- Amazon.co.jp ・本 (655ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150115937
感想・レビュー・書評
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次作が読みたい、長さを感じさせない面白さ
表紙 6点岩郷 重力 フレッド 金子 浩訳
展開 6点2004年著作
文章 7点
内容 645点
合計 664点詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『シンギュラリティ・スカイ』の後日譚。同じ宇宙の、別の事件。だから前作を読まなくても大丈夫。
この作品の舞台は、ネットワークから生じた超絶的AI、エシャトンが地球の人類を一瞬にしてちりぢりに様々な惑星に移してしまい、それから何百年かして、宇宙中に人間のいろんな「国」ができているという設定。超光速航行も可能だが、それによって因果律を破ること、すなわち、時間を逆行することは、過去に戻ってエシャトンを抹消することも可能なため、エシャトンはこれを禁じている。この宇宙ではエシャトンがまるで神のように背景にいるのだ。だが、エシャトンは神ではないから、天使がいない。そこで人間をエージェントに雇って、人間世界に干渉するのだ。
今回は何者かがその時間を弄ぶ技術を使って、モスコウなる世界の恒星の核だけ時間を進めて、冷え切った鉄の状態にして一気に恒星を新星化させてしまう。そこで生じた衝撃波をアイアン・サンライズと称する。その衝撃波から逃れる避難船の乗客である少女ウェンズデイがゲスト主人公。彼女はその陰謀の証拠となる何かをつかんでしまい、命を狙われる。ところがどっこい、ウェンズデイはあまり自覚もないままエシャトンのエージェントになっているのが冒頭で明かされている。
もちろん真の主人公は前作に引き続き国連査察官レイチェル。それからいまや彼女の夫となった技師マーティン。彼は前作ではエシャトンのエージェントとして活動していた。
敵はあからさまにナチスをモデルとした危険な「国家」なのであるが、終盤に向けて、我らが主人公たちとその「国家」の特殊工作部隊が豪華星間客船に乗り合わせるという『ダイ・ハード』みたいな展開になっていく。ところが、役者が遙かに多いのが曲者。何が起こるか読めない。
めちゃくちゃな『シンギュラリティ・スカイ』は、映画化するなら、テリー・ギリアムか、ティム・バートンあたりを起用するほかないが、本作ならオーソドックスなハリウッド監督でも手に負えそう。そこが美点でもあり、また弱点でもある。このハラハラドキドキのストーリーに『シンギュラリティ・スカイ』の破天荒さが加わったらそれは凄いことになるのだが。 -
// memo
こんな話を考えているのはエリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー『機械との競争』(日経BP社)を読んだから。話は簡単で、機械が性能があがってきたのでどんどん人間の職をうばいつつある、というもの。最近のアメリカの不景気や失業はそのせいだ、なんてことが言われているんだが……。
ブリニョルフソンはマサチューセッツ工科大学のえらい教授だ。それだけに、こんな詰めの甘い本を平然と出せたことに、ぼくはびっくりした。いまのアメリカの失業って、どう見てもリーマンショックに伴う景気停滞で大量発生したものだ。機械の性能があがったせいも、多少はあるかもしれないけれど、ほとんどはちがうはず。ところがこの本、景気のせいもあるかも、と冒頭でちょっとふれたきり、あとはずっと機械が人間の職を奪うという脅しばかり。でも、そうなる必要はない。 -
前作に比べて、良くも悪くも取っつきやすくなった。『シンギュラリティ・スカイ』が読み切り漫画だとするなら、こちらは連載第一回目という印象。続編が楽しみ。
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前作の主役であるマーティンとレイチェルも出てくるも、主役は16歳の少女ウェンズデイ。彼女に美味しい所をほとんど取られちゃってます。前作ではSF的ガジェットが溢れんばかりだったけれど、今作では控えめ。まあ、その分読み易いのかな。
そしてやたらと日本食が出てくるのが面白い。著者は日本が好きなのか?
あと、作風とは関係ないのだけど、誤字脱字が目立った。普段あんまり気にならないんだけど、今回は特に気になったな。それだけ多かったということ。 -
凄くわかりやすい筋立てです。
映像かすとおもしろそうだと思ったのですが、
根本となるSFの部分が映像では説明しきれない。
読んで楽しむのに最適な小説です。 -
チャールズ・ストロスの長編SF小説です。
シンギュラリティ・スカイの続編ですが、話しとしてはこっちの方が分かりやすかったですね。専門語・造語の嵐も前作ほどではないですし。
次から次へとページをめくる魅力に溢れた逸品でしたが、前作主人公達と本作で正体が明らかになる某キャラの活躍を期待していただけに、少し肩すかしを食った気分かな^^;