- Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150113490
作品紹介・あらすじ
連邦の誇る無敵艦隊は、アウスターの大軍勢を前に苦戦をしいられていた。高度な予測能力をもつ独立AI群「テクノコア」の助言を信じ、連邦は対アウスター戦にもてる戦力のすべてをそそぎこむ。だがそのころ、惑星ハイペリオンを訪れた人々の眼前では、ついに「時間の墓標」が開き、驚くべき光景が展開されていた!はたして彼らの運命は?そして戦いの帰趨は?壮大な物語は、ここに驚異のクライマックスを迎える!英国SF協会賞・ローカス賞・星雲賞受賞。
感想・レビュー・書評
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ー “来世というものはあるのかしら。目が覚めてみたら、すべてが夢だったなんていうことがあるのかしら。きっとあるわよね、人間というものは、こんな苦しみを受けるために創られたんじゃないもの”
ああ、ファニー、きみは知らなかったんだ!人はまさに、そのような苦しみを受けるために生まれてきたことを。つまるところ、人が自意識と呼ぶものは、苦しみの波濤のあいまに生じる澄んだ潮だまりにすぎない。人はみな、みずからの苦しみに耐え、それを抱きしめるように創られている、運命づけられている。そう、狼の仔を腹に隠したスパルタ人の泥棒がその仔に腸を食いつくされるように。 ー
やっと4冊読み終わった。長かった…。
SFの全てが詰まっているとは、まさにその通りで、ありとあらゆるSFの構成要素がこの作品の中にあり、それでいてとっ散らかることもなく素晴らしい結末まで一気に読ませてくれる傑作。
もう、とにかくすごい!
300年後が舞台の『エンディミオン』と『エンディミオンの覚醒』全4冊が残っているのでまだまだ終わりそうにもないな…。
しばらく時間をおいて読むか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何よりも冒頭にショックがある。前作「ハイペリオン」はこの書き手の夢の中でのことだというのだから。(同じレベルのショックを続編の冒頭でもやられる。しかし、まったく違う方法で。)
想像力、というもののすごさについて考え込んでしまう話だ。トールキンの「指輪物語」もすごいけれど、あれは歴史、言語に秀でた人による作品である。こちらは想像力に秀でた人による作品である。おかげで精霊のようなものもオークのようなものも登場するけれど、まったくその形が伝統的ではない。恐ろしい想像力だ。
翻訳の単行本が出る時はまだかまだかと思い、出版されるや続きを読んだ。今回は「続けて」読んだ。おかげで細部を忘れることなく読むことが出来た。すごい話だ。
とはいえ、現状の人類はたかだかこのレベルである。紛争のひとつも解決できない。もしもこんな人類がこの本に出てくるような事態に対処しなければならないとしたら、目も当てられないな、と思う。それだけは確かだ。
さて、文庫だからこそかもしれないが、続いて続編「ハイペリオン」に進みたい。ここで登場するヒロインが無茶苦茶キュートなのだ。しかも、前作からつながる重要な人物につながっているのだけれど。 -
『ハイペリオン』二部作完結編。ついに開かれた<時間の墓標>と巡礼者の運命。驚異と怒涛のクライマックス。
まさに怒涛。あらゆる要素がてんこ盛りで、それらを緻密な構成力でまとめ上げていて頭がパンクする。絶望的な危機にハラハラしながら、謎も伏線も見事に回収されていく展開にただただ圧倒されてしまった。これはもう一度最初から読み直す価値がある。初見ではよくわからなかったあの箇所はそういうことだったのか、というのがたくさんあるはずだ。
テーマにしても色々なものを含んでいるので単純に語れないが、個人的には「人間とAIと神」の関係というか、そのあたりを深くツッコんでいるお話が、今もって新鮮に感じられた。あと、聖書のアブラハムの息子の件について、明確な結論を出しているのも興味深い。モチーフになっている詩人キーツにしても、読む側に素養があればもっと楽しめたのかもしれないが汗、とにかく詰め込まれている要素が多様で、その物量とクオリティに圧倒され続けた大作だった。広げた風呂敷の壮大さ、畳み方の巧みさ、すべてが一級品の贅沢な小説。 -
ハイペリオンのその後が描かれていてハイペリオンの消化不良が解消された感じ。
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マイナ・グラッドストーン萌え。
ばばあに萌えたの初めてだ。
なんてかっこいい老女だ!!
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ハイペリオンの没落〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
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もうね、「没落」の下巻は凄すぎました。
<コア>は人類の脳を利用してるのかな、とは早々に思いました。
けれど、アウスター艦隊の正体もコアだというのは、うげー、と声が出ました。
まさか、そこまでの展開になるなんて、思いもしなかった。
しかもその時点で、まだ残り頁数は半分近くあるでしょう。
もうねー、まだ続くんかい、と。どこまで行くんだ、と。
そして、「オールドアース」は、実は「アース」でしょう?
本当に、心の底から楽しめた作品でした。
6人の巡礼、グラッドストーン、キーツ。
これらの主要人物たちの魅力的なことも素晴らしかったです。
なんというか、「万人に愛されるキャラクタ」では無い。
けれど、とにかく気になるのですよね。その存在や立ち振る舞いが。
Story-tellingの巧みさにも舌を巻きました。
構成力の巧みさとか、展開の妙とか、もう素晴らしすぎました。
視点の切り替え方とか、気の持たせ方とか、本当に凄かった。
ホイト神父の話は、なんか浮いてんじゃないかな、と思ってました。
けれど物語が進むにつれ、壮大な伏線だったと気付くわけですよ。
この伏線の張り方と回収の仕方!見事すぎて言葉もありません。
他にも、いろんな伏線とその回収の応酬があって、ワクワクしっぱなしでした。
<ウェブ>の発想なんかも凄いですね。
まさに、現在のWWWが進化したらこうなるかも、と思いました。
あと、<雲門>の存在ですか。
ちょうど、禅にハマりかけてるので、余計に楽しんで読むことが出来ました。
やっぱ、禅はこれからの主流になってくるのかなー、なんて思ったりして。
演出も本当に上手くて、ゾワゾワくる場面ばかりでした。
全ての転位ゲートを破壊するところなんて、もう最高でした。
グラッドストーンの演説の格好良さと言ったら!堪りません。
レイミアがシュライクと対決する場面も凄かったです。
でもやっぱり、「シーユー・レイター、アリゲイター!」ですね。
もうボロ泣きですよ。30手前のいいおっさんがボロ泣きですよ。マジ泣きですよ。
いやー、もう本当に素晴らしい作品でした。まさに金字塔。
大森望氏の解説によれば、本書はSFの美味しいところを詰め込んでるらしいです。
ぼくは純粋なSF者でも無いので、元ネタは殆ど分かりませんでした。
だから、余計に楽しめたのかもなー、なんて思います。
と言うわけで、すぐにでも「エンディミオン」を読みたいのです。
けど、売って無かったんです。「没落」と一緒に買おうと思ったのに。
やっぱあれですね、ピンと来たら迷ってちゃ駄目だな。
自分の感性を信じなきゃね。 -
面白かった。これがネビュラ賞を取れてないなんてどうなっているのだろう。しかし、解説読んで、納得。非常に人気のある話しだった。しかも、このつぎのエンディミオンはもっとおもしろいらしい。楽しみ。
シーユー・レイター・アリゲーター、インナ・ホワイル・クロコダイル このセリフでほろりと来てしまうとは。思いもよらなかった。 -
ハイペリオンの没落〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)