幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF 341)

  • 早川書房
3.97
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本棚登録 : 3252
感想 : 251
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150103415

感想・レビュー・書評

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  • ◯読み終わって改めて考えると、いかにこの本が後世のSFやマンガなどに影響を与えたのかがよく分からる。当日書かれたということは革新的であり、今にしてみれば、まぁありそうな話し…と感じて、何が凄いのか分からないこと自体がすごいのかもしれない。
    ◯現在のグローバル社会を維持するために必要なのが多様性の尊重だと思うが、その先ににあるものを飛躍させるとおそらくこの本に出てくる人類なのではないかと感じさせる。共感を発達させることによって、個人の境界が無くなり、溶け合っていくのかもしれない。

  • SF好きを明言しながら未読なのもどうかと思い、意を決して読んでみましたが、これまで読んでいなかったことを大後悔…!ベストSFに上げる方が多いのも納得の大傑作でした。

    オーバーロードという人類を超越する存在との接触を描く前半は、いわゆるファーストコンタクトものとして展開していきますが、後半、オーバーロードの目的が明かされてからは、物語の様相が一気に様変わりします。さらなる上位種の存在、個を消失し進化する人類、道を閉ざされながらも個としての未来を諦めないオーバーロード。これは悲劇なのか喜劇なのか。一言では言い表せない展開と結末に、読後、しばらく呆然としてしまいました。



  • Childhood's End(1953年、米)。
    見送る者の虚脱と悲哀。見守る者の憐憫と羨望。この悲劇性にもかかわらず、これほどの喪失感にもかかわらず、これは挫折ではなく成就なのだ――。読む前にはSFらしくないと感じたタイトルが、読み終えた後にはこれ以外にないと思えてくる。この悲しみと諦めと達観のないまざった、複雑な情感を表現するためには。

    異星人との遭遇、そして人類の行く末が、壮大なスケールで描かれている。それでいて、個々の謎はジグソーパズルのピースのように、きっちりとおさまるべき所におさまっていく。理知的なスタンスを崩すことなく、同時に圧倒的な抒情性も兼ね備えているという、稀有な作品である。完成度の高い、金字塔の名に相応しい傑作だと思う。

    部分的には、ジェフが見る夢の描写がとても印象的だった。超重力の惑星や、6つの恒星をもつ惑星など、想像すると少し背筋が寒くなるのだが、畏怖に近い感覚で非常に心惹かれる。作者のイマジネーションの豊かさに脱帽。

  • WASPがエラかった時代のアメリカ様感はありつつも、そんなに古めかしくない古典SF。まあ細かいところはもっさりしているけれど、骨格ががっしりしているから気にならない。ちゃくちゃく読んでいったら300ページあたりからぐっと面白くなった。

    よかったところを挙げると即ネタバレになってしまうので控えるけれど、まとめ方がかなり好みだった。スケールが大きくて空想を広げる余地がたっぷりあって、SFを読んだ!という満足感を味わえる。

    • だいさん
      ハヤカワ>創元推理文庫
      ハヤカワの訳のほうがワクワクします。
      ハヤカワ>創元推理文庫
      ハヤカワの訳のほうがワクワクします。
      2013/03/08
    • なつめさん
      だいさんは二種類読まれているのですね。わたしはたまたま家人所有のハヤカワを手に取ったのですが、ラッキーだったみたいです
      だいさんは二種類読まれているのですね。わたしはたまたま家人所有のハヤカワを手に取ったのですが、ラッキーだったみたいです
      2013/03/10
  • ファーストコンタクトを描いたSF古典。圧倒的な技術的優位性を持った存在に人類は管理される。歴史から類似事例を出すならば日本の黒船来航になるだろう。

  • 息子に勧められ、初SF。

    この作品とんでもない昔に書かれたはずなのに、、この発想、設定が凄すぎる。

    私の世界観、価値観、少し変わったかも。
    良い意味で。

    読後感想書かずいた所、、MARVEL映画にハマりマイティ・ソーを見ていたら登場人物の女性が、アーサー・C・クラークが、、、て言うてた。
    ので、改めて覚え書き程度の感想(˙꒳˙ก̀)

  • 面白かった。

    何がすごいって、地球でない星々の描写がすごい。
    彼の眼には何が見えていたのだろう。その星たちの上にどんな空が広がり、どんな大気がたちこめ、どんな海が、山が、大地がひろがっているのか、まるで彼自身の目でつぶさに眺めてきたかのようだ。

    もちろんストーリーも面白かったよーていうか光文社古典新約文庫で出てるなんて知らなかったよー
    「古典」って言いすぎじゃないかwww確かに不朽の名作だとは思うけど。

  • 地球人類の行く末を扱った壮大な物語。オーバーロードの目的は何か。50年もの長きにわたり、目の前にいながら姿を現さなかったのは何故か?その姿を見たとき、そして新たな進化のビジョンが現れたとき、震えにちかい感動があった。SFにして哲学的な問題に取り組んでいる。私たちは何処へ向かっているのか?そして今の原子力問題をオーバーロードが見たらなんと言うのか?きっと、地球人は進歩を故意にやめていのか?と嘆くのではないのか。そして本来なら好まない強制介入に踏み込むのではないだろか?SFの古典ではなく、小説界の古典的名作。

  • フロム・ソフトウェアのゲーム『Bloodborne』を友人に勧められたところ、どハマりしてしまい、同じく友人の紹介で、当ゲームの元ネタとなった本作を知った。

    読み始めに想像していたよりも、ずっとファンタジックな展開となった。

    科学を一種の宗教であると認めながらも、進んだ科学が全ての宗教を淘汰した世界を展開する前半に対して、後半では、霊的な方向性で人類が進化していく世界を展開していた。

    後半の、あまりに超能力じみている展開をファンタジックと捉え、少々げんなりした気持ちになってしまった私は、すでに科学という名の宗教の虜になってしまっているのかもしれない。

    オーバーロードと人類の違いの一つとして感情のあるなしが挙げられる。これは、感情が摩耗した種はオーバーロードのように進化が頭打ちになってしまうことを暗に示す筆者からの警句ではないかと思った。

    話は変わるが、1974年に想定されていた進んだ技術や文化体系が、どういったものであったのかという視点で楽しむことができた。

    昔の(特に半世紀ほど前の)SFで描かれた未来の様子と現在の様子がどれくらい乖離しているかを楽しむことができるのはSFの面白いところだと思う。



    以下、Bloodborneとの関連で気づいたところ

    カレル文字のモデルはカレルレンではないだろうか。

    赤子を失い、求めているという上位者たちは、進化の道を絶たれ、進化した人類の保護を目的としているオーバーロードたちを表現しているように思える。

    オーバーロード≒上位者とすると、自然災害からジェフを救けたオーバーロードの構図は、赤子を守っていた(?)メルゴーの乳母の構図にそのまま当てはめることができる。

    上位者に赤子を取られたトゥメルの女王ヤーナムは、オーバーロードにジェフを取られたジーンと同じ構図をしている。

    ヤーナムの夜明けエンドで目を覚ました主人公は、地球に帰還してカレルレンから説明を受けたジャンが一人で地球上を生きる様子と似ている。

    遺志を継ぐ者エンドでゲールマンに代わった主人公は、地球に残って星の終わりを見届けたジャンの様子と似ている。

    幼年期のはじまりエンドで上位者となった主人公は、ジャンが地球を捨ててオーバーロードに着いていくことを選んだ可能性を示唆していると思う。

    ↑の説が正しいとすれば『幼年期の”終り”』という作品に対して「幼年期の”はじまり”」というタイトルを付けることで、〖ジャン«Bloodborneの主人公»がこれから別の星«悪夢»で発生する種の進化«獣狩りの夜»をオーバーロード«上位者»として見届ける〗という構図を示唆しているのではないかと思う。

    赤子を倒して入手する「3本目のへそのお」を使用して月の魔物(上位者)と戦闘することになるのは、ジェフをはじめとした子供を死なせてしまうとオーバーロードと対立することになっていたかもしれない可能性を示唆しているのではないかと思う。

  • 初読(創元推理文庫版だった)は小学生(中学に上がった頃?)だった筈なので、約50年ぶりの再読。
    当時は、作品中に提示されるビジュアル描写に圧倒されてばかりで、作中にちりばめられた諦念や悲哀までは理解できなかったように記憶する。 生物の進化とはすばらしいことだと今でも思ってはいるが、進化の過程から取り残された存在(それが地球人であれ宇宙人であれ)の観念がもの悲しい。 グレッグ・ベアの“ブラッド・ミュージック”と読み比べてみたい。

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