真空ダイヤグラム (ハヤカワ文庫 SF ハ 9-9 ジーリー・クロニクル 2)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150114305
#SF

感想・レビュー・書評

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  • プランクゼロは宇宙に進出した人類が地球外の生命体と出会う話が続いたが、今度は宇宙に住み着き進化の道を辿る人類と、宇宙そのものの運命という壮大な億光年単位の物語になっている。
    小さな悩みにクヨクヨした時はこれを読んで大きな気持ちを持つといいと思う。

  • 真空ダイヤグラム―ジーリー・クロニクル〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

  • 前作に比べ、中々話についていけませんでした。読んでてしっくり来ないという感じがします。
    本来この短編集は、幾つかの長編の間を埋める物なのですが、その長編をすっかり忘れているせいかもしれません。また、ある種、想像を越えた技術や考えの元に書かれているせいかもしれません。
    最後の3編まずまずです。敗退し、閉じ込められた人類が退行し、その中で一部の者達が挑戦し、旅立とうとする。ちょっとファンタジーめいた雰囲気で、希望をもって物語を閉じました。

  • あまりに壮大なスケールにいい意味で唖然とする
    表紙   5点撫荒 武吉   小野田 和子訳
    展開   8点1997年著作
    文章   7点
    内容 750点
    合計 770点

  • 期待通りのサイドストーリー

     今回は謎解きがキーワードだ。

     前半と後半でまったく違うのが驚きだ。スケールの高さというよりも、過去の長編の謎解きがなされている作品集である。

     バクスター・ワールドに慣れた私は結末が読めたのだが、バクスター・ワールドの奥の深さはまだ衰えていない。

     いやぁ、再読できる作品集だ。

    作品は以下の通り。

    第四部:人類、同化の時代

    ゲーデルのヒマワリ
     秀作といえるがインパクトはない。ジーリーの巨大データバンクってオチだが、回りくどい。

    真空ダイヤグラム
     表題作。イマイチなんだが、ここで登場する最期の人類ポールはあとの作品で非常に重要な位置をしめることになる。

     未来から送られたジーリー種族のゆりかごの上に人類は文明を築くが、ジーリーの意図には気づかない。すでにジーリーは時間を操作して暗黒生命との戦いに備えていたという話。


    第五部:人類対ジーリー、最終闘争の時代

    密航者
     彼のデビュー作「天の筏」からの抜粋のようだが、面白くない。これを読んだだけで「天の筏」は読む気がうせる駄作。酷評だが、付け足しの感が否めない。

    天の圧制
     こっちは「フラックス」からの抜粋。超重力場での生き残りを賭けた人類の話。「竜の卵」を思わせる設定はぜひとも読んでみたいと思わせるが、あまり期待できないようだ。

    ヒーロー
     だからどうしたって感じの実験作。スーパースーツでスーパーマンになるという話。あまりにあっけない感想だが、それ以外には思いつかず。


    第六部:ジーリー、他宇宙への飛翔

    秘史
     ジーリーが暗黒生命に敗北し、別宇宙へ脱出したあとの物語。アンチ・ジーリーやポールの役割が描かれている。そして、クワックスが再度登場することになる。つなぎをなす作品だが、これがないと次からがわからない。


    第七部:フォティーノ・バードの最終勝利

    <殻>
     この作品以降は長編といえる。がらっと趣が変わる。

     主人公はジーリーの箱舟計画の中で生きる最後の人類だ。四次元体に閉じ込められ、大いなる文明の退化を余儀なくされる。ジーリーに戦いを挑んだ影はもうなく、ジーリーの情けで別宇宙へ旅立つことを期待されて幽閉された人類。

     そのスタートがこの作品だ。

    八番目の部屋
     ついに、最後の人類は宇宙へ通じる接点を見つける。最期の人類であるポールの助けを得て、宇宙へと飛び出すというハッピー・エンドを暗示する作品であると同時に「時間的無限大」のラストの謎を解く鍵がここにある。

    バリオンの支配者たち
     まさか。バリオン種族であるクワックスが再び登場する。しかし、ポールの力を借りて最後の人類は別宇宙へと旅立つのだった。

     ポールの位置付けがはっきりする反面、マイケル・プールがどうなったのかがさっぱり不明に終わる感じがいただけない。

     読者としては、プールはポールだったと考えるのが自然だろうと思う。そう考えないとつじつまが合わない。

     それにしても「時間的無限大」は最高傑作だと思う。


    エピローグ:イヴ

     そしてイヴの正体が明らかにされる。想像とおり、「プランク・ゼロ」でブラックホールに吸い込まれたプランク・コンピュータである。

     プロローグで語られるシルバー・ゴーストの実験の話に戻る。それは結果的にイヴを破壊する実験だった。実験は失敗に終わる。バリオン種族であるシルバー・ゴーストも暗黒生命には敗北することになる。

     そして最後には、ジャック・ラウールとその亡き妻イヴが互いに助け合いながら余生を送るというハート・ウォーミングなエンディングが待っている。SFっぽくないな、ここ。

     とにかく本作は謎解きだ。これを辞書代わりに「時間的無限大」を再読すればもっと面白くなりそうだ。

     ラストでマイケル・プールが見た「透明な箱から出てくる石器時代の人類」とはジーリーに幽閉されていた人類だった。そして、プールはクワックスと戦いながらその人類をジーリーが切り開いた「虚空のリング」をとおって別宇宙へ送り出す。

     アンチ・ジーリーとはなんだったのか? それこそプールそのものであると考えてもよいものか?

     ジーリー・シリーズはこれで一件落着。本当にすばらしい作品群だ。

  • 出落ち感がハンパない。
    手を広げすぎて回収出来ずに終わった感じ。

  • シリーズ全2巻。ハードSF短編連作。こっちは後編なので前編「プランク・ゼロ」から読むと良いです。
    宇宙の終焉と人類の再出発。とんでもなく壮大ながら舞台構成・描写がとことん緻密で素晴らしい!
    特にラスト近辺はぞくぞく。一気に読み進められる引力があるよ!
    シリーズのお話にリンクする長編もあるらしいので読んでみたいな。ともあれFavorite!

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