなと思って読んだが、地球人の話だった。ミステリー仕立て。
    私たちが時間人で、時間を自由に行き来できる人間が永遠人。

    過去を変えたら現在はどうなるか、過去の自分に出会ったら自分はどうなるか。
    人間は得た知識を使いたがる好奇心の塊であり、「現実矯正」でコントロールしたがるくせに、恐ろしく無知なので思わぬ事件が起こる。大きな時間軸で見れば、危機や衰退も未来のための必然と思える。

    アシモフさんは、人類はもっと宇宙へ出て増えることをどの作品でも望んでいるように思える。

  • 小説

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著者プロフィール

Isaac Asimov (1920―1992 )。アメリカの作家、生化学者。著書に『われはロボット』『ファウンデーション』『黒後家蜘蛛の会』等のSF,ミステリーのほか、『化学の歴史』『宇宙の測り方』等の科学啓蒙書やエッセイが多数ある。

「2014年 『生物学の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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