世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1)
- 早川書房 (1979年1月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (511ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150103309
感想・レビュー・書評
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「少年と犬」がすんごいツボでした。すんごい好き。すんごい好み。
「サンタ・クロース対スパイダー」も大好き!
ハードボイルドサンタに胸キュン☆しつつ大爆笑詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あんなSFやこんなSFを見たときに、「これ新しい!」と思ったことが、ここに全部書いてある。エロとバイオレンスの風味溢れるハードなSF。天才だけど、こういう人騒がせにぶっとんだ人が周りにいなくてよかった(笑
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某映画とは関係ありません、SF短編小説。
SFを読んだのは初めてだったので、正直に言うとよくわからない。外国語を訳したものを読むのも苦手なので。でも雰囲気が何となく好きなので、わかるようになるまで何度も読みたい。 -
短編小説だが、表題「世界の中心で愛を叫んだけもの」と「安らかに眠れ」は個人的に好きだった。
どちらも狂気をテーマにした話。
表題では狂気が生みだされるシステムがダイナミックに記されており、安らかに眠れでは狂気を利用してまで利潤を追求する人間の貪欲さを感じた。 -
さてかくも小説における表題の影響力の凄さを実感したのがこの題名である。
もう語り尽くされて手垢がついて糞尿に塗れているような事柄なのだが。
エリスン、エヴア、片山恭一氏に敬意を表して・・・僕的にはもちろんエリスンに。
僕的認識
最初にハーラン・エリスンありき・・・言うまでもない。
『世界の中心で愛を叫んだ獣』原題 、"The Beast that Shouted Love at the Heart of the world"
この表題のインパクトの強さは尋常ではありません。
チャンドラーの『The Big Sleep』大いなる眠り『Farewell My Lovely』さらば愛しき人よ
そしてB・W・オールディズ『HOT HOUSE』地球の長い午後、あまりにも有名なブレード・ランナーの原作、P・K・ディック『Do Androids Dream Of Electric Sheep? 』アンドロイドは電気羊の夢を見るか?・・・これって春樹さんの小説の題名っぽいです、絶対春樹さんこれ読んでるよね、フイッツジェラルド、チャンドラー、カポーティ、サリンジャー、ヴォネガット、カーヴァー、これだけアメリカの作家たちを敬愛してるんだもの、たまに浮気してSFなんてね。その表題のインパクトってほんとこの題名で書いてみたくなるもの、そして、モノにしてみたくなるそんな魔力があるんです、表題にはね。
閑話休題、
そして、新世紀エヴァンゲリオン第拾五話 ”世界の中心でアイを叫んだケモノ”
最後に片山恭一氏の『世界の中心で愛を叫ぶ』
裏話として担当編集者が片山氏の最初の表題『恋するソクラテス』をこれでは売れないとエヴァから拝 借したってことですが、(もひとつ笑えるのはこの編集者はエリスンの元ネタを知らなかったってオチまでちゃんと用意されてるのです)
エヴァはもちろんエリスンへのオマージュですよオマージュ・・・なんだかアイロニーの迷宮に迷い込んでしまいそう。
確かに恋する~では300万部は絶対売れない(w)。
春樹さんは『ノルウェイの森』ベストセラーで騒然としていた時ってうまく逃げまくってますね『遠い太鼓』してたと思うんだけど・・・き、記憶が・・・。
今とはやはり時代が違うのか、見識の違いなのか、TBSの策謀か、かたやTV、映画、演劇、CD、DVD、そして、大衆に迎合され陳腐な忘却へと変貌してゆくのです。
サキやサクはそれぞれの胸の中にあるサキやサクではなく、映画、TVで演じた役者という具体的なイメージで語られるのです。こうなってはロマンもなにもあったものではありません、神秘性もなにもかもが剥ぎ取られ、失われてゆく。
デカプリオが『タイタニック』の世界的なヒットを後に出なければよかったと後悔したように、(これによって彼はアカデミーの候補止まり的語られかたをされる役者になってしまった)片山氏の不幸はこのベストセラーによっておそらく作家が欲するであろう賞取りはないと断言できるからです。
たとえ傑作をモノにしたとしても彼はセカチューとして語られる作家になってしまったのです。
なんという皮肉、なんというジレンマ・・・。
長くなりました、最後にパンドラの箱をモチーフとしたエリスンの世界の~から引用、
テロによって殺戮を繰り返したテロリストが最後にこう叫ぶのです。
『・・・それでも世界を愛している!』 -
エヴァのために買ったんだけども、表題作以外は読めてません。
これで、人類保管計画が理解できたかというと、
うーん。 -
新世紀エヴァンゲリオンのタイトルでももじられたこの作品を、ずっと、読んでみたいと思っていました。
SFなどという区切りを、わたしはあまり気にしません。読めるものは読む、というような、ジャンルはあまり気にしないニンゲンでして。
ひどく難解な、ぐちゃぐちゃどろどろとした、批判やら風刺やらなんやらが交じり合った、不思議な作品。それがわたしの第一印象でした。
時間軸や設定が入り混じり、すべてに狂気と暴力とが溢れ、そういう表現が苦手な御方には不快な作品だと思います。わたしはあまり気にしませんでしたが。
表題作は難しくて、いまだにおぼろげにしか理解できていません。
ただ、わたしは、作品の主人公にどっぷりと浸かる傾向があり、作者が前書きで「精神集中云々」とおっしゃっていることが、浸っていくなかでなんとなく理解できた気がしました。あくまでなんとなく、なので、理解できた気がする、というのもおこがましいでしょうが。
一番読みやすいのは、「少年と犬」ではないかと。わたしは、ほかの作品よりこちらが読みやすく、気にいっております。 -
この狂気と暴力と愛に、まっすぐに向きあって受け止めるだけの度量は、私にはまだない。すべての短編に満ちる、痛ましいほどのエネルギー、常軌を逸した凶暴さ。彼の書いたのはサイエンス・フィクションではなく、スペキュレイティブ・フィクション=危険をはらんだ物語なのだから。
そして、すべてを受け止められる日が来たときには、もはやこの本は私には必要なくなるのだろう。 -
表紙を見て、あ、エヴァだと叫んだ息子。
いやいや、こちらが本家なのだと(受け売りだが)説明しておいた。
短篇集。15篇収録。
どの作品からも、「お前らな~」とこの世界に対する怒りに身を震わせつつも、ペシミズムに陥ることを拒絶するエリスンの姿が透けて見えるような気がする。
表題作は、言葉通りに読めば何故我々が暴力の連鎖から逃れられないのか、そうした状況にあって希望が見出せるとすればそれはどこにか、ということを描いてみせたものだと思うのだが、あの有名なセリフは狂気の排出の途絶の影響なのか、イヤそう考えるとつまらないので、愛を内包し得る狂気というものの象徴なのか、とかセンフがライナに向かって「きみの不幸は、ほんとうの人間であることだ。(中略)闘争のしかたを学ばずじまいだった」という言葉の真意だとか、こうかしら、ああかしらと思いを巡らせることになる。
車での決闘の疾走感とラストでの主人公の泣きっ面が目に浮かぶようで楽しい「101号線の決闘」
シカゴ市長やアラバマ州知事、大統領など悪名高い政治家を実名で登場させて皮肉った、007のサンタ・クロースバージョンとも言える「サンタ・クロース対スパイダー」
やったれ、やったれと主人公に肩入れしたくなる「星ぼしへの脱出」
巡業する異星人という視点が新鮮な「満員御礼」
主人公の孤高を想像してしまう「殺戮すべき多くの世界」
そのストレートさが腹にずしんとくるような「少年と犬」
ラストでの無為に循環を繰り返す者の姿と、人間の性にやるせないような気にさせられる「眠れ、安らかに」が一番気に入った。
The Beast That Shouted Love at The Heart of The World by
Harlan Ellison -
短編集。私には理解し得ない話もあったが、少年と犬は印象に残った。結末と女性観は作者らしいといえよう。
心が荒んでいるときに読みたくなる、タバコのような一冊。
萌えはない。