エンディミオンの覚醒 上 (ハヤカワ文庫 SF シ 12-7)

  • 早川書房
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (703ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150114237

作品紹介・あらすじ

人類がカトリック教会、パクスの支配下におかれた32世紀。惑星ハイペリオンの青年エンディミオンは、老詩人サイリーナスの依頼で"時間の墓標"から現われた少女アイネイアーをパクスの手から守りぬき、地球にたどりついた。それから4年、アイネイアーは、人類の救世主たる自らの使命を果たすべくパクス支配領域への帰還を決意する。そして彼女と行動をともにしてきたエンディミオンもまた新たな冒険へと旅立つが…。

感想・レビュー・書評

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  • 『エンディミオン』に続くシリーズ第四弾。オールドアース到着の4年後、エンディミオンの新たな冒険が始まる。

    前作までの大冒険の末、たどり着いたオールドアースにて4年を過ごした一行。少女アイネイアーが12歳から16歳へ成長する姿を見守っているのかと思ったら、いつしか弟子のような立場になってしまっているエンディミオン。やがて人類の救世主として立つべき彼女の存在感は圧倒的なものになっていた。互いに惹かれあいながらもまだ男女としての関係がはっきりしないまま、エンディミオンは一人での旅立ちを命じられる。

    今度は一人で冒険することになり、前作のような転位をしつつ、これまで以上にとんでもない目にあう。ネタバレは避けるが、あの痛みの正体があんなものだったとは……リアルすぎる(汗)。さらに満身創痍になってボロボロになるエンディミオン君が心配になる。

    一方、引退したデ・ソヤ神父大佐が呼び戻され、前作での失態を許されて戦線に復帰するものの……。パクス軍は一枚岩ではなく、その周辺の組織も含めて謀略の限りが尽くされるあたりが読みどころ。

    仏教世界を再現した〈天山〉でのアイネイアーの説教はまさに哲学。作者はもともと途方もない博学なのだろうけれどアメリカ人なので、東洋の哲学や仏教については本当によく勉強したものだと思う。愛の力が、強い力、弱い力、電磁気力および重力に並ぶ、宇宙の力の一つなのだという発想が面白い。AIに宿る魂とキリスト教の教義を兼ね合わせた、つまり科学と宗教、SFとスピリチュアルの融合された論説が本作の魅力の一つだろう。

    ナノテクノロジーの展開とアウスターの正体についても衝撃。AIと人類の「共進化」という関係について言及されるあたり、1997年刊の本作は今こそ読み直されるべきテーマを語っていると思う。

  • 下巻にて感想

  • エンディミオンの覚醒〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)

  • 感想は下巻でまとめて。
    それにしても分厚い・・・電車の中で片手で読むには手首が辛い(^_^;

  • 新刊の単行本でも買いたくなる面白さ 完結
    表紙   7点生籟 範義   酒井 昭伸訳
    展開   8点1997年著作
    文章   8点
    内容 811点
    合計 834点

  • いじめっ子は一度いじめられる経験をしたほうがいい、そうすれば他者への思いやりの心が生まれる

    それを人類全体に拡大したのが
    この本のラストに起きたことだ

    レイプされる人間とする人間等々、あらゆる人々の精神がつながって究極の共感感覚が訪れる、

    そして人類はあらたなステージへと進化する

    本当にそうだろうか

    人は自転車に乗ったり車に乗ったりする

    自転車に乗っているときは車に対して
    車に乗っているときは自転車に対して思いやりがない

    簡単に書くと「邪魔だ」と思いながら双方運転している

    この心境の変化は乗り物を乗り換えた瞬間におとづれる

    立場が変わった人の心理は変化する
    過去の経験は一瞬で忘れ去られる

  • 「エンディミオンの覚醒」ダン・シモンズ/酒井昭伸 訳
    SF叙事詩。ラピスラズリ。
    ハイペリオン4部作の第4作。

    パクス-〈コア〉と〈教える者〉アイネイアーの対峙が混乱を増しながら、新たに登場してくる舞台役者たち。
    はじめは少し"本筋から脱線"しているようで焦れったいかもしれませんが、全てはハイペリオン4部作を畳みきるエンディングに向かっていきます。
    ここまでの3作をすら足場にして築き上げられる多層的、多相的、多元的な宇宙の織地…。
    この年になってレビューでこの形容を使うのはこっ恥ずかしいが、これ以上に最適な形容がないから仕方ない。
    「愛は時空を超える」物語です。

    僕は小説を読んでいて感動して鳥肌立ったページの端を折る癖があるのですが、
    本作下巻の最後200ページ超、ずーっと鳥肌立ちながら読了です。
    それも2度目の再読なのにもかかわらず。
    ハイペリオン4部作は本当に神懸かっていると思います。
    "これまでSFを読んできたものへのごほうび"(大森望さん)とか、「最終小説」(夢枕獏さん)とか、大絶賛ですが、、本当に自分のレビューじゃ筆舌に尽くし難いスケールの傑作。
    フィロソフィーではないでしょうか。オールマイベスト。(5)

  • 泣きました。こんな終わり方あるんですね

  • 超大作の完結。やや残酷なシーンがあるので苦手な人は注意。宗教観や倫理観を絡めうまくまとめている。魅力的なキャラクター。

  •  エンディミオンシリーズの完結作開幕。
     それにしても分厚い^^;

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