天の向こう側 (ハヤカワ文庫 SF ク 1-43)

  • 早川書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150115999

作品紹介・あらすじ

はるか下には緑の地球、そして上には星々の輝く大宇宙…赤道上空22000マイルの軌道上に浮かぶ宇宙ステーションで働く人々の哀歓を、豊かな科学知識をもとに軽やかに謳いあげた表題作をはじめ、最新のコンピューターを使って、90億もある神の名をすべて書きつくそうというラマ僧の目的は…「90億の神の御名」、ヒューゴー賞短篇部門受賞に輝く「星」など、巨匠クラークが本格SFの真髄を伝える、珠玉の14中短篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 1947年から1957年に書かれた短編集。

    荒廃して住めなくなった地球を捨て住める星に移住する、その最後の日を幼い子供の目で描く「諸行無常」。300年地球からの連絡のない移民星「サラッサ」に地球からの宇宙船が不時着するが、それはさらに遠い恒星への途中だった。打ち捨てられたままの移民星を描く「遥かなる地球の歌」がよかった。



    1958発表
    1984.6.15発行 1991.7.31第7刷 図書館

  • 1947年~1957年の初期作品を納めた短編集。「九〇億の神の御名」「密航者」「天の向こう側」「暗黒の壁」「機密漏洩」「その次の朝はなかった」「月に賭ける」「宣伝キャンペーン」「この世のすべての時間」「宇宙のカサノヴァ」「星」「太陽の中から」「諸行無常」「遥かなる地球の歌」の14篇を収録。

    古さを感じさせないところが凄い!

  • このSF小説は、地球の宇宙にある「宇宙ステーション」に暮らしている人々の話に短篇がついています。

  • 天の向こう側 (ハヤカワ文庫SF)

  • まだ一篇目しか読んでいないけれど、
    読んでいる途中からずっとぞくぞくして、
    読み終わったときに「すごいものを読んだ」と思った。
    こういう瞬間が、三年に一度くらいあるから、読書はやめられない。

    これは、小川一水の『老ヴォールの惑星』を読んだときに
    抱いた感動と近い。
    たとえば星新一なんかもSFの名手で、しかも短編の名手なんだけれども、
    ぎりぎりまでそぎ落としたところで
    アイディアをぽんぽんと矢次早に提供してくるので
    すごっ、おおこれもすごっ、はあ、すごい、終わった、すごかった。
    と、ジェットコースター的な楽しみ方になってしまうのだけれども
    この短編には余韻がある。

    以下完全ネタバレあらすじ。


    チベットの僧院から、スーパーコンピュータを設置してほしいという依頼がくる。
    数値を計算するのではなく、文字の組み合わせを計算してほしいと。

    理論上九桁までの、彼らの使うところの文字の組み合わせの、ありとあらゆる可能性を計算で叩き出せば、
    そのどこかに必ず「神の名前」がある、と彼らはいう。

    コンピュータとしては一週間ほどでできてしまうかんたんなことなので、技術者がふたり、チベットに派遣される。

    しかしなぜこんなことをするのだろう?何になるんだろう?

    そう思う彼らに、ひとりのチベット僧がいうには、
    「神の名前がわかったときには、世界が終わる」。

    技術者たちは、
    「計算が終わった時に何も起こらなくて、その混乱のなかで自分たちが責められるのも、彼らが落胆するのも見たくはない」と、
    計算が終わる前にチベットを去ることを決意する。

    そうして乗り込んだ飛行機は無事に離陸し、
    そろそろ計算が終わるころだな、とふと窓の外を見ると
    星々が消滅していくのをみた。

    というお話です。
    なんて美しい話なんだ。なんて壮大で、無慈悲なんだ。
    宗教と技術という一見親和性の低そうなものをコントラストを生かし切って書いているのがすごい。
    ちなみにあらすじを聞かせたら母は「こわい!」と言っていました。
    こわいだろうか。

    個人的にはこの短編の一つを読んだだけでも、
    ああ本を読んでいてよかった、と思えるレベルに好みでした。

  • クラークの短編集

     なんと1957年の短編集。アイデア一本勝負のSFだ。

     最後の数行でオチをつけるという感じの短編集だが、それがあまり決まっていないものが多い。当時は先鞭だったのだろうが、今となっては「どこかで見た感じ」と感じる。

     洋モノ星新一ってな感じの本作だが、長編の元になる「遥かなる地球の歌」はまさにクラーク節だし、宇宙の風景はモノクロの紙面がフルカラーに見えるすばらしさは天下一品。

     月面から地球を見る。夜明けとともに山の頂上が明るく輝き、次いで昼と夜の境界線がじわじわと山の斜面を登っていく。こんな表現はクラークならではだな。

     作品は以下の通り。

    九〇億の神の御名
    密航者
    天の向こう側
    暗黒の壁
    機密漏洩
    その次の朝はなかった
    月に賭ける
    宣伝カンパニア
    この世のすべての時間
    宇宙のカサノヴァ

    太陽の中から
    諸行無常
    遥かなる地球の歌

  • 意外なオチがある話が混ざっているので、クラークはこういうのも書くのかと思うと、アイデアそのものは他人のものでした。

  • 1984年にハヤカワ文庫から出版されたものの新装版。

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