アードマン連結体 (ハヤカワ文庫SF)

  • 早川書房
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本棚登録 : 161
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150117559

感想・レビュー・書評

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  • 著者が今年のワールドコンのゲストオブオナーなので、一冊くらいは読んでおこうと思ったのだが、日本で翻訳されているのがたった5冊と少ない。その中で、もっとも新しいのがこの本なのだが、それでも2010年の発行なのだ。表題作が中編で、それ以外に短編が7編収録されている。どれも、読みやすくて、SFらしい作品で、もっと日本に紹介されていてもいいんじゃないかと思う。(SFマガジンなどには出ているのかもしれないけど。)

  • 女性SF作家ナンシー・クレスの短篇集。
    あとがきでも言及されているように、収録されている8作品のうち6作品が高齢者、女性、子供を主人公としている。社会の中で思うように生きられず環境や人間関係、あるいは心身の衰えに翻弄される人々の物語を、丁寧かつ生々しい心理描写で描いている。とくに「ナノテクが町にやってきた」「進化」の、夫に期待することをとうに諦めている既婚子持ち女性主人公の描写はさすが女性作家、といったところ。

  • アードマン連結体 (ハヤカワ文庫SF)

  • 短編集 面白いのもあれば訳の分からないのもある
    表紙   6点岩郷 重力   田中 一江訳
    展開   6点2010年著作
    文章   6点
    内容 610点
    合計 628点

  • ナンシー・クレス初読。『ナノテクが町にやってきた』、『オレンジの値段』、『アードマン連結体』、『初飛行』、『進化』、『齢の泉』、『マリーゴールド・アウトレット』、『わが母は踊る』の全8篇が収められている。1989年から2008年に発表された作品を日本独自に編集されたものであるため、様々な種類の話がごちゃごちゃと詰め込まれていて、あまり統一感はない。
    『ナノテクが町にやってきた』:何でも造れるナノマシンがクリフォードフォールズという町に4台支給される。やがて人々はナノマシンに依存するようになり、働かない人が増え、税収が減り、政府が徐々に機能しなくなる。それに背を向け、生きてゆくのに必要なものをナノマシンで造ることを禁じる人たちが集まって、共同体を作り始める。本作の最後で主題が明確にされ、ナノテクは人の選別装置であり、宝くじが当たって幸せになる人とかえって不幸になる人がいるのと同じようなものと記されている。読みやすい作品。
    『アードマン連結体』:真空フラックスの中を移動する恒星間宇宙船の話とセント・セバスチャン(病院付の老人ホームのようなもの)のアードマン博士ら80歳以上の老人に起きる発作の話。両者がどうつながっているのか私には理解できず。結局、老人たちは超意識と一つになるかどうか選択を迫られ、ある人は融合してこの世を去り、ある人は拒否して元に戻る。残念ながら、ストーリーが掴みづらく、何を言いたいのかよくわからなかった。
    『齢の泉』:大金持ちの老人(86歳)マックス・フィーダーは、軍人時代に1週間愛を交わしたキプロスの娼婦ダリアに会いにシークウェン(老化を20年間食い止めるD治療を行う施設)を訪れる。ダリアは、18歳のまま老いない若さの泉ともいうべき腫瘍を持っている。その腫瘍は予備の幹細胞の倉庫のようなもので、それを商業利用してD治療を行うことができる。その過程で、マックスの暗い過去が明かされたり、アルコーゼル連邦捜査官に厳しい追及を受けたりといったストーリーが展開される。86歳のじいさんの妄執というかリビドーの発露みたいな話で楽しめたが、訳文中にガジョ、マリメ、ウォルタチャといった聞き慣れない言葉がそのまま使われていて読みにくかった。

  • SF短編集で、表題作は老人たちに奇病が蔓延、やがて彼らの意識が共有化されて〜というもの。のちの伊藤計劃"ハーモニー"に多大なる影響を与えた、というか元ネタとのことです。

    爆弾開発などを手がける現役の物理学者を引退し、大学で教鞭をとる物理学者のヘンリー・アードマン博士(95)が主人公で、衰えた身体と鋭い頭脳で事態の真相に迫ります。

    冒頭の人物描写シーン。

    ○大学へ行くとき、ヘンリーはネクタイを着用するのが常だった。大学生がーそれどころか大学院生までもが!ー破れたジーンズに下品なTシャツを着て、ネズミでも飼ってそうなもじゃもじゃの頭をするのは勝手だ。…この知的で、時として猪突猛進な物理学者の卵たちは、自分たちの美しさがどんなにはかないものか知らないのだろうか?わざわざみっともない格好をしなくたって、じきにいやでもみっともない姿になるしかないというのに。

  • ナンシー・クレスの短篇集。
    ハードSFっぽさは無く、ファンタジー寄りの作品が多い。
    『オレンジの値段』『進化』『マリゴールド・アウトレット』の3作が良かった。表題作の『アードマン連結体』にやや冗長さを感じたのが残念。
    『訳者あとがき』によると、著者本人も『中短篇を得意とすることを自覚し、公言している』そうだけど、短篇の方が面白いものが多いように感じる。

  • 驚かされる設定や、ワクワクさせられる部分があまりない。

  • 表題作は前半が長すぎる。さすがに退屈。アイディアも深堀りされることなく、更には割と平凡

    ナノテクが街にやって来た、は自立した女性が主人公で、現代的。
    最低限の文明に戻るという結末は、あまりにもひねりに欠ける

    オレンジの値段、はノスタルジックな情緒。作者も楽しんで書いていそう

    全編、ソフトなSF。ストーリーで魅せるかというとそうでもなく、中途半端な印象。

  • うーん。個人的にはイマイチ。
    自分がSFに望むのは、物語の中の事件や事象に対してある程度科学的な、あるいは論理的な説明が行われること。
    この小説ではその辺が弱い。
    もちろん、そういう作風なんだし、この作者にそんなもん求める方が間違ってるって話なんだろうが。
    表題作や初飛行、進化あたりはそれでも面白かったですよ

  • Social Fantasy

  • うん、面白い。

  • 全部が好きなわけではないけど、入りやすかった。

  • 海外翻訳物でこれほど読みやすいSFは初めてかも。
    「ベガーズ・イン・スペイン」級の作品には巡り会えなかった。

  • 早川さんサンキューなSFらしいSFの短編集です。作者は女性?でしょうか。こういう作品なら、安心して子供や中高生など、これからSFの世界に入ろうって人に奨めることができます。

    訳は、、、また別の問題。精進して下さい。

    まだ途中ですが、最初の短篇なんか、当に筒井康隆さんのような、星新一さんのような、面白さ。落語には、、一寸難しいけど、考えさせられて、志向の軌道修正ができるよく練られた作品でしたよ。

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