無伴奏ソナタ (ハヤカワ文庫 SF 644)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (411ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150106447

感想・レビュー・書評

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  • SF。短編集。
    短編版「エンダーのゲーム」、「猿たちはすべてが冗談なんだと思いこんでいた」、表題作の3作が素晴らしい。
    魔法や呪いを扱うファンタジー、タイトル通りのホラー、音楽SFなど、多彩な作風も楽しめる満足度の高い一冊でした。

  • SF、ファンタジー、ホラーと幅広い作品が見事に融合した短篇集。これまでに読んだ短篇集の中で、文句なく一番かも。マイベストはやはり後に彼の代表作となる「エンダーのゲーム」。長編よりこちらの方が良いと言う人もいるくらい。「磁気のサラマンダー」表題作の「無伴奏ソナタ」も秀逸。

  • 表題作と、短篇版「エンダーのゲーム」が出色だった。表題作はダークな終わり方だけでなく、全編にみなぎる緊張感がすさまじい。アクションでも何でもないのに、奈落の上で綱渡りを強要されているような、破滅に近づく感覚を味わえました。(逆に、オチ自体は読めるのですがそういう楽しみ方をする本ではない。)
    「エンダー」は、長編版よりこちらの方が冗長にならずにまとまっていて好きです。後にシリーズ化された際の思想的宗教的な雰囲気もあまり好きになれません。

    ところでこの本は絶版になっています。こういうのを絶版にしておくから、SFが売れなくなるんだよ!!

  • 短篇集。
    本書収録の「エンダーのゲーム」は長編化され、ネビュラ賞、ヒューゴー賞のダブル・クラウンに輝いたようだ。長編は未読だが、短篇は冗長になることなく、程よくまとめられていた。途中でオチに気がついてしまったものの、充分楽しむことができた。
    「エンダーのゲーム」に限らず、彼の作品はラストが曖昧だ。
    「いかに登場人物たちが悲惨になろうとも、ハッピー・エンドになっている」と著者はあとがきで言及するが、どうもそうには思えない(少なくとも「呼吸の問題」はハッピー・エンドではないはずだ…)。
    だからといって、面白くないわけではない。いや、とても面白い。

    「呼吸の問題」
    妻と息子の呼吸のリズムが一致していることに気がついたデイルは、その後いくつかの事件を経て呼吸のリズムに関する驚くべき問題に直面する…
    ストーリーもさることながら、何よりそのリズミカルな文体に惹かれた。

    「死すべき神々」
    死ぬことを知らない異星人との接触後、彼らの存在は地球にとって至極あたりまえのこととみなされるようになっていた。しかし、誰一人彼らの目的を知る者はいなかった…その意外な事実とは…
    これは発想を逆手に取った傑作だなぁ。この一作だけを見ても、著者が実に面白い視点を持っていることが窺える。

    「磁器のサラマンダー」
    呪われた少女を助けるためにもたらされた磁器の火蜥蜴。少女を飽きさせることなく働き、そして会話する火蜥蜴に少女は次第と元気を取り戻す。しかし、火蜥蜴が真に少女を助けるとき、少女を待ち構えていたものとは…
    著者の妻との寝物語に紡がれたお伽噺とのことだが、こんな素晴らしい話を聞かされたら興奮して眠れねえよ… 本書で一番のお気に入りです。

    「無伴奏ソナタ」
    音楽の才能に恵まれ、神童と評されたクリスチャンは、森の奥深くで人工的な音、他人の音楽を禁じられて育てられた。自然が奏でる音楽のみ聴くことを許された彼が奏でるメロディは、かつてないほど独創性に溢れていたが……ある日、ついに彼は禁じられた音楽を聴いてしまい…
    適材適所の世界観は「猿たちはすべてが冗談なんだと思いこんでいた」の一場面でも登場した。一見ユートピアに見えるこの世界ではあるが、本作のように実に見事な悲劇を生みだすようだ。

  • 不思議なお話
    失い続けることで真実に到達出来るのかもしれません

  • オースン・スコット・カードの短編集を再読。
    『エンダーのゲーム』のシリーズは21世紀になってから読んだが、原形となった処女作は昭和時代に短編集で読んでいたらしい…記憶にございませんでした

  • スコット・カードの短編集。表題作を含め11編が収められている。短いだけに、一話一話は軽く読み通せる分量であるが、まとまるとそれなりに読み応えがある。長編と違って熱中というわけにはいかないが、ちょっとした気晴らしに読むのに最適かと思う。ただ、内容は気晴らしに相応しいかは微妙だが。

  • こんな社会に誰がした!?


     オーソン・スコット・カード氏、1977~1981年の作品集。このくらいの年代の作品が、好きなことには好きです☆ 二編ピックアップします。

    ★『エンダーのゲーム』
     のちに熟成された長編版が有名になりましたが、個人的には本書収録の原石に惹かれます。単に私が短篇SFと波長が合うのだろうなぁ……☆
     異星人侵略対策で誕生したバトルスクールで、戦闘訓練「ゲーム」を学ぶ少年たちのストーリー。レベルを高めていく過程を「面白いな」と感じてしまう自分もいる。でも、彼らにそう仕向けている社会があってのこと★
    「ゲーム」の最後には胸が押しつぶされそうになりましたが、青くさい言い方をすれば、それがエンダーたちの青春だったのです。

    ★表題作『無伴奏ソナタ』
     他の音楽から完全隔離された状態で作曲していた神童が、ふとバッハを耳にしてしまったことから始まる苦しみ。主人公は音楽から引き離され、楽器を弾けば指を、歌えば…………!!! 成り行きは壮絶。

     どちらの作品にも、「こんな社会に誰がした」と疑問を抱かせられます。当初は苦悩を呼ぶための体制ではなかったのでしょうが、主人公の世代は最初からその社会の一部に組みこまれていて、大きな犠牲を払うのです。
     日ごろ目をそらしている問題の在り処をはっきりさせてしまう、凄まじい短編の集合体です★

     生まれる前から決まってることが多すぎる。そう分かっているのに、うまく疑問を唱えられません。教育という洗脳により、「与えられた環境下で目の前の課題に夢中で取り組む」以外の選択肢をとれなくなっている。それが素晴らしいことのようにさえ感じて。
     であれば、ノンフィクションではなくあえてフィクション、小説という枠で囲って、問題を見つめてみようと選択した一冊です。他の分野でもできるのかもしれませんが、今のところ自分では、SFを読んでいる最中しかできない考えごとがあります★



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    【要約】


    【ノート】

  • 短編集。短編の一つ一つが、バラエティに富み、途中でやめられない面白さ。特に心に残ったのは表題の「無伴奏ソナタ」、もし、心の底から湧き上がる、何よりも大切な望みがあり、それを禁じられた時、何を犠牲にしても、それをしないではいられない、そのようなものがあるのは、幸福なのか不幸なのか。もう一つは「磁器のサラマンダー」、オースンが妻のために作った話だそう。美しい磁器のサラマンダーの、美しく哀しく切ないお話で、心に残った。

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