- Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150108236
感想・レビュー・書評
-
ル・グィンの処女長篇にしてハイニッシュ・ユニバースシリーズの第一作。全世界連盟より派遣され、未開の惑星であるフォーマルハウト第二惑星へ調査官として訪れたロカノン。連盟に敵対する勢力に仲間を殺され取り残されたロカノンが、惑星の住人たちと共に旅する。SFのようなあらすじだが、ファンタジー色が濃く、様々な種族や風虎などの魅力的な生物が登場する。神話のような美しい短篇「セムリの首飾り」から始まるこの物語だが、SFとファンタジーの融合がここまで上手くできるのは彼女のなせる技。続けて辺境の惑星を読み進めていく。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初々しさはあるが基本的な作風は既に確立している
表紙 6点萩尾 望都
展開 6点1966年著作
文章 7点
内容 760点
合計 779点 -
『ハイニッシュ・ユニバース年代記』の第1作。『風の十二方位』に収録された『セムリの首飾り』が本作のプロローグとなっている。
長編というには短めの仕上がり。同じシリーズの『闇の左手』などと比べると厚みは半分以下だが、その分、プロットもシンプルですっきりしている。
SFというよりはファンタジーに近い読み心地で、ハヤカワのSFじゃなくFTでも違和感は無かったw -
はるかな未来の宇宙、フォーマルハウト第二惑星。高度な知能を有する生命体が、複数の種族存在する星。
その惑星に、全世界連盟から派遣された調査隊。通常の手段では、連盟の人々に通信が届くまでに八年もかかるような辺境の星で、平和的な調査のためにやってきたはずの彼らは、突然の攻撃にあい、隊長のロカノンを残して全滅してしまった。
連盟に仇なす勢力が、この未開の地の一種族を利用して隠れ蓑にし、兵力を固めようとしている。そのことを知ったロカノンは、通信手段を求めて、いまだ知られざる辺境の地を、命を賭して旅をする……。
これまで読んできた同じ方のほかの本に比べたら、最初が少しとっつきにくい感じはあったのですが(あと登場人物がちょっと多くて、自分の記憶力のなさに失望した)、中盤以降、ぐいぐい引っ張られて読みました。
風虎という、翼の生えた虎さんを乗り物に、空を飛んで移動する場面が多いんですけど、そこが個人的にツボでした。天馬じゃなくて、虎なところが。ロマンですよね(力説)
途中、とても神々しい姿をした人種が登場するんですけど、外見は美しくて神秘的なのに、知能や行動パターンが昆虫のような感じで、そのギャップにすごくぞぞっとしました。
序盤から逆境に置かれ、それを挽回できる可能性は、敵の手中にある装置だけ、という苦しい状況から始まるストーリー。まさに苦難の旅、という感じなのですが、作品全体に通じる悲しみというか、徒労感のようなもの、やるせない感じが好きです。
闇の左手、所有せざる人々などの、ほかのSF作品と、基本の世界観を共有している作品でもあります。
この方の本は引き続き、ちょっとずつ集めていこうと思っています。 -
2009/3/16購入
-
神話とSFが混ざった独特の雰囲気が好き。『風の十二方位』でプロローグの部分を読んだ時はロカノンがここまで動くとは思わなかった。
-
有名なル・グウィン女史の作品です。最後の方があっさりし過ぎているような気もしましが、それでも面白かったです。この方の書く話は、必ずしもハッピーエンドではなく、幸福の中にも悲しみが(あるいは悲しみの中にも幸福が)あるところがいいです。
-
買ったけど未読
-
ル・グィンの小説の中では、
ゲドシリーズに並んで好き。