クローム襲撃 (ハヤカワ文庫 SF 717)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150107178

感想・レビュー・書評

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  • 2021/12/14 頓挫

    2023/07/20 再読する気になってきた。

    • 栗栖摩天さん
      端的すぎて笑ってしまった
      端的すぎて笑ってしまった
      2023/04/16
  • SF。短編集。サイバーパンク。
    『ニューロマンサー』に続いて、2作目のギブスン作品。
    この人の文章は、どうも映像が頭に浮かばない。相性が悪いようだ。
    序文や解説にJ・G・バラードの名前が出ていたが、作品を通した不穏な雰囲気は、つい最近読んだ『ハイ・ライズ』と似ている気もする。
    異形ホラーの「ふさわしい連中」は好き。不気味な雰囲気が良い。

  • 1980年代を席巻したサイバーパンク・ムーヴメントの代表格、ウィリアム・ギブスンの短編集。かの有名な「ニューロマンサー」と同一の世界観に基づく「スプロール」シリーズをはじめとする、当時最高に尖りまくっていた作品を収録しています。

    そう、サイバーパンクなんですよ。90年代に入るとあっという間に消えていった、あのムーヴメント。
    不肖鴨、「ニューロマンサー」は読んだことがありません。同じくサイバーパンクの代名詞とも言えるブルース・スターリングの作品を読んだことがありますが、正直ピンと来ませんでした。この「クローム襲撃」も、音楽で言えば「懐メロ」的な、SF史の勉強がてら読んでおこうかなー、という軽い気持ちで手に取りました。

    ・・・いやいやどうして、王道SFでした。ちょっとビックリ。

    何分にもサイバーパンクの代表的作品群ですから、如何にもサイバーパンク的なデジタルなギミック、ぱっと見のカッコ良さを追求した造語の嵐、とにかくスピーディでカット割の激しいストーリー展開が当然のように押し寄せます。黒丸尚氏のワン・アンド・オンリーな訳文も、そのユニークさを際立たせるのに一役買っています。
    が、そうした表現上の華やかさ、「今風」さをいったん脇に置いて物語世界の骨子をシンプルになぞると、実に直球かつ王道の、古典的と言っても差し支えない端正なSFなんですね。
    鴨が特に感じたのは、未来的でエッジィな社会の中で所在無さげに彷徨する登場人物たちの孤独感。デジタル機器で全身を武装してばっちりキメたつもりではいるけれど、心の奥底に抱える不安を持て余してどうしようもなく焦っている、生身のヒトのもがき。ディレイニーのような、ティプトリーのような、あるいはヴァーリィのような、クールでスタイリッシュでどこか心に突き刺さる作品たちです。

    鴨が気に入ったのは、「ふさわしい連中」「辺境」「赤い星、冬の軌道」「冬のマーケット」「ドッグファイト」あたりですかね。サイバーパンクという前提抜きに、ひとつのSF作品として読んでみてください。心にしみます。面白いですよ。

  • 最高。。。

  • ウィリアム・ギブスンは、彼の頭の中の情景をどれだけ自分の脳内に再現できるかというその独特のセンスにかかっていると思う。

    私はSFは好きだけれども、残念ながらそのセンスを持ち合わせていないのでとにかく彼の世界を断片的にしか理解できない。
    若いときはそれでも、語感の良さだけで受け入れられていた部分があり「なんかよくわかんないけどかっこいいぜ!」というところだけで満足できていたと思うのだけれども、年をとり随分と偏屈になってしまってからは一定の理解がないと満たされなくなってしまっている。

    そんな悲しい現実に改めて直面させられた短編集。
    「ニューロマンサー」はまだ理解できたんだけどなあ。

  • 「ニューロマンサー」を読んで、目くるめくSF仕掛けに翻弄されて、元になったこの作品を読もうと思った。面白かった感で言うと、こちらの方が上。完成度は「ニューロマンサー」が上かな。

    麻薬よりも強力に脳内に作用するソフトウェア、高度に進化した整形というか人体改造、マトリックス世界への侵入、千葉シティ・・・といった「ニューロマンサー」で使われた仕掛けを描いた作品も勿論面白いのだが、一方で宇宙ものの2編もなかなか良かった。宇宙開発はソ連が優勢になるのは、人の命より国家が大事だからなんだろうね。

    もう歳で長編を一気に読む気力が無いのもあるが、SFは短編の方が好きなのかもしれない。

  • 1986年に原作が発売されたウィリアム・ギブスンの短編集。難読サイバーパンクに挑戦。どれも集中して読まないと全く意味がわからなくなり、何周か読んで、やっと意味がわかってくる。
    ということで、まず意味を理解するのに必死で、面白かったより大変だったが先に来るが、何周してでも理解したいと思わせるところがある。
    解説も書いているが、最後の4篇(ニューロールズホテル)からがザ・ギブスン作品という感じらしく、個人的には難易度が更に上がる。ただ、一話完結の短編とは言え、多くの設定や思想はギブスン作品で共通しているので、そのことを理解しておくのがよいと思われる。

    「記憶屋ジョニィ」★★★★☆
    - ニューロマンサーに繋がる話で、同様にサイボーグ的に身体を改造している登場人物たち。情報を頭の中に預かる「記憶屋」のジョニィ。ラルフィから預かった情報はヤクザのヤバイプログラムで、ヤクザに命を狙われることになる。ラストシーンはボディガードに雇った鬼ツヨ女モリイとヤクザが送り込んだ殺し屋とのバトル。

    「ガーンズバック連続体」★★★★☆
    - 写真入り歴史書を作るに当たって写真の撮影を依頼されたぼくは、過去における未来的な建物を巡り撮影をする。その中で存在するはずのない昔デザインされた巨大な飛行物体と、未来都市の幻影を目撃する。それをキーンは記号論的な亡霊だと言う。
    - 昔のアメリカのノスタルジーを楽しむ作品ぽい。ガーンズバックは実在のSF作家らしい。

    「ホログラム薔薇のかけら」★★☆☆☆
    - ギブスンのデビュー作らしく、その後のギブスン作品で繰り返し出てくる電脳系のアイデアが出てくる。
    - ASP(全感覚的知覚)ユニットという装置を使って、記録された情景を体験できる。

    「ふさわしい連中」★★☆☆☆
    - なんじゃこりゃ系な短篇。
    - アントワネットは自在に姿を変えられる。「ふさわしい連中」というバーの機能で、備え付けの人間だった。人間ではない何か。

    「辺境」★★★★☆
    - ファーストコンタクトものSF。かなり難読で繰り返し読んだが、重めで面白い。
    - ワームホール(ハイウェー)を通じて、地球外文明と接触するが、帰還した者は皆死亡しているか、瀕死の狂乱状態になっており、何が起こったのか知ることができない。帰還者は人類の持たない技術情報や生物の形跡(貝殻など)を持ち帰ってくるため、人類にカーゴ・カルト(積荷信仰)の時代が来る。人類はこのルートの開発を試みるが、主人公を含め、多くの人間が心に傷を負うことになる。オルガ消失後、別の宇宙飛行士を同じところへ飛ばしたが、やはり消失した。その後もソ連を送り込み続けていて彼らを肉弾(ミートショット)と呼んでる?帰還者の多くは死亡し、残りは病棟入りが必要な状態。今回もドイツ人学者レニがハイウェーから帰還する。

    「赤い星、冬の軌道」★★★☆☆
    - コスモグラードという宇宙ステーション内で繰り広げられる政治。ソ連はコスモグラードを停止しようとしていて、KGBはコロリョフに薬<恐怖>を盛った。
    - コロリョフ大佐:コスモグラードのリーダー。ソ連で初めて火星に到達した人物。身体的に地球には戻れない。

    「ニュー・ローズ・ホテル」★★★☆☆
    - 産業スパイもの。

    「冬のマーケット」★★★★★
    - 5回読んで★5に変更。新しいテクノロジーが生み出された時、それが思いもよらない方法に活用されることがある、ということに触れているあたりも良い(1985年の作品で!)。
    - 電脳もの。夢をパッケージ化して販売したり、それを脳に繋いだ電極を通じて視聴できる、という世界。ケイシーはあるパーティーで出会った麻薬中毒少女リーゼと直結した(電脳同士を直結すると編集されていない生々しい夢がなだれ込んでくる)。後にリーゼの夢をケイシーが編集して製作した〈眠りの王たち〉が大ヒットする。リーゼは病気か麻薬のせいか死にかけているが、スターダムと電脳不死性(死後も電脳は生き続ける)の野望を持っていて、作品によって野望の一つ目は達成された。ラストシーン、ケイシーとルービンは「もうすぐ(死んだ)リーゼから電話がかかってくるだろう」と話している。
    - 「お前の欠点がなんだか知ってるか。(略)もしそれが新しいテクノロジーだったら、だれもこれまで考えたこともないような領域がそこにひらかれる。だんなよ、おまえはマニュアルを読むだけで、そいつと遊びたわむれたりしない。ほかのだれかがおまえの考えてもみなかったやりかたでそいつを使いこなすと、おまえはすっかり調子が狂う。」

    「ドッグファイト」★★★☆☆
    - 唯一、読みやすかった作品。
    - ディークがふと立ち寄った場所ではミニチュアの飛行機(ドローン的なモノ)でドッグファイトが繰り広げられていた。思考で操作する仕組みになっている。万引きした安物のマシンで勝負に挑むが歯が立たず、偶然出会った女学生のナンスに改造してもらう。しかし、操縦する自分の能力が足りず、ナンスが大切にしていたハイプ(脳の処理能力を上げる薬)を奪い、勝負には勝つが、味方を失う。

    「クローム襲撃」 ★★★★★
    - 「楽園追放」にて既読。デジタル空間を通じて、超危険人物クロームのICEを破り、大金を奪うカウボーイたち(ハッカー)の話。

  • タイトルの「クローム襲撃」と冒頭の「記憶屋ジョニィ」は「ニューロマンサー」とのつながりがあるので面白く読めた。
    他の作品はイマイチ頭に入ってこない(というかイメージができない)。

  • 短編であるが故か、訳者が違うからか(一部は同じ人の翻訳だけれども)、ニューロマンサーほど引き込まれるものはないな……と思って読んでいたけれど、表題作のクローム襲撃は表題になるのも納得の面白さ。記憶屋ジョニィに出てくるサイバネティク海豚のシュールさ、物悲しさ。至る所に出てくる日本製品に、この頃の日本は輝いていたんだなとちょっと悲しくなる。ドッグファイトのヒロインの子、可愛かったのになー。

  • いやー作画がマジで完璧に映画で読んでてとにかくヴィジュアル面が楽しい。筋はイマイチよくわかんないものがほとんどというか、そこを追ってないから分かってないんだろうな。絵ばっかり見てた。色んな映画のトレーラーを細切れで見てるみたいな。

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著者プロフィール

ウィリアム・ギブスン
William Ford Gibson
米国のSF小説作家、脚本家。1948年、サウスカロライナ州コンウェイ生まれ。1984年発表の「ニューロマンサー」(ハヤカワ文庫刊)で長編小説デビュー。本作のヒットによって〝サイバーパンクSF〟と呼ばれる文学ジャンルが確立した。以後、「電脳」三部作、『ディファレンス・エンジン』、「橋」三部作など数多くの著作を発表している。ハリウッドからも早い段階から注目されていたものの、彼の原作である『ニューロマンサー』『クローム襲撃』なども映画化の案アナウンスは出るものの実現にはいたらなかった。ギブスンの関わった映像作品には以下がある。脚本を執筆した映画『JM』(1995)、短編『ニュー・ローズ・ホテル』を原作とした『ニューローズホテル』(1998)、テレビシリーズ『X-ファイル』の2エピソード(「キル スウィッチ」「ファースト・パーソン・シューター」)の脚本を執筆している。

「2022年 『ウィリアム・ギブスン エイリアン3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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