宇宙飛行士ピルクス物語(上) (ハヤカワ文庫 SF レ 1-9)

  • 早川書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150116804

感想・レビュー・書評

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  • 素晴らしく丁寧な状況描写の積み重ねが見事。
    淡々と書き連ねられていく丁寧な描写が、その「場面」を鮮明に浮かび上がらせていく。
    熱気のあるような文章ではないし、派手さも全くと言っていいほどない。
    そこで描かれていくのは、「宇宙飛行士ピルクス」が過ごした日常の断片。
    時には危機一髪の事件に巻き込まれたり、時には摩訶不思議な事件の渦中に身を置いたり。
    数々の事件の「場面」を、先にも書いたように、淡々と書き綴っていく。

    淡々とした文章でありながら、そこで描かれるのは極めてドラマティックでエキサイティングな物語。
    この、文章と物語との温度差が非常に面白い。
    淡々と静かなトーンで、読み手をぐらぐらと揺さぶるような激動の物語が綴られていく。
    この対象的な表現手法の組み合わせが、お互いの奥深さを何倍にも増していると思う。

    とにかく面白かった。
    下巻も楽しみ。

  • これも積読してたもの。昭和に単行本で読んで以来の再読♪

  • 「ソラリスの陽のもとに」と「泰平ヨンの航星日記」に続くレムのSF3冊目。

    テイストとしては、超ソリッドなソラリスと、超脱力系の泰平ヨンのちょうど中間くらいで、
    皮肉の効いたユーモアを交えたミステリ風SFという感じ。

    発表が40年前なのでかなりクラシカルな雰囲気だけど、
    そんな古き良きSFの雰囲気も楽しめて、
    中学くらいにSF読み始めた頃の感覚を思い出すなあと感じた。

    下巻もあるので引き続き期待。

  • 宇宙船パイロットを主人公にした短編集で、加速時や等速時の操行時の様子や、大気のない月面上での爆破シーンなど、科学的知識に裏付けられた描写が圧巻でもありつつ、やや重いとも。あまりに細部まで念のいった描写であるため、科学的知識のない私でも「これはリアルだ(ろうな)」と納得してしまうほど。短編のオチがいずれもアイロニカルなのも良い味わい。

  • 2009/2/9購入

  • アイロニーもいいが冒険譚として読むにもよし、1971年の作品だと感じながら読むと、別の驚きも。

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著者プロフィール

スタニスワフ・レム
1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006 年死去。

「2023年 『火星からの来訪者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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