タイム・マシン (ハヤカワ文庫 SF 274)

  • 早川書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150102746

感想・レビュー・書評

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  • 古典SF小説。SFというよりはファンタジー小説の様相が強く、レイ・ブラッドベリやジェームズ・ティプトリー・jrが影響を受けていそう。表題作「タイム・マシン」で、はるか80万年後の世界の人類が、きれいな上品な小人(踊りが好きで知能は幼児のよう)なのが、なんともディストピア的でいい意味で気持ち悪い。

    荒俣宏の解説は、本作に一貫する未来に対するペシミズムに対して、反感をもった作家たちがイギリスSF史を作ったという内容で面白い。

    そして、何より感じたのは、時代が経つことによるSF小説の陳腐化。悲しいことに、古典SFって今見ると発想がどうしても時代遅れ(だって今のほうが当時に対して未来なのだから当たり前)。どんな未来を予想していても、だいたい実際の未来(現在)の方が面白いし進歩的なのは、でもSF的にはいいことなんだろうな。

  • H.G.ウェルズの短編集。表題以外の作品も面白いので、各作品について感想を書く。

    ◎塀にある扉
    どこかで読んだことがありそうな話。塀の向こうに何があるのか気になるのは子供も大人も同じ。ましてや、塀に扉があったら開けてみたくなるのが人情だ。パンドラの箱しかり、鶴の恩返ししかり。人の本能に訴える作品。

    ◎陸の甲鉄艦
    甲鉄艦とは戦車のこと。戦車が実戦に投入されたのは、第一次世界対戦。この小説が発表される前だ。筆者が戦車の情報を入手していたと思われるが、戦い方について臨場感溢れる描写をした筆者はすごい。

    ◎魔法の店
    不思議な不思議なお話。魔法グッズを販売している魔法の店。手品グッズではなく本当に魔法を使えるグッズが売られている。小さな子供とその父親が偶然見かけて入る(実際は入ることを許されたのだが)。子供は無邪気にはしゃいでいるが、父親はその店の異様さにだんだん冷静になっていく。同じ店にいるのに、大人と子供で行動が変わるのが面白い。短編ではなく後日談など長編で読みたい。あるのかな?

    ◎盗まれたバチルス
    バチルスとは細菌のこと。死をもたらすコレラ菌だ。自分にはこの作品がもっとも分からなかった。最後がよく分からない。どうすれば分かるの? 当時の政治的背景が分かってないとダメなのかなあ。

    ◎故エルヴシャム氏の話
    人間入れ替わりの話。今となってはよくあるアイデアだが、本書が発行された当時であれば、それなりに驚きをもって読まれたと想像する。読者を巻き込む語りにもどことなく古くささを感じてしまうが、それでも楽しく読めてしまう。人格が入れ替わる前に渡された円筒型の物の正体は何だったのだろうか。これは解決していないよね? 読者が想像しろということだろうか。

    ◎タイム・マシン
    表題の話。タイムトラベル物の先駆け。驚いたのは、執筆から100年たっても色褪せないストーリーだということ。筆者が想像する未来の物語は突拍子もなく聞こえるが、それでいて少し現実味もあり、そしてタイムトラベラーの未来での冒険、ロマンスもあり、ページを繰る指が止まらない。夢中になって読んだ。100年以上前の読者はどれくらい驚きをもって読んだのだろうか。その様子をタイムマシンに乗って見に行きたい。

  • 有名な古典SFです(笑)有名すぎて逆に読んでないので買って来ました。

    表題作を含めて6編入ってる中短編集です。

    作品の感想というよりはSFというジャンルについて考えさせられました(笑)

    この本も、「空想科学小説」というより「空想小説」なんですよね。表題作のタイムマシンは、タイムマシンという機械で未来に行った人物の話がメインなんですが、行った先は遠い遠い未来で所謂パラドクスとは無縁です。他の作品も、謎の扉が出てくる話だったり不思議な薬がどうとかだったり、本物の魔法使いが出てきたりと科学とは無縁の設定が多いです。

    でもウェルズはSF作家の祖なんですよ(笑)日本で誰もが知ってる所で言うと星新一も、宇宙や未来物と同じスタンスで神様が出てきたり悪魔と契約したり、理由も何もなく空に穴が開いてたりしてますよね…でも星新一もSF作家です(笑)何か細分化されたジャンル分けは無用のような気がしてきました。ハイファンタジーやハードSF以外は、皆空想小説でいいじゃん!みたいな(笑)

  • バクスターのタイム・シップを読む前に、表題作だけ読みました。

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