ホミニッド: 原人 (ハヤカワ文庫 SF ソ 1-9 ネアンデルタール・パララックス 1)
- 早川書房 (2005年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (519ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150115005
作品紹介・あらすじ
クロマニヨンが絶滅し、かわりにネアンデルタールが進化した世界で、量子コンピュータの実験をしていた物理学者ポンターは、不慮の事故でいずこかへと転送させられてしまった。一方、カナダの地下の研究所で実験を行なっていたルイーズは、自分の目を疑った。密閉した重水タンクのなかに異形の人物がいきなり出現したのだ!並行宇宙に転送されたネアンデルタールの物理学者の驚くべき冒険とは…?ヒューゴー賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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SF。人類学。並行宇宙。
テーマが好きすぎる。
SF的なアイディアも面白いが、法廷ミステリ的な要素もあり、ストーリーも面白い。
これはシリーズ全部読もう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カナダのニュートリノ観測所の重水タンクの中、いきなり男性の体が出現した。引き上げてみると、なんとそれはネアンデルタール人だった。ホモ・サピエンスが絶滅し、ネアンデルタール人が文明を築いている並行世界から転送されてきた彼。姿はもちろん、考え方や社会構造、性のあり方までまるで異なる人類間の邂逅で大騒動に。
ミステリでそうであるように、設定のリアリティは置いておいて、そこを起点に織りなされる展開を楽しむのがソウヤー作品の読者の嗜み。異種人類との対比で相対的に我々自身や社会のおかしさが浮き彫りにされる。異種間で芽生えるほのかなロマンスは、はからずもネアンデルタールとサピエンスが交雑していた近年の発見を連想させる。 -
初ソウヤー。
面白かった。ネアンデルタール人が生きていて、科学技術を発達させていた平行世界。宗教の有無や言語、親族関係や裁判の社会制度など、遺伝子プールの浄化など別の宇宙人ではなく、地球と同じ環境で、ほぼ似た生物が進化していたら、こんな感じなんだろうなと思わせる。
人類よりも知性があり社会性のある優しい生物、ネアンデルタール人とサピエンスの違いと、意識の分岐点など、そしてなぜ彼らが居なくなってしまったのかなど、数万年前に思いを馳せることができてワクワクする。
p307「えーと、穀物からつくった食べ物ね。こちらの世界の人びとは、たいていはパンとか米を主食にしているの」「植物だけで六十億の人びとが快適にすごせているのですか?」「いえ、そうでもないわ。五億ほどの人びとには充分な食べ物がないの」「それはとても悪いことです」
p319「ぼくの世界では、なぐるということは殺すということです。ですから、ぼくたちは絶対におたがいをなぐりません。」
p339「いったん死んでしまったら、その人と仲直りをしたり、その人に償いをしたりすることはできませんし、そもそも道徳的な人生を送ったのですから、その人が現世の苦労を忘れて楽園にいるという可能性もありえないんです」
p387「ぜんぶ」ポンターはゆっくりと、悲しげに首を横にふった。「マンモスをぜんぶ殺したのですか…」
「あなたたちは思うままに殺す」「あなたたちがぼくたちを全滅させた」 -
良いですね。壮大なるほら話。やっぱりSFはこうでなくっちゃ。
いわゆる並行宇宙もの。使い古されたテーマですが、何となく新鮮なんですよね。それはソーヤーが描いてみせるネアンデルタール人の世界の新しさでしょう。
ソーヤーというともう少し突拍子も無いというか、ファンタジーに近い世界が多いと思っていたのですが、今回はいかにもSFという感じです(考えてみれば、この話も十分に突拍子も無いのですが)。それも1970年代の感じでしょうか。どこと無くJ・P・ホーガンを思わせるものがあります。
3部作かな。次が楽しみです。
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分厚い3部作 読み易いが設定に無理がある
表紙 5点岩郷 重力 内田 昌之訳
展開 6点2002年著作
文章 6点
内容 715点
合計 732点 -
人間社会のおかしさを、原人の声を借りて語っているのがおもしろい
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地下深くで量子実験をしていた科学者は密閉された重水タンクの中に異形の人物が出現したのを発見する。
もしネアンデルタール人とクロマニョン人が違う進化を辿っていたら -
キリスト教色が強い